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広報誌vol.17 2015年1月号(PDF・全文)

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広報誌vol.17 2015年1月号(PDF・全文)
alic
エーリック
2015
1
第17号
□ 第一線から
全国に先駆けて導入した菌床しいたけ栽培の先進地
∼徳島市農協 眉山支所椎茸部会∼
□ レポート
欧州の子牛肉生産と消費
∼フランスを中心に∼
中国の最近の食肉需給状況
01
独立行政法人農畜産業振興機構
新年のごあいさつ
体への影 響や高 齢 化 等での離 農による 乳 用
牛飼養頭数の減少に伴ない、生乳生産量は
番目の高単収で、産糖量は
年
甘味資源作物については、 年産のてん菜
は、史上
万トンの大 台 回 復が見 込 まれてお
の影響による出荷頭数の減少に伴ない卸売
については、豚流行性下痢(PED)発生
例を見ない高値で推移するとともに、豚肉
牛)の頭数の減少により取引価格は過去に
また、肉用子牛については、繁殖雌牛(母
て台風等の被害がありましたが、ばれいしょ
料 用いもについては、かんしょは地 域によっ
積は回復傾向にあります。昨年のでん粉原
係者が一体となった取り組みにより、収穫面
等による被 害がありましたが、 生 産 者や関
ります。さとうきびは、昨年は相次ぐ台風
的な大雨や低温等により8月下旬から9月
を下回る価格となりましたが、夏場は局地
野 菜については、 春 先 は 好 天により 平 年
定 対 策 を 実 施し、 乳 製 品については、 需 給
産物・野菜・砂糖などの需給調整と価格安
の経営安定を図るための交付金の交付や畜
このような中にあって、当機構は、生産者
上げます。
昨 年一年 間 を 振 り 返 り ますと、 消 費 税 率
にかけて価 格は大きく高 騰しました。しか
と
月の
月
の引上げや円安等の影響により燃油価格や
ら価 格は平 年を 大きく下 回って推 移するな
回、バターと 脱 脂 粉 乳の追 加 輸
5
入を 行いました。また、 政 府の「 好 循 環 実
2
10
ど、価格変動の大きな年となりました。
9
の大幅な逼迫が見込まれたことから、
し、
年夏場の猛暑による牛
る環境は引き続き厳しいものとなりました。
酪農については、
25
月 以 降は生 育が順 調と なったことか
飼料価格等が高騰するなど、農畜産業を巡
様のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し
価格は例年とは異なる高水準で推移するな
振 りに
5
26
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
減少傾向で推移しました。
5
60
は天候に恵まれて生育は順調でした。
理 事 長 佐藤 純二
ど課題の多い一年でした。
独立行政法人 農畜産業振興機構
当 機 構の業 務につきまして、 旧 年 中は皆
巻頭言
02
2015.1
alic
支援する事業を行うとともに、国内外の需
菜のシェアが拡大する中、それらの生産者を
を 実 施し、 その一環として、 加 工 業 務 用 野
現のための経済対策」に対応した緊急対策
しつつ、引き続き適切に業務を行ってまいり
の決着内容やTPP交渉の動向等にも注視
こととなります。こうした中で、日豪EPA
は新たな枠組みの下で、当機構の業務を行う
き、 皆 様のご理 解とご協 力のほど、よろし
果たしていきたいと考えております。引き続
じて機 動 的に変 化させ、この重 要な使 命を
ら、 人も組 織も絶えずその時々の要 請に応
す。このため、女性の一層の活躍を図りなが
くお願い申し上げます。
たいと考えております。
本年も、当機構の使命である「農畜産業
給動向、農畜産物の輸出等に関する情報の
収集・提供を積極的に推進いたしました。
本年が皆様にとって希望に満ちた明るい年
月に 独 立 行 政 法 人 通 則 法 が
資源循環型農業ってなあに? ・・・・・・ 16
及び関連産業の健全な発展と国民消費生活
一方、 昨 年
まめ知識
となりますことをご祈念申し上げ、新年の
でん粉からできる異性化糖 ・・・・・・・・・・ 14
の安 定 」 を 目 指し、 業 務の効 率 化の推 進、
業務関連情報
改正され、当機構は引き続き、中期目標の
日本の
「和牛」を世界へ
~フランス・SIAL 2014 編~・・・・・・・ 13
ごあいさつと致します。
平成 26 年度
さとうきび・甘蔗糖関係検討会・ ・・・・・・ 12
透 明 性の確 保に努めるとともに、 攻めの農
第 53 回農林水産祭
「実りのフェスティバル」に参加しました ・・・ 11
達成を目的とする中期目標管理法人と位置
機構の動き
林水産業の推進等の政府の方針を十分に踏
タイ産生鮮鶏肉解禁による
日本への輸出見通し
ベトナムの牛肉需給をめぐる
最近の状況 ・・・・・・・・・・ 10
付けられたほか、法人のガバナンスの向上の
alic セミナー
まえ、 当 機 構としてもこれらの方 針を 積 極
中国の最近の食肉需給状況・・・・・・・・・・ 08
観点から、監事の権限の強化等や主務大臣
欧州の子牛肉生産と消費
~フランスを中心に~ ・・・・・・・・・・・・・・・ 06
的に推進するべく、業務を実施してまいりま
レポート
月から
巻 頭 言
新年のごあいさつ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 02
第一線から
全国に先駆けて導入した
菌床しいたけ栽培の先進地
~徳島市農協 眉山支所椎茸部会~・ ・・ 04
4
6
が業務実績評価を行うなど、本年
2015.1
alic
03
1月号
alic
保、さらには担い手の育成
大賞を集団組織の部(部会)
培から菌床栽培へ本格移行
年から部会員全員が原木栽
軽作業で大規模な生産(周
らしいたけの原木栽培を始
いたけ種菌業者等を通じ
い生産スタイルとして、し
・7
のハウス施
し い た け の 栽 培 方 法 は、
菌床袋の上面を開けて菌床
上面にしいたけを発生させ
る上面栽培方式を採用して
います。菌床袋の側面から
も 発 生 さ せ る 方 式 に 比 べ、
作業効率が高く、高品質な
しいたけが栽培できると言
われています。
回程度、パックセ
また、品質を維持するた
め、年
ンターの全従業員と生産者
が 参 加 し て「 目 慣 ら し 会 」
を行い、選別基準などの規
割を維
格統一の徹底に取り組むこ
とで、秀品率は約
04
2015.1
alic
を整備し、菌床ブロックの
製造・供給からしいたけの
パック詰め、袋詰め調製作
業までの一貫体制を確立し
床しいたけ栽培の研究に取
に繋がりました。
び ざん
~徳島市農協 眉山支所椎茸部会~
ました。このことで、生産
者の労力が大幅に軽減さ
れ、品質の維持、経営規模
り組み、種菌の選定、ハウ
の拡大、安定した所得の確
の生産量約800t、販売
スの気温・湿度等を試行錯
、年間
生産 量 日 本 一 を 誇 っ て い ま
額は約8億円で県内トップ
施設の面積 ・6
す。 そ の 中 で も 徳 島 市 上
で受賞しています。
◆原木栽培から菌床栽培へ
年栽培)が可能となる新し
を進めました。
この技術は、
部会では、昭和 年頃か
めて、順調に生産を拡大し、
て、全国に普及し、現在の
しいたけ栽培の主流となっ
して
設を整備しました。さらに
年に
同年には「しいたけ菌床供
給 セ ン タ ー」
、平成
4
部会員は、昭和 年に 名
まで増加しましたが、その
ています。
同部会は、農協に働きか
一体的な整備
◆生産から出荷に至る
後しいたけの原木供給不足
や生産者の高齢化等から減
少しはじめました。
年から研究機関と協
は「 椎 茸 パ ッ ク セ ン タ ー」
11
70
こ の 状 況 の 中 で 部 会 は、
昭和
ha
62
けて平成 年からレンタル
7
0
26
49
◆高品質維持への徹底
誤しながら全国に先駆けて
〔 〕
協 眉 山 支 所 の 椎 茸 部 会 は、
徳島市上八万町
徳島市一宮町
佐那河内村
22
力して原木を使用しない菌
9
50
の生産者がこの制度を利用
クラスの産地となってお
熟練したしいたけの選別・袋詰め作業
八万 町 、 一 宮 町 、 佐 那 河 内
ハウス制度を導入し、 名
34
栽培技術を確立し、昭和
ha
り、平成 年に日本農業賞
3
村を エ リ ア と す る 徳 島 市 農
徳島県は、生しいたけの
全国に先駆けて導入した菌床しいたけ栽培の先進地
第一線から
持 し、「 眉 山 ブ ラ ン ド 」 と
して 市 場 等 か ら 高 い 評 価 を
受け て い ま す 。
さらに徳島県が進めてい
2
る「とくしま 安(あんあん)
GAP農産物」認証制度の
認証を取得し、安全で
安心できるしいたけを
消費者に届けるために
すが、部会員 名のうち約
が拠出し、生産者の負担は
ですので、生産者の
て、後継者の育成と部会内
れからも部会員が団結し
います。川人部会長は、「こ
市、東みよし町の生しいた
市、佐那河内村の他に三好
ります。徳島県では、徳島
メリットは大きいものがあ
/
でレベル差のない高品質な
けも事業の対象となってい
割で後継者が確保されて
しいたけ栽培を続け、販売
ます。
り組む」と力強く話されて
いました。
◆価格の低落をカバー
部会で生産される生しい
たけは、alicの特定野
菜等供給産地育成価格差補
(野菜需給部)
額 億円の産地に向けて取
3
平均販売価額
生産者が一丸となって
についての学習や体験、し
給事業の対象となっ
て い ま す。 こ の 事 業
は、都道府県の野菜
価格安定法人が事業
主体となって、平均
価格
生産・品質管理の徹底
を図っています。
同部会の川人泰博部
会 長 は、「 眉 山 し い た
けは、肉厚で香りが高
いのが特徴で、そのま
て食べるのが一番おい
いたけ料理の試食提供等に
ま焼いてスダチを絞っ
しい」と話されていま
を 行 う と、 し い た け 嫌 い
販売価額が一定の
水準より下がった
と き に、 そ の 差 額
の一部を交付するこ
とで、生産者の経営
安定に貢献してい
この一部につき補給金を交付
(80%)
も積極的に取り組んでいま
◆菌床しいたけで地域
に密着した食農教育
だった子供も喜んで食べて
1
45
ます。交付金の財源
保証基準額
(A×80%)
した。
部会では、毎年、地
くれる」と取り組みの効果
す。
域の小、中学校の子供
を実感しています。
川 人 部 会 長 は、
「試食会
を対象に、将来の担い
4
10
は、国と県と生産者
最低基準額
(A×55%)
手候補になってもらい
発展を目指します
◆団結力でさらなる
な子供にも食べてもら
現在の部会員数は、生産
たい、しいたけが苦手
いたいという想いか
者の高齢化等から横ばいで
2015.1
alic
05
ら、菌床しいたけ栽培
特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の概要
上面栽培方式の菌床ブロック
「眉山ブランド」のしいたけ
部会員の作ったしいたけ料理を食べる子供たち
50,843
63.81
796,775
NZ
3,387
4.15
816,341
メキシコ
1,529
1.92
794,699
839
1.19
703,269
113
0.04
2,825,000
合 計
118,433
161.98
731,172
資料:Global Trade Atlas
注:HSコード0201(冷蔵牛肉)
子牛肉とは
肉」が中心となっているためです。
高級食材として利用される「子牛
フランス
調査情報部 宅 間 淳
さ れ る「 牛 肉( B E E F )」 と は
のように定義し
種類に分けられます
ホワイトヴィールは、その名前
るのはホワイトヴィールです。
が、主に高級食材として利用され
間により
このように、子牛肉は、肥育期
ています。
「子牛肉」を表
な お、 欧 州 委 員 会 の 規 則 で は、
物としても知られています。
れ、シラク元フランス大統領の好
の肉は、煮込み料理として提供さ
す。伝統的な食材の一つである顔
足なども食用に利用されていま
や 胸 腺( リ ー ド ヴ ォ ー)
、 内 臓、
すが、副産物に分類される顔の肉
として用いられるのはもちろんで
また、子牛は肉そのものが料理
スでは、定番の食材であり、これ
ル郊外で撮影
別 の 食 材 と 認 識 さ れ て お り、
「子
注2:1 ユ ー ロ = 149 円( 平 成 26 年
らの国々を含め欧州では、様々な
注1:2014 年 11 月 3 日 ブリュッセ
牛 肉( V E A L )」 と し て、 幅 広
(8,322 円)/ kg
子 牛 の 部 位 が 利 用 さ れ て い ま す。
④胸 腺(リードヴォー) 55.85 ユーロ
く流通しています。
③腎臓 24.55 ユーロ(3,658 円)/ kg
このため、現地では成牛から生産
②脳 9.95 ユーロ(1,483 円)/ kg
11 月末 TTS)
はじめに
米国
「子牛肉」を召し上がったこと
①舌 15.15 ユーロ(2,257 円)/ kg
2014年 月に、日本国内の
679,327
はありますか?
上から順に、
設備などがEUの輸入基準を満た
90.86
一 般 的 に 日 本 の 家 庭 料 理 で は、
高級食材店に並ぶ子牛の内臓肉
したため、欧州に向けた和牛の輸
出が始まりました。一方、欧州産
牛肉も日本への輸入が再開されて
います。欧州産の牛肉は、牛海綿
状脳症(BSE)の発生を原因と
して、2001年から日本への輸
入は禁止されていましたが、発生
数の減少と安全管理体制が構築さ
れたことから、2013年 月か
ら輸入が解禁されました。
日 本 の 牛 肉 輸 入 動 向 を 見 る と、
今年は、フランス産の冷蔵牛肉が
輸入されています。輸入量全体に
占 め る 割 合 で は、 0・0 2 % と わ
ずかなものですが、単価(金額÷
61,725
カナダ
量
単価
(千トン) (円/トン)
子牛肉の利用はわずかなものとさ
2
表 1 日本の牛肉輸入実績(2014 年 1 〜 9月、冷蔵)
れていますが、イタリアやフラン
2
2
量)では、豪州産や米国産の約
倍となっています(表 )。
4
金額
(百万円)
6
これは、一般的な牛肉ではなく、
1
豪州
欧州の子牛肉生産と消費~フランスを中心に~
レポート
06
2015.1
alic
のとおり肉色が
淡 く、 白 っ ぽ い
色をしているの
が 特 徴 で あ り、
粉ミルクなどで
育てられます。
生産農場の様子
フランスの
南西部に位置
し、 フ ォ ア グ ラ
工・販売を行う専門企業と提携し
健康志向や食の多様化
市場の開拓とともにわが国に適し
た生産技術、流通体系の整備が進
めば、乳用種であるホルスタイン
から産出される雄子牛の利用用途
の一つとなり得ます。このように、
国内の畜産経営や食肉産業にとっ
て、子牛肉は有望な食肉となる可
能性を秘めています。
【初乳の給与】
・生後 6 時間までに初乳を給与
【鉄分の供給】
・血中ヘモグロビンの鉄分濃度が 4.5mmol/I 以上になる
給餌の内容
よう給餌
【粗飼料の供給】
・2 週齢から給与を開始
・8 〜 20 週齢にかけ、1 頭 1 日当たり 50 〜 250g を給与
の産地としても
知られるペリ
ており、飼料の供給や、技術支援
ロリー高タンパクな食材
である子牛肉は、栄養学
的に見ても利用価値が高
【生体重別】
一頭当たり ・150kg 未満:1.5 平方メートル以上
飼養面積 ・150kg 〜 220kg:1.7 平方メートル以上
・220kg 以上:1.8 平方メートル以上
まとめ
グーの子牛農家
キログラム)が導入
量 が 伸 び 悩 む 中 で、 低 カ
などにより、牛肉の消費
週間の子牛
を受けながら年間約800頭の子
~
カ月齢まで飼養された
す。また、副産物の内臓
い食肉になると考えらま
は280キログラム程度で、枝肉
肉(胸腺、腎臓など)や
多く、無駄のない、日本
足など利用できる部位も
ま た、 E U で は 子 牛 の 飼 養 に
の食卓に新たな彩りを添
当 た っ て、 表
は わ ず か で す が、 今 後、
日本の子牛肉の生産量
えるものです。
のようなアニマ
なります。
の重量は140キログラム程度に
後、出荷されます。出荷時の体重
さ れ、
(体重
農 家 に は、 生 後
を訪問しまし
スペイン
2
配慮した飼養管理が定められて
います。
資料:理事会指令008/119/EC
牛を出荷しています。
イタリア
冷蔵庫で保管される子牛の枝肉
内 容
対 象
ゆとりのある牛舎で飼養されている子牛
た。
南西部
70
訪問先の農家
ペリグー
と畜時月齢
通 称
カテゴリーV
8カ月齢以下
ホワイトヴィール(white veal)
カテゴリーZ
8カ月齢~ 12 カ月齢
ロゼヴィール(rosé (pink) veal)
西 部
分類( E U 規則)
ベルギー
資料:EU規則EC/1234/2007、EC/566/2008
は、 子 牛 肉 の 加
スイス
60
6
ル ウ ェ ル フ ェ ア( 動 物 福 祉 ) に
3
URL:月報『畜産の情報』2014 年 6 月号「フランスの子牛肉の生産実態と市場~未利用肉資源としての子牛の可能性~」
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2014/jun/wrepo01.htm
2015.1
alic
07
・クレート(檻)の利用禁止
・群飼の実施
・鼻かんの利用禁止
飼養方法
表 2 子牛肉の分類
英 国
表 3 子牛に適用される主なアニマルウェルフェア規制
(年)
70
72
74
76
78
80
82
84
86
88
90
92
94
96
98
20
00
02
04
06
08
10
中国の最近の食肉需給状況
はじめに
中国は、いまだに高い経済成長
を誇り、都市人口の増加や消費者
調査情報部 木 下 瞬
万t
農 務 省 に よ る と、 2 0 1 3 年 の
の自給率はほぼ100%となって
(同3・8%増)と少なく、国内で
ツなどです。また、輸出も
生 産 量 は 5 5 6 2 万 t( 前 年 比
います。
の 豚 が 飼 養 さ れ て い ま す。 米 国
4・1 % 増 ) と 世 界 最 大 を 誇 り ま
消費量(千t)
の購買力の高まりによって、食肉
輸出量(千t)
すが、このうち輸出に充てられる
輸入量(千t)
消費はおおむね増加傾向にありま
生産量(千t)
豚肉は微々たるもので、ほとんど
が国内で消費されます(図 )。
豚肉の 人当たり消費量は ㎏
であり、2013年の豚肉消費量
は 5 6 1 0 万 t( 同 4・3 % 増 )
となりました。最近では都市部の
消費が頭打ちとなる中、農村部の
消費が増加しています。都市部で
は 加 熱 調 理 品 や レ ト ル ト、 小 型
パッケージなど現代の生活スタイ
ルに合わせたバリエーションが増
えており、量より質の向上が求め
られています。
図2 中国の豚肉の需給状況(2013 年) す。2012年の中国の 人当た
㎏)
り食肉消費量は ㎏程度と、米国
( 同 1 1 0 ㎏) や E U( 同
に比べるとまだ少なく、消費の主
体となる生産年齢人口の割合も多
いことから、今後も消費は堅調に
増加すると考えられます。
中国の食肉消費量は、豚肉が全
体の 割を占めており、続いて家
禽 肉( 鶏 肉 )、 牛 肉 の 順 と な っ て
)、 本 レ ポ ー ト で
24
770
244
い ま す が( 図
0
資料:FAO
5%増)と消費に占める割合はわ
10
中国では、世界の豚飼養頭数の
20
ずかで、主な輸入先は米国、ドイ
30
割に当たる 億7000万頭も
資料:米国農務省 注:枝肉換算ベース
2
36
輸入については、 万t(同5・
77
55,620
56,096
1
1
はこれらの最近の需給状況につい
てご報告します。
40
4
7
羊肉、山羊肉
牛肉
50
56
1
家禽肉
豚肉
60
(kg/ 人 / 年)
豚肉の需給状況
図1 中国の1人当たり食肉消費量の推移
6
75
レポート
08
2015.1
alic
参考①:畜産の情報 2014 年 8 月号「食肉産業の持続的な発展とその将来~第 20 回世界食肉会議から~」
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2014/aug/wrepo03.htm
鶏肉の需給状況
2013年の鶏肉生産量は
)。 国 内 の 鶏
万tとなりました。主な輸入先
は豪州やニュージーランド、ウル
グアイなどで、最大の輸入先は豪
州となっています。また、中国は
最近、インドやブラジル、米国な
どと輸入再開に向けた交渉を進め
ており、輸入先の多角化を図ろう
としています。
おわりに
つつあります。
様化と高品質化・安全志向へ移り
きましたが、今後は食肉消費も多
的な食肉供給が第一と考えられて
うになりました。これまでは安定
性、栄養成分などが重視されるよ
入する際には、品質とともに安全
います。また、消費者が食肉を購
質に向けられる目も厳しくなって
幾度となく発生しているため、品
ますが、食肉に関する不正事件が
スーパーの食肉売り場:北京市内
1335万t(前年比2・5%減)
と な り ま し た( 図
肉生産は、これまで堅調に増加し
てきましたが、2013年 月以
降に沿岸部を中心に鳥インフルエ
ンザが発生したため、減少に転じ
ま し た。 ま た、 こ の 影 響 で、 消
費 者 が 鶏 肉 の 購 入 を 控 え た た め、
資料:米国農務省 注:枝肉換算ベース
中国では食肉消費が増加してい
消費量(千t)
2013年の消費量は1317
倍となる
輸出量(千t)
万 t( 同 2・7 % 減 )、 輸 入 量 は
人当たり消費量は
2013年は前年の
増 加 す る 牛 肉 需 要 を 賄 う た め、
(前年比6・5%増)
となりました。
2013年の消費量は596万t
で は 顕 著 な 伸 び を 示 し て お り、
㎏ 程 度 で す が、 近 年、 食 肉 の 中
牛肉の
向にあります。
のと畜が進み、飼養頭数は減少傾
旺盛な需要の増加を受けて肉用牛
輸出量(千t)
2013年の牛肉生産量は
) が、
輸入量(千t)
万 t( 同 3・9 % 減 ) と と も に
前年から減少しました。消費の減
退により鶏肉価格も下落したた
め、鳥インフルエンザによる経済
損失は一千億元( 兆7800億
万t(同2・2%増)ですが、
なお、2013年の鶏肉輸出量
円)以上とも言われています。
は
こうした病気が発生しているた
め、輸出は加工品が中心となって
います。
資料:米国農務省 注:可食処理ベース(骨付き)
5
生産量(千t)
輸入量(千t)
近 年、 輸 入 量 が 急 増 し て お り、
牛肉の需給状況
図3 中国の鶏肉の需給状況(2013 年)
5 6 4 万 t( 同 1・8 % 増 ) と 前
年 か ら 増 加 し ま し た( 図
参考②:畜産の情報 2014 年 10 月号「対日牛肉輸出国の生産・輸出状況(米国、豪州、カナダ)
」
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2014/oct/spe-03.htm
2015.1
alic
09
412
30
消費量(千t)
4
41
図4 中国の牛肉の需給状況(2013 年)
244
420
3
1
13,350
13,174
4
4
5,637
5,959
生産量(千t)
1
24
42
alic seminar
の農 畜 産 物 の 需 給 状 況 を 把 握 す る
alic調査情報部では、最近
月に 年ぶりに日本向け生鮮
が合意されたことから、2013
た。しかし、両国の家畜衛生条件
は加熱加工品に限られていまし
に、タイ産鶏肉輸出への期待が高
鶏肉の世界的な需要増加を背景
れます。
を主体とした輸出を行うと見込ま
ランドとなっており、 割が冷凍、
(水牛肉)
、豪州、米国、ニュージー
牛肉の主要輸入先国はインド
は年々、増加しています。
クに減少傾向であり、牛肉輸入量
タイ産生鮮鶏肉解禁による日本への輸出見通し
ベトナムの牛肉需給をめぐる最近の状況
ため現地調査を実施しておりま
年
まっていますが、タイ国内では環
鶏肉が食肉消費の大半を占め
くなるといった課題もあり、大幅
労働力の確保や飼料の調達が難し
境問題への対応や経済成長に伴い
流 通 形 態 と し て は、 生 鮮 食 肉
冷蔵の輸入が多いのが特徴です。
豪州及びニュージーランドからは
及、共働き世帯の増加といったラ
タイ
ベトナム
10
2015.1
alic
当日の詳しい資料はこちらでご覧いただけます。
検索
http://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000421.html
す。
鶏肉輸出が解禁されました。
今 回 は、 調 査 情 報 部 調 査 役 の
トナ ム ) よ り 調 査 結 果 を 報 告 し ま
る タ イ で は、 鶏 肉 は 生 産 量、 消
西村 博 昭 ( タ イ ) 及 び 木 下 瞬 ( ベ
したので、その概要を紹介します。
のニーズが高いことから伝統的な
たい
な輸出増加は困難との見方がある
おん
費 量 と も に 増 加 傾 向 で、 近 年 は
年ぶりに日本向け生鮮鶏肉の
が主流ですが、冷蔵庫などの耐久
の輸入が解禁(ベトナム)
イフスタイルの変化を背景に冷凍
て い ま す。 輸 出 先 は 生 鮮 鶏 肉 が
が、 今 年 か ら 日 本 向 け 輸 出 も 増
ベトナムの食肉消費量は周辺諸
牛肉市場の拡大も期待されます。
輸出が解禁(タイ)
え て き て い ま す。 一 方、 加 熱 加
国に比べて多く、豚肉、鶏肉は輸
一方、価格や流通面のメリット
消費財やスーパーマーケットの普
20 0 4 年 に 発 生 し た 鳥 イ ン フ ル
工 品 は E U、 日 本 が 二 分 し て い
出もしています。
牛肉に関しては、
から、近年、生体牛の輸入も急増
月から日本産牛肉
エン ザ を 契 機 に 日 本 へ の 輸 出 が 禁
る 状 況 で す。 ま た、 輸 出 部
近年、所得の向上と人口の増加を
E U、 ラ オ ス、 マ レ ー シ ア で す
止さ れ 、 以 降 、 日 本 向 け 鶏 肉 輸 出
位 に つ い て は、 食 習 慣 の 違
出制限したことから、豪州産が増
しています。輸入先国は豪州、タ
ベ ト ナ ム 国 内 で の 牛 肉 生 産 は、
加しています。今後も生体での輸
背景に消費が拡大しており、特に
生鮮鶏肉の日本向け輸出は
小 規 模 農 家 に よ る 放 牧 が 主 体 で、
入が主流になると予測されます
い か ら 日 本 向 け は モ モ 肉、
解禁されましたが、タイの鶏
配合飼料は高価なため、本格的な
が、 他 国 と も 競 合 す る こ と か ら、
イ、ラオス、カンボジアとなって
肉企業は安価なブラジル産生
肥 育 は あ ま り 行 わ れ て い ま せ ん。
輸入頭数の確保が課題となってい
外資系外食産業の進出が輸入牛肉
鮮鶏肉との競合を避け、今後
肉用牛飼養頭数は、都市化・工業
ます。
EU向けはムネ肉が中心と
も引き続き加工技術を活かし
化の進展に伴い2007年をピー
おり、特に2012年にタイが輸
た付加価値の高い加熱加工品
の消費を牽引しています。
4
なっているのが特徴です。
2014年
温と体(と畜後冷蔵しないで出回る)
9
ようです。
10
特に輸出量の伸びが大きくなっ
12
タ イ 産 の 生 鮮 鶏 肉 に つ い て は、
10
回農林水産祭「実りのフェスティバル」に参加しました
本物のてん菜に驚く来場者
第
月
〜
月
日
alicでは、今後も引き続き
日(金)~ 月
alicブースでは、さとうき
月
利用者の方の立場に立った情報提
平成 年
びやてん菜の展示のほか、農畜産
日(土)の 日間、東京・池袋
供に尽力してまいりたいと思って
ないてん菜の前では多くの方が足
日頃、なかなか目にすることが
いいただける画像の貸し出しを
DVDおよび給食だより等にお使
で は イ ベ ン ト 用 の 各 種 パ ネ ル、
な お、 a l i c 広 報 消 費 者 課
を止め、職員の説明に耳を傾けて
行っております。
また、
ホームペー
ジでは各種セミナー、イベント等
の情報も掲載しております。
alic広報消費者課あてお問い
ご 利 用 を ご 希 望 の 場 合 は、
性や国産を上げる方が多くみられ
合わせください。
た。
回答がありまし
らなかった」との
が「alicを知
一方で、半数の方
との回答があった
を初めて知った」
なった」
「てん菜
ま た、
「勉強に
ました。
る際に気をつける点として、安全
ンケートでは、農畜産物を購入す
ご来場いただいた皆さまへのア
いました。
いてご案内しました。
物に関するクイズやDVDの放
なわれました。
のサ ン シ ャ イ ン シ テ ィ ・ ワ ー ル ド
道府 県 の ブ ー ス で は 各 地 の 旬 の 農
会場には のブースが並び、都
に参 加 し ま し た 。
催された「実りのフェスティバル」
2
54
畜産 物 や 名 産 品 の 試 食 や 販 売 が 行
北海道の圃場から取り寄せた泥付きのてん菜
11
おります。
11
31
映、パネルなどを通して業務につ
31
10
イン ポ ー ト マ ー ト ビ ル に お い て 開
10
1
鹿児島県徳之島から
取り寄せたさとうきび(農林 8 号)
また農林水産関係団体のブース
では各種展示品を興味深そうに眺
めるお子様連れの方などの姿が見
受けられました。
日間で 万人を超え、多
屋内開催ということもあり来場
者数は
4
くの皆さまが収穫の秋を楽しんで
2
いる様子がうかがえました。
2015.1
alic
11
26
53
機
構
の
動
き
1
1
の代表が、自らの経営概況や組織
徳之島町文化会館他 論を活発に行い、共に生産振興を
の取り組み内容とともに、さとう
年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会
alicでは、さとうきび生産
図っていくことは意義深い取り組
平成
に関 す る さ ま ざ ま な 課 題 を 、 鹿 児
めの活動内容や課題を発表しまし
きび生産の担い手を育てていくた
今年度の検討会は、鹿児島事務
た。参加者は、それぞれの立場に
みです。
なっ て 解 決 し て い く こ と を 目 的 と
所の主催により鹿児島県の徳之島
おいて今後の業務に役立てていけ
島県と沖縄県の関係者が一体と
して 、 毎 年 「 さ と う き び ・ 甘 蔗 糖
において、平成 年 月 日(水)
来に よ り 倒 れ て し ま っ て も 再 び 起
催し、両県から生産者、JA、製
さとうきび育種に関する研究成果
いました。また、研究機関による
月
日~
日
を奨励しているさとうきびの品種
さとうきび畑では、参加者は積極
に 違 い が あ る と い う こ と も あ り、
島内の関連施設などを視察しま
年 度 に 一 部 通 水 が 予 定 さ れ、
にしました。
する情報を存分に収集して島を後
島内のさとうきび生産と製糖に関
ダムなども視察。参加者は徳之島
奄美群島で最大規模となる徳之島
成
とうきび苗の培養施設のほか、平
南西糖業株式会社の製糖工場やさ
また、徳之島の製糖業者である
どを行っていました。
的にほ場に入り生育状況の確認な
○検討会 日目
り、時折小雨がぱらつく天候でし
製糖工場(南西糖業 ㈱ )での説明
期待がかかる新技術の発表では質
9
たが、鹿児島県と沖縄県では栽培
糖業者、行政関係者など約250
徳之島町文化会館で意見交換な
8
問が相次ぎました。
き上 が り 、 水 不 足 の 状 態 が 続 い て
然災 害 に 強 い 作 物 で 、 両 県 の 生 産
作物 で あ り 、 か つ 宝 物 で す 。 そ の
ど を 行 い ま し た。 基 調 講 演 で は、
者や 製 糖 業 者 に と っ て 大 変 重 要 な
意味 で も 、 両 県 の さ と う き び 関 係
宇 都 宮 大 学 の 神 代 英 昭 准 教 授 が、
10
した。当日は台風 号の接近によ
さとうきびの生育状況を確認する参加者
開催地である徳之島島内における
さとうきび生産の農作業受委託の
取 り 組 み に つ い て、 フ ィ ー ル ド
ワークを含め 年間かけて調査し
た結果を報告しました。検討会に
は徳之島島内の生産者も多く出席
しており、調査に協力いただいた
みなさんへ調査結果を直接報告す
る場ともなりました。
パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン で は、
19
○検討会 日目
発表も行われ、今後の開発成果に
るよう、熱心に議論に耳を傾けて
関 係 検 討 会 」 を 開 催 し て い ま す。
8
~ 日(木)の 日間にわたって開
10
人に出席していただきました。
さと う き び は 、 度 重 な る 台 風 の 襲
2 26
3
2
1
者が 、 一 堂 に 会 し て 意 見 交 換 や 討
活発な討論が行われたパネルディスカッション
12
2015.1
alic
26
も、 雨 が 降 れ ば 新 し い 葉 を 出 す 自
9
各島、各地域のさとうきび生産者
27
2
日本の
「和牛」
を世界へ ~フランス・SIAL 2014編~ ノールヴィルパント見本市会場(パリ) 月 〜 日
物等 の 輸 出 促 進 の 取 り 組 み を 成 長
中、 政 府 は 、 国 を 挙 げ た 農 林 水 産
昨今、攻めの農業が推進される
催された世界最大級の高級食材
産 会 ) は、 フ ラ ン ス の パ リ で 開
会(事務局:公益社団法人中央畜
この度、和牛輸出戦略検討委員
対する関心の高さがうかがえまし
数の来場者を集めるなど、和牛に
スに比べ期間中一貫して圧倒的多
また、和牛ブースは、他のブー
高い評価が得られました。
て、驚きとともにその美味しさに
美しい霜降りと豊かな風味につい
来場者からは、和牛だけが持つ
○来場者の声
戦略 に 掲 げ て い ま す 。 特 に 牛 肉 に
見本市「SIAL 2014」に参
の和牛の味に触れました。
つい て は 、 重 点 品 目 の 一 つ に 掲 げ
イギ リ ス 、 メ キ シ コ な ど で 積 極 的
ブース設置による和牛セミナーお
とした試食提供でしたが、脂肪分
貢献して参りたいと考えています。
に向 けて積 極 的に発 信 することに
大に向けて和 牛の魅 力 等を、 外 国
今後とも、 当機構は、 和牛輸出拡
の普及を行うことも欠かせません。
だけでなく、 調 理やスライス方 法
食 材としての和 牛の魅 力を伝 える
等を把握し、 現地実需者に対して
ションを行う上では、各国の食文化
活動が求められています。プロモー
後も商 機 拡 大のためには継 続 的な
で各 国で行われてきましたが、 今
促 進に向 けた 取り組みは、これま
オールジャパンとしての和牛輸出
○今後の取り組み
できました。
らも、軒並み高評価を得ることが
の多さを嫌う傾向にある欧米人か
なお、今回はA
ランクを中心
た。
23
加し、プロモーション活動(和牛
19
られ、これまで、米国、ベトナム、
10
4
よ び 試 食 提 供 ) を 実 施 し ま し た。
ドイツのANUGA(奇数年に開催)に並ぶ世界最大規模の食品
見本市。
なプ ロ モ ー シ ョ ン 活 動 が 行 わ れ て
開催場所:フランス(パリ)
ノールヴィルパント見本市会場
日 時:平成26年10月19日(日)~23日(木)
来 場 者:輸出入業者、卸売業者、バイヤーなど
※SIALとは…
偶数年にフランスで開催される高級食材見本市。
出展社数は6000社程度。来場者は15万人程度。
当機構も参画しましたので、その
和牛ブース内で講演する強谷総括理事(左)
きま し た 。
概要を報告します。
和牛ブース内では、
期間中、
来場者を対象に、当機構の強
谷総括理事のほか 名の講師
し ゃ ぶ、 牛 丼 を 調 理 実 演 し、
伝 え る べ く、 炙 り 寿 司 や 冷
田副料理長が、和牛の風味を
て、「 銀 座 奥 田 」 パ リ 店 の 石
心 が 寄 せ ら れ ま し た。 そ し
れた「華盛り」には多くの関
り、すき焼き用に盛り付けら
本特有のスライスの実演があ
オンの植村常務取締役から日
た。また、㈱ミートコンパニ
性について講演を行いまし
から和牛の特徴や魅力、安全
3
連日、多くの来場者が「本物」
2015.1
alic
13
3
■SIAL 2014開催概要
でん粉からできる異性化糖
異性化糖は、砂糖がさとうきび
の力を借りてぶどう糖の一部を甘
みの強い果糖に変えるのです。
砂糖の成分のショ糖は、ぶどう
糖と果糖の分子が一つずつ結合し
た結晶です。これに対し、異性化
糖は果糖とぶどう糖の分子が混
ざっただけの液体で、砂糖のよう
に粒状ではありません。ほとんど
が飲料などの食品メーカー向けに
出荷されますが、アイスコーヒー
に加えるガムシロップなどで目に
することができます。
異性化糖の普及
異性化糖は、日本の研究者が砂
糖の代替として1960年代後半
に発明し、生産技術が開発されま
した。当時の日本での評価は高く
ありませんでしたが、以後さまざ
まな改良が加えられ、キューバ革
14
2015.1
alic
業務 関 連 情 報
化しませんが、果糖は冷やした方
の甘みは、温度によってさほど変
清涼飲料水の缶の成分表に「果
が甘みをより強く感じるので、清
清涼飲料水に使われる異性化糖
糖ぶ ど う 糖 液 糖 」 と 書 か れ て い る
涼飲料水には果糖を多く含んだ
れます。
「果糖ぶどう糖液糖」がよく使わ
のを ご 覧 に な っ た こ と が あ る か も
しれ ま せ ん 。
これは異性化糖という甘味料の
一種 で 、 砂 糖 と 比 べ て キ レ の あ る
化糖 に は 同 じ よ う な 名 前 の 「 ぶ ど
や て ん 菜 か ら 作 ら れ る の に 対 し、
異性化糖の原料
う糖 果 糖 液 糖 」 も あ り ま す が 、 こ
とうもろこしやばれいしょ(じゃ
爽や か な 喉 越 し が 特 徴 で す 。 異 性
ちら は ぶ ど う 糖 が 果 糖 よ り 多 く 含
がいも)、かんしょ(さつまいも)
H
まれ て い ま す 。 ぶ ど う 糖 と 果 糖 の
でん粉を分解してぶどう糖にし
OH
などに含まれるでん粉から作られ
果 糖 は、 り ん ご
た後、ぶどう糖の一部を酵素で果
OH
ど ち ら が 多 く 含 ま れ て い る か で、
や西洋ナシなどの
糖に変換(「異性化」
)して異性化
H
ます。
果実や蜂蜜に多く
糖は作られます。
植物は、葉緑体で光合成を行い、
H
OH
C
名前 の 順 序 が 変 わ り ま す 。
含 ま れ て い て、 甘
味 度 は 砂 糖 の 1・
種子、果実などにでん粉として蓄
太陽と空気中の二酸化炭素と水か
の重要なエネル
えます。ですから逆にでん粉を加
7 倍 程 度 で す。 ぶ
ギ ー 源 で、 ぶ ど う
水分解すればぶどう糖に戻せるの
らぶどう糖をつくり、植物の根、幹、
や柿などに多く含
です。ただ、ぶどう糖は砂糖の
割程度の甘みしかないので、酵素
果糖ぶどう糖液糖
のサンプル
OH
H
C
C6 H12O6
C
C
〈果糖〉
C6H12O6
〈ぶどう糖〉
C6H12O6
C
C
C
C12H22O11
〈果糖〉
C6H12O6 − H2O
〈ぶどう糖〉
C6H12O6 +
C
CH2OH
OH
OH HO
H
H
OH
HO
+
CH2OH
OH
H
O
H
OH
HO
C
C6 H12O6
H
O
H HOCH2
O
C
C
H
C
異性化糖
C
C
C
H
CH2OH
CH2OH
C
H
H
O
H HOCH2
O
C
H
ど う 糖 は、 動 植 物
まれています。
砂糖やぶどう糖
7
C
砂糖
(ショ糖)
清涼飲料水の成分表
砂糖と異性化糖の構造図
た米 国 の 大 手 清 涼 飲 料 メ ー カ ー が
命に よ り 砂 糖 を 輸 入 で き な く な っ
特に鹿児島県産のかんしょでん粉
粉 が 原 料 と し て 使 わ れ て い ま す。
の主な用途になっています。
使っ た 清 涼 飲 料 を 世 界 的 に 売 り 出
この 技 術 に 着 目 し て 、 異 性 化 糖 を
であり、さつまいもは、鹿児島県
ともに輪作体系に欠かせない作物
帯において麦類、豆類、てん菜と
じゃがいもは、北海道の畑作地
した 結 果 、 広 く 普 及 す る よ う に な
(特産調整部、特産業務部)
定を図っています。
し、でん粉の生産・供給体制の安
とで、国内の生産者の方々を支援
製造事業者に交付金を交付するこ
いも生産者や国内産いもでん粉の
れを財源として、でん粉原料用の
される際に、調整金を徴収し、こ
チ用とうもろこしやでん粉が輸入
法律」に基づいて、コーンスター
糖及びでん粉の価格調整に関する
こ の た め、 a l i c で は、
「砂
価格差があります。
価な輸入でん粉と比べると大きな
を原料とするコーンスターチや安
な差があるので輸入とうもろこし
生産条件や工場の立地条件に大き
要な輸出国と比べると原料作物の
一方、国内産いもでん粉は、主
支える重要な作物です。
厳しい環境のなかで農家の経営を
いシラス土壌で、台風も常襲する
において干ばつの被害を受けやす
異性化糖の原料とうもろこし・ばれいしょ
(じゃがいも)
・かんしょ(さつまいも)
りま し た 。
現在では、異性化糖は、天然甘
味料 と し て 多 く の 食 品 に 使 わ れ て
いま す 。 温 度 が 低 く な る ほ ど 甘 み
が増 す 性 質 か ら 、 清 涼 飲 料 、 乳 性
飲料 、 冷 菓 の ほ か 調 味 料 や パ ン な
ど幅 広 い 製 品 に 使 わ れ て い ま す 。
異性化糖は液体でサラッとして
いるため取り扱いが容易で、タン
クローリーで大量に輸送できたり、
タン ク で 安 定 的 に 保 存 で き る 長 所
がある一方、熱に弱く、加熱調理
すると着色することがあります。
生産者の皆さんを支援
異性化糖は米国では全部とうも
ろ こ し で ん 粉( コ ー ン ス タ ー チ )
か ら つ く ら れ ま す が、 日 本 で は、
輸入とうもろこしから作られる
コー ン ス タ ー チ の ほ か に 、 北 海 道
で栽 培 さ れ た じ ゃ が い も や 、 鹿 児
島県 や 宮 崎 県 で 栽 培 さ れ た さ つ ま
いも か ら 作 ら れ た 国 内 産 い も で ん
写真撮影協力:日本澱粉工業株式会社
2015.1
alic
15
異性化糖工場の外観
異性化糖を出荷するタンクローリー
まめ知識
資源循環型農業ってなあに?
の深い畜産、野菜、砂糖、でん
今回は、当機構の業務に関係
指したのです。苗の移植の機械
一になるためのブランド化を目
プレッダーといわれる専用の機
させた完熟堆肥を、マニュアス
を生産する営みは、地力を維持
機資源を循環させながら農産物
組みとなっています。
用した土作りは、息の長い取り
(JA榛沢)における堆肥を利
埼玉県の榛沢農業協同組合
産地を目指す
(埼玉県JA榛沢)
土作りで日本一のブロッコリー
でした。JA全農さいたまのブ
する」という考えに立ったもの
ることが作物の品質向上に直結
り で す。 こ れ は、
「地力を高め
いだのが堆肥の投入による土作
行いましたが、中でも、力を注
ての面でさまざまな取り組みを
など、生産・流通・販売のすべ
地を支える柱の一つとなってい
は、全国有数のブロッコリー産
ての生産者による堆肥の利用
JA榛沢を仲立ちとしたすべ
リットが生まれています。
の処理コストを賄えるというメ
とっても、堆肥の販売でふん尿
質 が 向 上 す る 上、 畜 産 農 家 に
が増すなど、ブロッコリーの品
ところが、化学肥料や農薬へ
ど、わたしたちの「食」を支え
による環境問題が発生するな
は、牛ふんなどの家畜排せつ物
し、卸売市場や量販店から高い
沢といわれるほどに名前が浸透
は、ブロッコリーの産地なら榛
けが多く、特に、ブロッコリー
堆 肥 の 散 布 は、 ブ ロ ッ コ
た生産を行っています。
ら提供される堆肥を利用し
農 家 が、 肉 用 牛 肥 育 農 家 か
内のすべてのブロッコリー
の依存が進み、ある地域では堆
る農業は将来にわたって持続し
評価を得ています。また、肉用
リー農家が個々に行うので
の必要量をとりまとめて散
牛肥育農家から排出される
16
2015.1
alic
自然の資源のつながり
米や野菜などの農産物を収穫
農家にとっては、堆肥の投入で
械で散布します。ブロッコリー
めの真空予冷施設の建設、量販
ほ場の水はけが良くなり、甘み
化、鮮度をより長く維持するた
に取り組んでいる事例をご紹介
店での試食キャンペーンの実施
粉の各分野で、資源循環型農業
のえさとなり、その家畜のふん
します。
した後のわらや収穫くずが家畜
から堆肥が作られ、その堆肥で
し、持続性が高い理想的な農業
大消費地の近郊にあるJA榛
ランドである「菜色美人」の認
ま す。 J A 榛 沢 の 取 り 組 み は、
農産物が育つ。このように、有
肥などの有機質が極端に欠乏す
沢は、ブロッコリー、スイート
証を受けた平成 年以降は、管
ていけるのだろうかという問題
牛の肥育や養鶏といった畜産業
はなく、JA榛沢が農家ごと
はんざわ
ることによって耕地が年々や
コーン、ねぎなどの野菜の作付
体系といえます。
せ、また、畜産の盛んな地域で
が浮上してきました。
も盛んです。
ブロッコリー産地日本一を目
こうした中、畜産や農業で出
る廃棄物などを地域の有機資源
布業者(オペレーター)に依
頼 す る 形 で 行 わ れ て い ま す。
指す取り組みは、昭和 年にス
タートしました。その前年の昭
を縮小する産地が多い中、JA
オペレーターは、地元の肉用
組む動きが各地で見られるよう
牛ふんを約
年かけて発酵
榛沢は拡大路線を選択し、日本
1
ほ場に堆肥を散布するマニュアスプレッダー
2
として有効に活用し、環境に配
慮した持続性の高い農業、いわ
和
年、価格が大暴落して生産
ゆる〝資源循環型農業〟に取り
60
になっています。
59
まめ知識
資源循環型農業による高品質の
野菜生産の優良事例といえるで
しょう。
美大島は肉用子牛の飼育も盛ん
副産物が発生します。一方、奄
物(ケーキ)など、さまざまな
(灰)、製糖過程で発生する不純
れています。
食べるため、飼料として利用さ
葉は栄養価が高く、牛が好んで
らに、さとうきびの先端の茎や
な役割を果たしています。
つきを強め、資源循環にも大き
とうきびが各分野の農業の結び
このように奄美大島では、さ
で、牛ふん堆肥が、さとうきび
(模式図) 奄美大島におけるさとうきびを中心とした地域資源循環
畑などの肥料として以前より用
いられてきました。
そこで、平成 年に完成した
奄美市有機農業支援センター
(以下「ゆうのうセンター」
)は、
バーク︵敷料︶
牛糞
肉用子牛生産者
さとうきびの茎や葉(飼料)
ハカマ
(敷料)
養鶏経営
さとうきび
ハ カ マ な ど の 副 産 物 と 牛 ふ ん、
鶏ふん、島内の木材チップセン
牛ふん
ターから受け入れる樹皮(バー
ク)などを混ぜ合わせて堆肥を
製造し、さとうきび生産者はも
ちろんのこと、野菜や果樹の生
きび生産者は、センターで製造
産者に販売しています。さとう
島全体で資源循環型農業を実践
された堆肥を畑に散布し、化学
肥料の使用で地力が低下してし
まった土壌の改善に役立ててい
ます。
一方、肉用子牛生産者も、ゆ
うのうセンターから提供された
バークや、さとうきび生産者か
ら提供されたハカマを、敷料と
いう牛の寝床に敷くものの中に
混ぜ込んで利用しています。さ
さとうきびの茎や葉(飼料)
堆肥
さとうきび生産者
バーク
ハカマ・バガス・灰・ケーキ
センター
奄美市有機農業支援センター
(ゆうのうセンター)
木材チップ
富国製糖株式会社
18
(鹿児島県奄美市)
さとうきび産地である鹿児島
県の奄美大島では、製糖段階で
発生する副産物を活用した資源
循環型農業が実践されていま
す。
さとうきびから砂糖を製造
す る 際 に は、 さ と う き び の 収
穫 残 さ( ハ カ マ ) や 絞 り か す
( バ ガ ス )、 バ ガ ス の 燃 え カ ス
2015.1
alic
17
根が張り、茎がしっかりしたブロッコリー
鶏ふん
まめ知識
粕と混ぜて、町内のTMRセ
ンター 注や酪農家へ供給して
すことで、牛の飼料として適切
して発酵させるなどの処理を施
となっていますが、水分を調整
要があるために収穫作業の負担
は、収穫前に刈り取っておく必
て い ま す。 さ つ ま い も の 茎 葉
やホームページを通じて、関係
情報」
、
「砂糖類・でん粉情報」
)
情 報 誌(
「 畜 産 の 情 報 」、
「野菜
業 務 に 関 連 す る 情 報 を 収 集 し、
を支える農業のうち、当機構の
事 例 な ど、 わ た し た ち の「 食 」
当機構では、今回ご紹介した
18
2015.1
alic
でん粉分野でも家畜の飼料化
などに貢献(北海道、鹿児島県)
います。
に利用できることがこれまでの
す。
が一層進むことが期待されま
ば、生産物の垣根を超えた連携
このような取り組みが広がれ
者の皆さまに提供しています。
かんしょ(さつまいも)の茎葉(つる)収穫機
研究で明らかにされています。
発や牛への給与試験が行われ
を飼料化するための機械の開
(さつまいも)の茎葉(つる)
粉などの原料となるかんしょ
また、鹿児島県では、でん
給する施設。
製 造 し、 畜 産 農 家 に 供
注:粗飼料と濃厚飼料を組
み合わせた牛の飼料を
でん粉分野でも、資源の有効
活用に向けた取り組みが進めら
れています。
北海道オホーツク地域にある
小清水町農業協同組合(JAこ
しみず)は、ばれいしょでん粉
を製造する過程で生じる副産物
のほぼ全量を乳牛用の飼料とし
て利用しています。
でん粉の精製過程で発生する
排液は、腐敗が進みやすく飼料
化になじまないと考えられてい
ましたが、JAこしみずは、酸
を利用して排液中に含まれるタ
ンパク質を回収する技術を開発
し、飼料にすることに成功しま
した。その結果、家畜飼料のタ
ンパク源として一般的に利用さ
れている大豆粕と同等、または
それ以上の栄養価でありなが
ら、大豆粕よりも安価な飼料原
料として利用できるようになり
ました。
JAこしみずは、排液から回
収したタンパク質を同じくでん
粉の製造過程で発生するでん粉
ばれいしょ(じゃがいも)の畑
排液タンパクを混ぜた TMR 飼料を食べる牛
alic
編集部から
表紙の「しいたけ」は、英語・フランス語でも「shiitake」
と呼ばれる日本と中国が原産の野菜です。
日本での生しいたけの生産量は、今月号の「第一線か
ら」で紹介した菌床栽培では、徳島県が一番多く、北海道、
岩手県と続きます。一方、原木栽培では、群馬県、静岡
県、鹿児島県が多くなっています。
一年中、店頭で目にする野菜ですが、本来の旬は春と
秋で、それぞれ「春子」と「秋子」と呼ばれます。春子は
身が締まったうま味、秋子は香りが高いのが特徴です。
現在では、生産の 8 割以上を占める菌床栽培の普及に
より、良質な生しいたけを安定して収穫できるようにな
りました。
しいたけは、鮮度が落ちやすいため昭和 20 年代まで、
ほし
そのほとんどが乾しいたけとして流通しました。乾しい
たけは、保存食ですがうまみ成分も豊富に含むため水に
戻して出汁を煮物に使うなど、幅広く利用できます。生
しいたけとは産地が異なり、大分県、宮崎県が主な産地
です。
2014 年 11 月に発行しました広報誌 a l i c
(vol.16)に誤りがございました。以下の
ように訂正し、お詫び申し上げます。
13 頁 2 段目
明歴年間(誤)
明暦年間(正)
alic(エーリック)1月号(No. 17)
2015年1月7日発行(隔月発行)
漢方薬としても利用されるしいたけは、食物繊維やミ
ネラルのほかにも、ビタミン類を豊富に含む低カロリー
のヘルシー野菜で、ほかのきのこ類にはない「エリタデ
ニン」と食物繊維の複合作用で、高血圧や動脈硬化等の
生活習慣病を改善する効果が期待できます。寒さが増し
てくる季節、鍋の具材などで召し上がってみてはいかが
でしょうか。
<これからの予定>
◇2015年1月29日(木) alicセミナー
会 場:当機構 北館6階大会議室
テーマ:社会インフラ化したコンビニと
発行元 独立行政法人農畜産業振興機構
(alic:エーリック)
今後の販売戦略
講 師:一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会
Agriculture & Livestock
専務理事 伊藤 廣幸 氏
Industries Corporation
〒106-8635
東京都港区麻布台2-2-1
麻布台ビル
電話 03-3583-8196(広報消費者課)
FAX 03-3582-3397
URL http://www.alic.go.jp/
※本誌掲載記事の転載をご希望の場合は上記
窓口までご相談下さい。
19
alic
2015.1
ちー助
ベジ菜
かん子
ぷん太
次号は2015年3月4日発行です。
ご意見、ご感想等ございましたらお寄せ下さい。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
独立行政法人農畜産業振興機構(農畜産機構)
〒106−8635 東京都港区麻布台2−2−1麻布台ビル
TEL 03-3583-8196 FAX 03-3582-3397
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