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若年層に対するインプラント治療の経験

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若年層に対するインプラント治療の経験
若年層に対するインプラント治療の経験
Experience of The Implant Treatment for Younger Age Group
谷口 雅人、谷口かおる、森藤恵梨子、多内博子
MsatoTanigchi、KaoruTaniguchi、,ErikoMorihuji、HirokoTauchi、
所属
医療法人 谷口歯科医院
medicalcorporation
Taniguchi Dental Clinic
Departmennt of Oraland Maxill of acial Surgery ,Mitsui Memorial Hospital
緒言
インプラント治療は様々なメディアで取り上げられる機会が多くなり、部分欠損補綴に
対する治療法としてブリッジや可撤式義歯と並び確立した治療法と考えられている。イン
プラント治療は中高年層を対象とした症例がほとんどで、20 歳未満の若年層へのインプラ
ント治療の報告は少ない。これは、顎骨成長期にあたる期間において、インプラント治療
が顎骨にどのような影響を及ぼすのか、確かな医学的根拠がいないためと推察される。し
かし、10 歳代で不幸にも歯を消失し、その補綴治療に直面した時、隣接歯の削合を拒否し、
インプラント治療を強く希望する患者も多い。このような症例では、顎骨成長が終了する
時期まで待つという考えが一般的であり、それまで期間、可撤性義歯で対応してきた。し
かし、若年層は可撤性義歯を装着しないことも多く、隣接歯や対合歯の移動から不正咬合
に至った症例も経験した。そのため、顎顔面骨の成長が減少するといわれている 13 歳前後
からインプラント治療ができないものなのかと思案していた。
今回、症例を慎重に選択し、十分なインフォームドコンセントが得られた若年層に対し
てインプラント治療を行ったのでその概要を報告する。
対象および方法
症例1
16 歳、男性。主訴は左下の歯肉が痛み噛むことができない。既往歴、家族歴、生活歴に特
記事項なし。現症は 46 残根となり、周囲歯肉は腫脹していた。
(初診時の口腔内写真、パントモ Xp)
治療計画およびインフォームドコンセントは、要抜歯であること、その後、何らかの補綴
治療が必要であり、義歯、ブリッジ、インプラントのメリットデメリット、若年層への影
響が不明であることなどについて説明を行った。保護者にも同様の説明を行い、両者の意
向を慎重に確認しインプラント治療を行うこととした。平成 21 年 11 月にアドバンス社製
AQB インプラント T タイプ 5MLを 46 番部に植立した。
(術後のレントゲン写真)
術後経過は良好であり、平成 21 年 11 月にMB冠を最終補綴物として装着した。5 年経過し
た現在もメンテナンスを継続しているが経過良好である。
(最終経過観察日 2014 年 5 月 31 日、口腔内写真、レントゲン像)
症例2
9 歳、男児。事故により 12 が脱臼し欠損したため来院した。
(初診時口腔内写真、レントゲン写真)
既往歴、家族歴、生活歴に特記事項なし。保護者の意向として義歯は希望されず、健全歯
の切削のも否定的であった。そこで、インプラント治療について説明し、この年代では口
腔衛生管理が行き届かないため家族の協力が不可欠であること、顎骨への影響が不明であ
ることを説明、さらに何度か話し合いの場を設け、同意が得られた。平成 25 年 12 月アド
バンス社製 AQB インプラント T タイプ 4MLを 12 部に植立した。
(手術時の口腔内写真、レントゲン写真)
、平成 26 年 4 月にHJK冠を装着した。現在 7
か月経過しているが、顎顔面成長量を考慮し、HJKの定期的な交換を考慮しながら経過
観察中である。
CT 画像
(最終経過観察日 2014 年 6 月 23 日、口腔内写真、レントゲン像)
考察
若年層は心理的影響を受けやすい時期である。そのため、欠損部位に対する審美的要求
は、むしろ成人層よりも高い。最近、歯の保存が浸透してきたため、切削を希望しない患
者が増加している。また、保護者も同様な考えを持っているため、インプラント治療を心
理的に受け入れやすい状態にあるものと推察される。
若年層は精神的にも身体的にも成長過程中であるため、通常よりも短い期間で口腔衛生
状態、咬合状態の観察、顎骨への影響、予後観察などを行う必要がある。そのため、患者
自身や家族の協力が不可欠となる。このような点を慎重に繰り返し説明することで、イン
プラント治療を受けいれる環境が整うものと考えられる。患者本人、親、医療者の連携・
意思疎通を十分に図ることが若年層へのインプラント治療には必要である。
骨年齢から成長過程をみてみれば症例2(手の写真)は年齢 10
今後も経過観察が必要である。
歳と推定されるため、
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