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日本を襲う3つの危機(222kb, PDF)

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日本を襲う3つの危機(222kb, PDF)
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Harvard Gazette
日本を襲う 3 つの危機
フォーラムでは、救助隊が現在、また今後直面する問題について検討した
(http://news.harvard.edu/gazette/story/2011/03/three-crises-for-japan/)
執筆:Stephanie Schorow
2011 年 3 月 17 日(木)
3 月 16 日水曜日、ハーバード公衆衛生大学院(HSPH)主催のフォーラムにおいて、ハー
バードの研究者らは、急速に展開しつつある、日本を混乱させている危機の連鎖(cascade)
について分析を行った。彼らは、救済努力への公衆の信頼(public trust)、援助する上での
ロジ上の障害、そして日本の文化に対する外国の十分な理解そのすべてが、災害への効果
的な対応の鍵であると述べた。
ジェニファー・リーニング(Jennifer Leaning、ハーバード公衆衛生大学院—健康と人権の
ためのフランソワ-ザビエル・バグノウドセンター 教授、ハーバードメディカルスクール準
教授)が司会を務めた議論では、主に 3 つのテーマが浮かびあがった。
第一に、日本政府および 3 月 11 日の巨大地震と津波によって大きな損傷を受けた福島第一
原発の管理者(東京電力)は、放出された放射線量と健康への潜在的な影響に関する正確
な情報も含め、明瞭かつ一貫性のある声明を発表するように一層努めなければならないこ
とが指摘された。
パネリストのマイケル・ヴァンロイェン (Michael VanRooyen、 Harvard Humanitarian
Initiative 創設者・センター長)は残念なことに、「今行われている発表は、一般大衆にと
って解釈が困難である」と述べた。当局に対する信頼が失われつつあり、それがなくなる
と人々は公の命令に従わなくなるだろう。
ゴードン・トンプソン (Institute for Resource and Security Studies エグゼクティブ・
ディレクター)は、
「もし緊急対応が必要であるならば、直ちに、しかも一貫性のある方法
で行われることが重要である」と述べた。恐らく、退避すべき人もいる一方で、屋内待機
すべき人もいる。発出される声明を人々が信頼する必要がある。
第二に、ロジスティクスとアクセスがいまだ大きな課題である。日本は、津波でもっとも
大きく被災した地域の人々に対しても十分な備蓄を持ってはいるが、しかし救援に向かう
ための道路が損傷したり閉鎖されたりしていることで、物資の輸送が問題となっている、
とヴァンローイェンは述べた。
「確かに食料、水、毛布、そして救援物資は十分にあり、避
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難した人々に供給することはできる。問題は、どうやってそこに持って行くかだ」。
そして第三に、世界はすでに援助のために立ちあがり―むしろすぐにでも行い―たいのだ
が、日本への対外支援は、文化的・社会的な問題に配慮して行われなければならない。
実際、インターネット回線を通じて東京からフォーラムに参加した、永田高志(救急救命
医、元 HSPH リサーチフェロー)氏はそっけなかった。海外からの救援部隊は被災の大き
い仙台のような地域に来るのは保留すべきである、なぜならそれらの地域では情勢が不安
定だからだ、と彼は述べた。こうした救援部隊は、どんなに善意だとしても混乱を招きう
る、とりわけ日本語を話せない場合にはそうである、と彼は説明した。
日本の災害に対する備えは世界でもトップレベルであり、必要なのは特定領域の専門家で
ある。
「ジェネラリストを送るべき場ではない」とヴァンローイェンは述べた。リーニング
が言ったように、
「アメリカのヘリコプターが大量の食べ物や水、その他必要と考えられる
物資を空から落とす」べき時ではないのだ。
しかし基本的な必需品のニーズはまだあり、大きな障害が立ちはだかっている。日本は 3
つの異なる災害に直面している:津波、地震、そして原発の危機だ、とマイケル・ライシ
ュ (Michael Reich、ハーバード公衆衛生大学院 国際保健・人口部門 国際保健政策学 教
授)は述べた。状況は「危機の連鎖(cascade)を生んでいる」とライシュは述べた。「社
会的危機: 町全体が流されてしまった。救おうとした家族を失ってしまった人々のグリーフ
危機。日本経済の様々な部分を復興させることが困難という意味で、経済的な危機が生ま
れた。純粋な栄養上の危機が生まれた。人々は食べ物や避難場所、安全な水を手にするこ
とができない。そして心理的危機も起こっている。
」
目に見えないけれども潜在的に致死性のある、原発からの放射線のショックは、日本のな
かで特に反響が大きい。ライシュは、日本が「世界で唯一、2 回の核爆弾による悲劇を被っ
た国である」と、第 2 次世界大戦を終結させた広島と長崎の原爆に言及した。
フォーラムにおける質疑の多くは、刻々と状況が変化する福島第一原発の炉心溶融の可能
性に集中した。原発の大惨事における対応の専門家であるトンプソンですら、難しい質問
について、答えがわからないとしばしば認めなければならなかった。
彼は聴衆の中の何人かから、放射性物質を放出している原発に人がどれだけ近づいたら「近
づきすぎ」なのかについて、答えを求められていた。例えば、アメリカ政府は福島原発か
ら半径 50 マイル(80km)以内にある企業(businesses)に退避するよう助言していたが、
日本政府は 12 マイル以内(20km)でなければ安全であると言う。どちらが正しいのだろ
うか?
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このフォーラムにおいては「明確な勧告を出すことはできない」とトンプソンは述べた。
しかし、もし 80km 圏内にいる人でそこを離れることができるのならば、そうする方が賢
明だろう。
「交通インフラの状況を考えることが重要である」と彼は付け加えた。もし道が
悪ければ、大人数を移動させることは賢明ではないだろう。
考えてみてください、とリーニングは言った。「もしあなたが、原発に近いところで避難を
命じ、重大かつ大規模な放射線の放出があり、路上には屋外に多くの人々がいて、彼らは
交通手段がないか交通渋滞によって、全く動けないでいる。すると彼らの置かれている状
況というのは、屋外にいて、
(放射線)プルームが頭上から降ってきている、というものな
のです」
。
[こうした状況では]家の中に退避する方が安全であろう。しかしなお、屋内にいて孤立
した人々への必要品の供給という問題が挙がってくると、彼女は述べた。
永田は日本医師会の派遣部隊の一員として仙台[※実際はいわき市]で 3 日間過ごした。
それから彼は、基本的物資が輸送されるべきことを記者会見で訴えるために東京に急いで
戻った。放射線に対する根拠のない恐怖が物資の供給を妨げていたと、彼は言った。彼は
パニックを起こしたことや、いかに彼が打ちのめされたか、そして何回か泣いたことを語
ったが、仕事を続けるために仙台にすぐ戻ると述べた。
他のパネリストは、永田の経験が、当局が信頼に足る情報を―ライシュが言うところの「お
ばあちゃんでもわかるような」言葉で―提供する必要性を裏付けていると述べた。
ハーバード大コミュニティについては、
「我々は、求められるどんな援助―テクニカルなレ
ベルから、社会的レベル、個人的なレベルでも―も提供する準備ができています。」とライ
シュは述べた。
「我々がどんな援助を行うことが最良なのか、日本人に提示してもらいたい」
。
HSPH フォーラム“Response to the Earthquake, Tsunami and Nuclear Crises in Japan:
Disaster Leadership in Action”のビデオはここから見られます。
http://www.hsph.harvard.edu/forum/japan-crises.cfm
今後のイベントや日本を援助するための寄付については次のサイトをご覧ください。
http://harvardforjapan.fas.harvard.edu/
訳:高島 響子(医療倫理学)
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