...

製造業分野-2 (PDF:1184KB)

by user

on
Category: Documents
0

views

Report

Comments

Transcript

製造業分野-2 (PDF:1184KB)
(砂利・砕石業等分野)
砂利・砕石業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
(1)製品への放射性物質の含有について
取引先が、放射能汚染を懸念して取引を停止したことにより売上が減少した事例
がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、過去数年の販売実績データがある
と考えられる。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
(1)従業員避難等による工場への操業影響について
避難等の政府指示の区域内に居住する従業員がいるため、安定出勤が難しく、工場
の操業が出来ていない事例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示、出荷記録、電
力使用量、従業員出勤簿等があると考えられる。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
(1)設備改修費用
避難等の政府指定区域内にある事業所において、長期放置により原料・製品が固ま
り、貯蔵設備が使用不能となったため改修等が必要となる事例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示、震災前の営業実
績、改修工事見積もり書等があると考えられる。
(2)避難等地域における作業に伴う損害について
計画的避難地域内にある事業所では、屋外作業後にシャワーによる洗浄の指示が
あるが、断水等により水道が使えないため、井戸ポンプ取り付け等の設備設置費用
が発生している事例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示、屋外作業に係
る行政からの指示書等があると考えられる。
555
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)国内向けの製品に関する放射線検査費用について
下水汚泥等を原料の一部として利用していたが、広い範囲の下水処理場等で放射
性物質が検出されたため、下水汚泥等を利用した人工軽量骨材の安全確認のため検
査が必要となった。また、原子力災害対策本部からも下水汚泥等の利用に係る指針
が示されており、クリアランスレベルを満たしているかの検査が必要となった事例
がある。放射線量測定のための機器購入費用や検査の外部委託に伴う費用(サンプ
ルとして提出しなければならない製品の費用を含む)が損害として発生していると
考えられる。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、各自治体における下水汚泥等の放
射能濃度の公表、原子力災害対策本部からの指針、第三者機関による放射能濃度計測
結果等があると考えられる。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給先企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業への製品供給が途絶したことにより、減
産せざるを得なくなり、営業損害が発生した事例がある。
砂利・砕石業の場合、製品の重量の関係で輸送コストが高く、地産地消が一般的で
あり、別の地域にはその地域の業者がいるため、直ちに別地域で販売することは難し
いと考えられる。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示、過去数年の販売
実績データがあると考えられる。
3.その他
(1)下水汚泥等の有償受入に係る損害について
人工軽量骨材については、リサイクル原料として下水汚泥等を自治体から有償で
受入を行っていたが、下水汚泥等から放射性物質が検出されたことにより、受入停
556
止を行わざるを得ず、当該受入に係る処理収入減収による営業損害が発生した事例
がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、各自治体における下水汚泥等の放
射能濃度の公表、原子力災害対策本部からの指針、放射能濃度検査結果等があると
考えられる。
(2)放射性物質を含む原料・製品の廃棄に係る損害について
人工軽量骨材については、リサイクル原料として自治体から受け入れた下水汚泥
等の中には、高濃度の放射線が検出されたため、未処理の原料のままや、製品とし
て保管されているものがあり、これらを廃棄物として処理する際に費用が発生する
事例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、各自治体における下水汚泥等の放
射能濃度の公表、原子力災害対策本部からの指針、放射能濃度検査結果等があると
考えられる。
557
(ガラス業分野)
ガラス業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
欧州、アジア等へ輸出する際、輸出先国の規制により、非汚染証明が必要とされ
ているため、放射線検査を行った事例がある。放射線量測定のための機器購入費用
や検査の外部委託に伴う費用(サンプルとして提出しなければならない製品の費用
を含む)が損害として発生していると考えられる。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、輸出先国の通達文や海外取引先企
業からの検査要求書類・メール等があると考えられる。
558
(2)国内向けの製品に関する放射線検査費用について
購入した原材料・製品等から放射線が検出されると使用できないため、放射線の
有無について自主的に検査を行った事例がある。放射線量測定のための機器購入費
用が損害として発生している。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、各地域の放射線モニタリングデー
タがあると考えられる。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことにより、
代替製品への切り替えのための試験評価等が必要となり、その間の生産停止による営
業損害や試験評価費用が発生した事例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示があると考えられ
る。
3.その他
特になし
559
(住宅産業分野)
住宅産業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
住宅の建設予定地が警戒区域(福島第一原子力発電所20km圏域)に指定され、
建設ができなくなったが、注文住宅のため、転用の利かない部材が不良在庫となる事
例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示、建築請負契約書
等があると考えられる。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
顧客が小さい子供への放射線の影響を懸念して、新築住宅の工事請負契約を着工前
に解約された事例がある。(福島市内、宇都宮市内で各1件)
当該損害の発生理由の客観的データとしては、各地域の放射線モニタリングデータ、
工事請負契約書等があると考えられる。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
560
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
特になし
2.サプライチェーンにおける間接損害について
特になし
3.その他
特になし
561
(建材業分野)
建材業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
日本家屋が多い地域であることからも、例年は新年度に向けての畳の入れ替えなども
多いが、政府指示による避難等により、20㎞圏内の畳業者では、休業状態に、20㎞
圏外の畳業者においても近隣顧客の減少による、注文の激減となっている。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示があると考えられる。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
ロシア、韓国等の国へ輸出する際、輸出先国の規制により、非汚染証明が必要と
されているため、放射線検査を行った事例がある。放射線量測定のための機器購入
費用や検査の外部委託に伴う費用(サンプルとして提出しなければならない製品の
562
費用を含む)が損害として発生していると考えられる。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、輸出先国の通達文や海外取引先企
業からの検査要求書類等があると考えられる。
(2)国内向けの製品に関する放射線検査費用について
取引相手先企業からの要請により、非汚染証明が必要とされたため、放射線検
査を行った事例がある。また、製品に関する放射線の規定がないので、自主的に
定期的な検査を実施している事例がある。放射線量測定のための機器購入費用や
検査の外部委託に伴う費用(サンプルとして提出しなければならない製品の費用
を含む)が損害として発生していると考えられる。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、取引先企業からの検査要求書類
等、各地域の放射線モニタリングデータがあると考えられる。また、農産物等に
係る政府出荷制限指示等に影響を受けた取引先顧客からの製品検査要請等(口答)
により、自主的判断で検査を実施している。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことによ
り、代替製品の生産等への切り替えが必要となり、一時的な生産停止や原料コスト
の増加などの営業損害が発生した事例があった。
また、一部製品の主原料となるセメントから放射性物質が検出されたため、出荷
停止となり、原料仕入先の変更や在庫製品の出荷自粛をした事例がある。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、避難等の政府指示、各自治体にお
ける下水汚泥等の放射能濃度の公表があると考えられる。
3.その他
特になし
563
(素形材分野)
素形材分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
(1)工場移転よる諸手当について
現地での生産活動ができなくなったため、他地域で仮設工場等を用いて稼働さ
せたことにより、社員の通勤に係る手当てや単身赴任手当等、諸手当に係る費用
負担が発生した事例があった。
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
(1)福島県内立地企業の風評被害について
原発事故が終息せず、影響が多方面に及んでいることから、取引自体が続くか
どうかを不安視している企業があるため、受注機会が減少している。海外からの
受注獲得も困難で、外資系顧客の一部では、東京電力の福島第一原発から80k
m圏内企業からの購入禁止指示が出ている模様。これらの風評被害をなくすため
に、取引先企業に対して自社の現状を説明しに一社ずつ訪問している事例もある
が、この作業にかかる人件費や旅費等のコストは膨大である。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
564
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
ドイツ、サウジアラビア、イラク、クエート、ベルギー、韓国、台湾等の国へ
輸出する際、非汚染証明が求められ、放射線検査を行った事例があった。
(2)国内向けの出荷品及び廃棄物に関する放射線検査費用について
国土交通省からセメント製品の放射能量に関する指針が示された事に伴って、
廃砂引き取り業者等から放射能濃度の測定を求められる事例があった。
(3)原子力発電所関連の製品の放射線測定
原子力発電所関連の製品に関して、部材交換の際に放射線量の残量測定を要請
されるケースがあり、測定器が必要となった。また、作業時の防護服等の準備を
要した。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
取引先の部品メーカが政府指示の避難区域内に立地しており、操業を停止したこ
とにより供給が途絶し部品調達が困難になったため、代替メーカに切り替えたもの
の以下のコスト増となった事例があった。
・代替メーカへの金型・版代
・代替メーカへの切替に伴う発注単価UP
(2)原料供給先企業の操業停止に伴う間接損害について
原子力関連事業所に製品を納入していたが、事故により受注機会が少なくなり、
製品の納入の延期やキャンセルも発生している。
3.その他
(1)放射能汚染に伴う取引価格の下落について
スクラップに放射性物質が付着し汚染されたため、買取価格が適正価格より大
幅に低くなる事例があった。
(2)放射性物質の除去に係る経費について
部材等の高圧洗浄・高圧エアーによる放射性物質の除去及び付着防止を行うた
めの費用が発生した事例があった。
565
(3)その他経費について
「福島・宮城・栃木・茨城」など、放射線量が高い地域以外の輸送トラック等
を手配する為に掛かる追加費用が発生した事例があった。
放射能測定講習会へ参加するための費用など、放射性物質に起因する被害に対
して適切な対応を行うための準備等に係る費用が発生した事例があった。
566
(自動車分野)
自動車分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
車両整備業においては、放射性物質による汚染に関する車両の安全性が確認できない
ものについては、従業員の健康管理、近隣住民への配慮等の観点から車両整備を断らざ
るを得ず、売上が減少したと考えられる。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
政府指示による避難等により顧客が減少したため、立ち入り禁止区域及び近隣の自動
車販売店舗において売上が減少し、営業を停止する例あり。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
計画的避難区域内で操業するため、放射線対策としての建屋の改修費用、従業員の健
康管理のための費用などが発生したと考えられる。
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
(1)中古車等に関する風評被害
福島県内の商品を中心に、①中古車取引において放射線物質による汚染の可能性
があることを理由に納入先から受取を拒否されたため売上が大幅に減少した、②鉄
スクラップ取引において受け取りは拒否されていないまでも価格が暴落したなど
の事例あり。
また、これら風評被害を背景として、製品を納入するために放射線量の測定、製
品の洗浄及び包装の交換等を実施したため、その費用が発生したと考えられる。
(2)輸出先での検査に係る輸送物資の拘束
製品を搭載したコンテナが検疫局等での検査のために長期間拘束されたため、そ
れに係る費用が発生したと考えられる。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
567
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
欧州、中近東諸国へ輸出する際、輸出先国の規制等により放射線検査証明が求め
られたため検査を実施。検査は国内事業所、輸出港、受入先と複数回に渡るため、そ
の費用負担も膨大。
【参考:放射線量測定にかかる費用の例】
国内事業所:計測機器の購入費用、専門機関から測定指導を受けるための費用、測
定する職員の人件費
輸出港
:測定委託費用、証明書発行費用
受入先の港:指定業者への測定委託費用
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)部品供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことにより、
生産が停止し、営業損害が発生。
(ⅰ)生産設備の移転費用やその間の機会損失
例)自動車用ゴム製品
自動車用ゴム製品のサプライヤーが福島第一原子力発電所付近に立地していた
ため、地震による被害はなかったものの、立入制限により生産が困難な状況に陥っ
た。当該地域で生産される一部部品は自動車部品メーカーを通じほとんどの完成車
メーカーで採用されているものもあり、すべての完成車メーカーに影響した。
(ⅱ)他メーカーへ代替生産に係る費用
代替先企業においては、試験生産から実施する必要があるため、性能評価用サン
プルの製作費用等が発生。また、自動車部品の代替には安全性や耐久性等の確認作
業に一定の期間が必要であり、その間の機会損失が発生。
3.その他
避難区域外の工場において、周辺の汚泥等から比較的高い放射線量が確認されたこと
から、側溝の清掃、フィルターの洗浄等の浄化作業を実施。それに係る費用が発生。
568
(産業機械分野)
産業機械分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
(1)従業員避難等による工場への操業影響について
・避難等の政府指示区域に居住する従業員がいるため、安定出勤が難しく、工場の
操業ができない。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、従業員が避難指示区域に居住して
いたことを証明する書類があると考えられる。
(2)回収不可能な製品について
・避難地域にて行われた展示会への出展品が回収不可能になっている。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、展示会が震災前後に避難指示区域
内で開催されたことを証明する書類がある。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
(1)製品搬出不能による再発注
・事業所が避難区域内に立地しており金型が搬出できないため、受注元に部品の再
生産を依頼。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、当該企業の所在地が避難指示区域
であることを証明する書類があると考えられる。
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
(1)福島県内立地企業の風評被害について
・原発事故後に受注のキャンセルを受けた。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、震災前の契約書と、受注
をキャンセルする旨の通達文(先方とのやり取りを証明するもの)がある
569
と考えられる。
・輸送コンテナから放射性物質が検出され、検疫所にて 20 日間製品が留め置かれ
た(線量としては基準値以下)。
・生産拠点を福島県外に移転するよう依頼を受け、生産拠点を変更。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、先方からの生産拠点を変
更するよう要求する文書があると考えられる。
・福島県内で購入した工場用地があり、工場建設も転売もできない状況にある。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、震災前後の地価変動を示
す文書があると考えられる。
(2)福島県外立地企業の風評被害について
・福島県外での生産品であっても、日本国内で生産されたという理由で受注キャン
セルを受ける事例あり。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、震災前の契約書と、受注
をキャンセルする旨の通達文(先方とのやり取りを証明するもの)があ
ると考えられる。
・関東・東北を迂回して輸出入を行うために余分な費用負担が発生。
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、先方からの原発周辺を迂
回するよう要求する文書があると考えられる。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
・欧米、アジア、中東各国へ輸出する際、輸出先国の規制により、非汚染証明が必
要とされているため、放射線検査を行った事例があった。
(サウジアラビアに関し
ては政府通達に基づく要求)
・国内企業から放射線検査を要求された事例あり。
・特に要求は無いが、予防的に検査を実施した企業多数。
・検査費用は数千円(簡易検査)~数十万円(工場の検査等)。数十万~数百万の測
定器を購入した事例あり。
570
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、先方からの要求書や、相手国にて
発出された通達文があると考えられる。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
・避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことにより、
生産が停止し、営業損害が発生した事例があった。
代替製品の使用が不可能(困難)な場合として、以下の事例がある。
(ⅰ)同業メーカは存在するが、製品の性能から実質的に唯一の供給元である場合
(ⅱ)同業メーカは存在するが、代替製品の試験評価等により、即座の導入が困難、
あるいは大幅なコストアップにつながる場合
(代替製品を用いて操業を続けている企業でも、従来品と比較して高コスト)
・当該損害の発生理由の客観的データとしては、該当部品の使用を前提とし
た品質保証書や法的承認書類等があると考える。
3.その他
特になし。
571
(エレクトロニクス分野)
エレクトロニクス分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
(1)福島県内立地企業の風評被害について
毎月定期的に発注があったものが、原発事故以降発注が停止され、有意な売上減が
生じた事例があった。また、放射線の影響を考慮し、製造設備を他部署へ搬出するな
どの自主的な措置を実施し、輸送費などの追加的費用が発生。中には、輸送業者自体
が取引を拒絶する事例もあった。
加えて、福島県にある工場の復旧作業に技術者・工事業者が集まらず、生産再開が
遅延し、減収が発生した事例があった。
(2)工業製品に関する問い合わせの急増について
原子力発電所に近い地域ではエアコン使用を控えるような報道があり、エアコン
メーカーに問い合わせが急増した、という事例が発生。
(3)外国人労働者の帰国について
海外政府の避難勧告指示により、海外から調達したプロジェクト要員が一時帰国
し、プロジェクトの遅延など追加費用が発生した事例があった。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
避難区域内の顧客が事業継続できなくなることに伴い、ATMやIT機器の
保守サービスが解約された事例があった。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
(1)従業員の健康管理について
政府指示対象区域外であっても、高濃度の放射能が到来する可能性があることを考
慮し、会社独自の判断で従業員に自宅待機するよう指示した事例がある。
また、従業員の健康管理を行うため、放射線計測機器の購入や健康診断項目の追加な
ど、長期間に及ぶ費用が発生していると考えられる。
572
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
工業製品の国内外の取引において、アジア・欧州・北米等の輸出先国の規制や取引先
企業の要求により、検査機関の利用や放射能側的の自主購入等により、放射線検査を行
った事例があった。特に、福島県内(避難区域外)の事業所で生産された製品および輸
送時に福島県を通過する製品等について、取引先企業から放射能検査及び保証書の提出
を求められるケースが多かった。
なお、サウジアラビアへの輸出においては、商工省の通達により非被曝証明がされた
検査合格証明書が必須とされたが、一定期間、基準値が不明であり、同国向けの出荷が
事実上不可能な状況であった。これにより、某国内通信機器メーカは取引が遅延した他、
検査費用10万円および社内検査用の放射線計測器購入費用300万円を要した事例が
あった。
また、輸出先国および海外取引先企業からの検査要求等が頻発したことにより、放射
線検査機器を購入したり、検査機関に依頼するなどして、輸出前に国内で自主的な製品
検査を行う事例が多数見られた。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことにより、
生産が停止し、営業損害が発生した事例があった。
(ⅰ)同業メーカが少なく、代替調達が困難であり、生産が停止した事例
避難区域内にある高い世界シェアを持つ部品・材料メーカからの製品供給が停
止し、代替調達が困難なため、電子部品メーカ等の生産が困難になった。
例えば、アルミ電解コンデンサ用電解液で世界シェア60%以上の化学メー
カからの材料供給が不能になったことにより、電解液の需給が逼迫し、電子部品
573
メーカの生産が滞った。また、携帯電話等の電子部品として用いられる水晶振動
子で世界シェア20%以上の電子部品メーカの生産が停止したことにより、電子
機器組立メーカが代替調達に困難苦慮。
(ⅱ)同業メーカは存在するが、生産立ち上げ、設計変更、代替製品の認定試験・
評価、工場監査等により、即座の導入で困難であり、ロスコストが生じた事例
3.その他
(1)放射性廃棄物について
原子力発電所近辺の汚泥や放射能汚染された設備について、業者から受取を拒否
されており、今後、保管・除染・処分するために一定の費用が発生すると考えられ
る。
574
(医療機器分野)
医療機器分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
(2)工場の移転について
対象地域からの工場移転を一部で行っているが、精密機器は専門業者でないと
運び出せず、20 キロ圏内で作業する運搬業者がいない。これにより、営業が停滞
している。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
(1)対象地域の高度管理医療機器の賃貸借損害について
対象地域の医療機関や患者に賃貸借している人工呼吸器、医療用酸素ボンベ等
は、対象地域とされたことにより、そのまま放置され、回収できない状態である
とともに、定期的な保守点検も実施できない。また、当該医療機器に対して放射
性物質の曝露もあることから、使用不可能となっている。
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
575
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
EU 加盟国、中国、米国、韓国、オーストラリア、カナダ、メキシコ、アルゼンチ
ン、フィリピン、マレーシア、台湾、レバノン、イスラエル、イラン、エジプト等
の国へ輸出する際、輸出先国の規制や輸出先国内の取引業者から個別の要請により、
非汚染証明が必要とされているため、放射線検査を行った事例があった。
また、上記検査に加え、原産地証明等の書類を同時に求められるといった事例が
あった。
さらに、スペインからは「日本の所定の地域(福島、群馬、茨城、栃木、宮城、山
形、新潟、長野、山梨、埼玉、東京、千葉)で製造され、3/11 以降に欧州へ出荷した
製 品 に関して、食品の法規(AnnexⅡRegulation(EU) No297/2011 as amended by
No351/2011)を参照してリスク分析を実施し、放射線に関する安全宣言書を提出する
こと」の要求があった。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、輸出先国の通達文や海外取引先企
業からの検査要求書類等があると考えられる。
(2)国内流通に関する放射線検査費用について
浄水場から基準値を上回る放射性物質が検出されたことによる消費者からの問い
合わせに対応するため、生産に使用する原水の放射性元素の測定を行った事例があ
った。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、一般消費者からの問い合わせ対応
による取引先社内規定等があると考えられる。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
特になし
3.その他
特になし
576
(造船業分野)
造船業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
○福島第一原発に近い工場が、従業員の出勤に影響があったため復旧に時間がかかり、
震災前の要求納期に対して、一ヶ月以上の遅れが出ている事例あり。
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
○福島県に隣接する県の造船所において、船の修繕に関し、特に漁船は福島沖を通って
移動することで、将来風評被害を受けることを懸念し、来場しなくなってきて、失注
するケースが出始めている。
○船の修繕において、他地域の機械メーカーに対し、サービス技師による機器の整備発
注した際、
「福島・宮城県には出張できない」と言われ、やむなく機械をそのメーカー
まで陸送した結果、時間・費用の余分なコストが発生した事例あり。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
○海外の船舶購入者に対し融資を行う金融機関において、放射能汚染の疑いが有るとし
て本邦建造船の担保価値下落を懸念し、融資に難色を示したため、購入者が金融機関
577
への説得材料とするため、建造船が放射能汚染されていないことを証明するために検
査の要求があった。
○海外において、放射能に関し問題ない旨の証書を求められる事があるという理由で検
査を要求される事例あり。
○検査の費用は概ね8万円から9万円程度で、船主が負担したり、仲介商社が負担した
りする場合もある。
○6月28日までに日本海事協会は32件の放射能測定確認書を発給している。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
特になし
3.その他
特になし
578
(造船関連産業分野)
造船関連産業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
○海外プラント・舶用向けバルブ及び舶用機関部品を納入している顧客での、海外物件
受注獲得が困難との情報があり、今年度二ヶ月間の受注実績集計では、過去 3 年間の
受注実績から約30~35%減少となっている。外資系顧客の一部では、東京電力の
福島第一原発から80km県内企業からの購入禁止指示が出ている模様。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
○通関のため、船荷書類として放射線検査成績表の提出を顧客より要求されている事例
がある。検査費用は数十万円に及ぶ場合もある。
○風評被害によるトラブルを回避するため、業界団体から放射線測定器を借用し、国及
び日本海事協会から放射能測定確認書を発行してもらっている事例あり。
579
○6月28日までに16件の放射線測定確認書を発行している。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業による間接損害について。
○供給元企業が警戒区域となり操業が不可能となったため、機器等の入手が困難に
なった事例あり。
(2)原料供給先企業による間接損害について
○発注先企業において、一部の作業者が避難等により就労不能となったため、製品
の納期確保が困難になった事例あり。
3.その他
○福島県内の企業の中には、従業員の居住区域が計画的避難区域と同等レベルの放
射線量の値が検出されているため、放射線量の比較的低い地域へ転出をするなど、
経済的、精神的負担を強いられている場合がある。
580
(航空宇宙産業分野)
航空宇宙産業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
① 海外航空会社から、同社へ納入する機器に対する検査の要求があったことや、海
外エンジンメーカーから、放射線測定を実施している航空会社を利用して出荷部品
を輸送するよう指示があったことを受け、全ての出荷エンジン・機器・部品に対し
て放射線検査を行った事例がある。
② 政府指示区域内にある供給元より、製品の原材料を政府指示区域外へ移送した
が、放射性物質が付着している可能性があったため、表面の放射能面密度の計測
581
を行った事例がある。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
特になし
3.その他
特になし
582
(日用品産業分野)
日用品産業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
特になし
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことにより、
浴室設備に関する部品の生産が停止(一部減産を含む。)又は代替製品のための金型
を新規製作するなど、営業損害が発生した事例があった。
この場合、同業メーカがなく、供給元が国内唯一の製造メーカであり、国内シェア
583
は8割以上を占めるものであり、当該損害が回避不能であったと考えられる。
3.その他
特になし
584
(化粧品・歯磨製造業(食品製造業)分野)
化粧品・歯磨製造業(食品製造業)分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
(1)福島県内立地企業の風評被害について
特になし
(2)福島県外立地企業の風評被害について
①国内
-食品
・ 「足利茶」から暫定基準値を超える放射性セシウム検出されたとの新聞報道によ
り、緑茶飲料などを返品したい、また、長野県産を使用し製造した製品のものは
摂取したくないなどといった問い合わせが増加し、売上減少したと考えられる。
②海外
-化粧品
・ 海外において、製造年月日が地震発生以降の製品について、製造年月日や製造所
住所の問い合わせが増加、また買い控えにより売上減少。(対前年比 50%程度売
上減少見込)
-食品
585
・ 輸出(韓国、台湾、中国、香港)に際し、日本政府等が発行した放射線証明書添
付を要求され、通関長期化により、破棄となる製品及び保留した期間の倉庫保管
料などが発生。
また、台湾の規制により輸出がキャンセルとなった事例もある。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
-化粧品・歯磨
・ レバノン、香港の国へ輸出する際、輸出先国の規制により放射能検査結果を提示
することを義務づけられたため、放射線検査を行った。
・ 韓国へ輸出する際、輸出者(日本)及び輸入者(韓国)でのダブルチェックを義
務化する韓国化粧品工業会からの通知があり、自社で測定を実施可能とするため、
放射線検査機器を購入。
・ 台湾、オーストリア等のユーザーより、安全性の確認のため放射線検査を求めら
れ、検査を外部機関へ委託を行い、また、測定器を購入した。
-食品
・ 韓国、台湾、中国、香港において、相手国の規制等への対応のために放射線検査
を実施。
(2)国内に関する放射線検査費用について
-食品
・ 食品の原料に水道水を使用しているが、放射能による水道水汚染があったため、
放射性ヨウ素やセシウムについての放射能検査を実施。
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
-化粧品・歯磨
・ 避難等の政府指示により操業停止した企業から原料の供給が途絶したことによ
り、製品の販売機会喪失、営業損害が発生したと考えられる。
586
(Ⅰ)供給元は、取引企業専用の原料を製造していたため、代替は困難。
(Ⅱ)海外代替品への切替を行ったため、その際の試験費用の発生、調達費用の
増大や品質維持費用の付加により製造原価のコストアップ。また、代替品
の供給不足による販売機会の喪失。
・ 外資系企業(茨城)が本国からの帰国指示により操業を停止したため、代替品に
よるコストの増加。
3.その他
特になし
587
(香料製造業分野)
香料製造業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
(1)福島県外立地企業の風評被害について
①国内
・ユーザー工場(宮城県大崎市)において、放射線測定結果が高いとの理由に
より生産を停止したことに伴う取引のキャンセル、停止。
※食品香料は特注品であり他社への転売が不可能。
・東京都及び茨城県の水道水から基準値を超える放射性物質が検出されたこと
から、得意先から水道水を使用しないよう要請をうけ、製造に使用する水を
関西・東海・北陸等から運搬するために要した費用。
②海外
・食品添加物として利用される食品香料は、食品として扱われアジアや欧州向
けを中心に、諸外国政府等による輸入禁止、放射線検査データや(日本国)政
府作成の検査証明書、産地証明書の提出などの措置が執られている。
・このため顧客との関係では、注文のキャンセル、取引停止、売上(輸出)減
少、他社(海外企業)への切り替え(商権喪失)等が生じていると考えられる。
・現に、輸出量の多い韓国では、5月1日より政府作成の検査証明書、産地証
588
明書の提出を義務づけられ、5月以降の出荷量が減少している。
・また、輸入禁止区域外での生産のための自社工場設備投資やOEM生産、通
関の長期化による保管料増加、納期遵守のための輸送費増加(航空便使用)、
放射線測定機器の購入、商品の廃棄等の追加的なコスト負担を強いられている。
※食品香料は特注品であり他社への転売が不可能。
※損害額の特定は、売上減少については得意先別売上明細表による過去実績
との比較により、追加的なコスト負担についてはOEM契約書、請求書、領
収書などでの確認が可能。
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
・諸外国への輸出に際して、日本国政府等による放射性物質の検査証明書発行のために
は、ヨウ素 131、セシウム 134、セシウム 137 等の含有量検査が必要。
・香料は多品種小ロットの商品であるため、輸出の度、商品毎に検査を受ける必要。
・検査費用は 1 件当たり 24,000 円~30,000 円程度。
・他に検体として商品サンプル(約1kg)の供出が必要。
・対象国・地域(各社申告ベース)
韓国、中国、台湾・香港、タイ、オーストラリア、マレーシア、シンガポール、イ
ンドネシア、フィリピン、ベトナム、EU、スイス、米国、メキシコ、ブラジル、ア
ルゼンチン、コロンビア、インド 等
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
・避難等の政府指示により操業停止したケミカルメーカー(福島県双葉郡富岡町)
からの原料供給が途絶したが、当該原料は同社が国内唯一の製造メーカーであり、
代替品が無く、製品の販売機会の喪失、営業損害が発生が発生したと考えられる。
・政府による避難指示等の区域外(茨城県古河市)の企業であるが、外資系企業で
あるため本社又は本国政府の指示に従って操業を停止したため、代替品によるコス
ト増が発生。
・原乳の出荷制限に伴い乳加工品(バター等)の需給が全国的にタイト化し、原料
589
高騰によるコスト増が発生。
・避難等の政府指示により操業停止したケミカルメーカーからの原料(DL-メチオニ
ン、リン酸三カリウム等)供給が途絶したため、他社製原料への切り替えを模索し
たが、必要量の調達が出来ず、製品の販売機会の喪失、営業損害が発生したと考え
られる。更に、代替原料を用いるにあたって、試験評価等を行う必要が生じたこと
から、人件費などのコスト増が発生。
(2)輸送事業者の運送拒否に伴う間接被害について
・福島県福島市の事業者からの原料調達に際して、積合せ輸送事業者の運送拒否が
発生、このため自社のコスト負担で手配をして貸切輸送を実施したコスト増が発生。
3.その他
特になし
590
(医薬品製造業分野)
医薬品製造業分野の調査結果について、以下の通りまとめた。
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害について
特になし
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
特になし
3.政府の避難等の指示にかかる損害の追加費用について
特になし
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
1.工業製品に関するいわゆる風評被害
2.政府の避難等の指示にかかる間接損害について
Ⅲ.共通項目
1.放射線検査費用について
(1)特定国向けの輸出品に関する放射線検査費用について
EU 加盟国等の国へ輸出する際、輸出先国の規制等により、放射線検査結果の添付
や非汚染証明(自己宣誓書含む)が必要とされているため、放射線検査を行った事
例があった。放射線量測定のための機器購入費用や検査の外部委託に伴う費用(サ
ンプルとして提出しなければならない製品の費用を含む)が損害として発生してい
ると考えられる。
当該損害の発生理由の客観的データとしては、欧州医薬品庁(EMA)や各国規制当
局が現地代理店宛に発出した文書や海外取引先企業からの検査要求書類があると考
えられる。
591
2.サプライチェーンにおける間接損害について
(1)原料供給元企業の操業停止に伴う間接損害について
避難等の政府指示により操業停止した企業からの製品供給が途絶したことにより、
生産が停止し、営業損害が発生した事例があった。
具体例としては、医薬品の製造承認上、使用できる原薬が当該操業停止した供給元
メーカで製造された原薬のみとなっていることから、代替製品の海外からの緊急輸入
や国内での他社への委託製造に伴い各種薬事申請対応(原薬製造所を追加するための
サンプル評価やプロセスバリデーション等)の定形外業務を遂行することとなり、想
定外の費用がかかっている。また、海外からの緊急輸入による購入原価の上昇のため、
赤字が発生するなどの損害が発生していると考えられる。
(留意点)
原材料の入手が滞り最終製品の欠品が生じると、他社製品に切り替えられ、その後
のシェア回復が不可能となり、当該品目については市場から撤退しなければならず、
将来的にも多大な損害が発生すると考えられる。
当該損害が回避不能であることを示すものとしては「薬事法に基づく医薬品等の製
造販売承認等手続」があると考えられる。
3.その他
製造工程で空気清浄が求められる工場で使用されている一部設備(ヘパフィルター等)
について、放射性物質への暴露のため、廃棄処分する際に通常の処理では廃棄できず、
高額の費用が発生するという懸念が寄せられている。
592
Fly UP