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User’s Guide to Bar Spectral Sequence
平成 16 年 9 月 7 日
§1.
Introduction
最近, McCleary という人の書いた “User’s Guide to Spectral Sequence” という本 (時価 11200 円) が “Publish
or Perish” というすさまじい名の出版社から出ました. その向こうを張るわけではないのですが, “bar spectral
sequence” と呼ばれる, 代数的位相幾何学の少し専門的な話題からのスペクトル系列入門が, この小論の目的です.
§1 と §2 において, まずスペクトル系列に関する準備を行います. §3 では, 位相群 G に対し,「分類空間」と呼ば
れる空間 BG の解説をし, §4 では, “bar resolution” について, ホモロジー代数からの準備をします. 以上の準備
のもとで, §5 において, 分類空間 BG のホモロジー H∗ (BG) に収束する “bar spectral sequence” を構成し, その
E 2 -項が, 位相群 G のホモロジー H∗ (G) の algebra としての構造により完全に代数的に記述されることを示しま
す. §6 では, bar spectral sequence と “homology suspension” と呼ばれる準同型写像 σ : H̃n (BG) → H̃n+1 (G) と
の関係を調べ, §7 では Bockstein 準同型との関係を調べます.
§2.
Construction of spectral sequence
まずは代数的位相幾何学において, 代数的な面から見て最も基本的な道具である spectral sequence のからくり
について簡単に説明します. 以下で R は単位元をもつ可換環とします.
R-加群の長完全列が s = 0, ±1, ±2, . . . に対し, 下のように与えられているとします.
i
j
j
i
∂
∂
1
1
1
1
1
−
→ ···
−
→ Ds,t−1
−
→ Es,t−1
−
→ Ds−1,t
··· −
→ Ds,t
−
→ Es,t
(2.1)
r
r
1
r
r
r
r
r
はともに Es,t
の部
, Bs,t
, dr : Es,t
→ Es−r,t+r−1
, (r ≥ 1) を次のように定めます. Zs,t
, Es,t
このとき, Zs,t
, Bs,t
i
i
i
1
1
1
1
r
1
の image Im ir−1 を ∂ : Es,t
→ Ds−1,t
分加群で, Zs,t
は合成 ir−1 : Ds−r,t+r−1
→ Ds−r+1,t+r−2
−
−
→ ... −
→ Ds−1,t
i
i
i
r
1
1
1
−
→ ··· −
→ Ds+r−1,t−r+1
の Kernel の j によ
→ Ds+1,t−1
−
で引き戻した ∂ −1 (Im ir−1 ) とし, Bs,t
は合成 ir−1 : Ds,t
る像 j(Kerir−1 ) とします. このように定めると次が成り立ちます.
r+1
r+1
1
2
r
r
2
1
1
0 = Bs,t
⊂ Bs,t
⊂ · · · ⊂ Bs,t
⊂ Bs,t
⊂ · · · ⊂ Zs,t
⊂ Zs,t
⊂ · · · ⊂ Zs,t
⊂ Zs,t
= Es,t
(2.2)
r
r
r
r
r
そこで, Es,t
= Zs,t
/Bs,t
とおき, x ∈ Zs,t
を x̄ ∈ Es,t
を代表する class とします. 定義より ∂x = ir−1 y となる
1
1
y ∈ Ds−r,t+r−1
がとれて, dr x̄ = (jy ∈ Es,t
の class) により dr を定めます. この dr が well-defined であることを
r
確かめる (つまり jy ∈ Zs,t
であることと, dr x̄ が代表元 barx のとり方によらないことなど) ことは読者にまかせ
ます. このとき, dr ◦ dr = 0 が成り立つため, chain complex
X
X
X
X
dr
dr
dr
r
r
r
Es,t
−→
Es,t
−→ . . . (
は加群の直和を表わす. )
··· →
Es,t
−→
s+t=n+1
s+t=n
s+t=n−1
r+1
r+1
r
r
が考えられますが, この Es,t
におけるホモロジー群は Es,t
と同型になります. 実際, dr の Kernel は Zs,t
/Es,t
,
r+1
r
Image は Bs,t
/Bs,t
で与えられることが容易にわかります. (これも読者にまかせます. ) 従って, 自然な同型
r+1
r+1
r+1
r
r
r
r
Es,t
= Zs,t
/Bs,t
→ (Kerdr : Es,t
→ Es−r,t+r−1
)/(Imdr : Es+r,t−r+1
→ Es,t
)
1
r
r
1
2
があります. このように微分 (differential) dr : Es,t
→ Es−r,t+r−1
の定義された R-加群の列 {Es,t
}, {Es,t
}, . . . が
r+1
r
r
あり, 各 r ≥ 1 に対し, dr による Es,t
のホモロジーが Es,t
と同型となるとき, {Es,t
, dr } を spectral sequence
と呼びます. 従って, 以上の議論は (2.1) の長完全列から spectral sequence を構成する手続きを与えたことになり
ます.
§3.
Spectral sequence associated with a fibration of a space
X を位相空間とし, X の部分空間の増大列 (increasingfiltration) X0 ⊂ X1 ⊂ X2 ⊂ · · · ⊂ Xs−1 ⊂ Xs ⊂ · · · ⊂ X
P
が与えられ, X =
Xs となっているとします. このとき, pair (Xs , Xs−1 ) に関する次のホモロジー長完全系列
s≥0
があります.
j
i
∂
i
... −
→ Hs+t (Xs ) −
→ Hs+t (Xs , Xs−1 ) −
→ Hs+t−1 (Xs−1 ) −
→ Hs+t−1 (Xs )→ . . .
(3.1)
1
1
ここで, H∗ (−) は環 R を係数にもつ (H∗ (point) = R) ordinary homology とします. Ds,t
= Hs+t (Xs ), Es+t
=
Hs+t (Xs , Xs−1 ) (ただし, Xs = 0 if s < 0) とおくと (3.1) は (2.1) の長完全列に他なりませんから, 前説で述べた
手続きにより, spectral sequence が構成されますが, 以下ではその「収束」について述べます.
1
r
r
s < 0 ならば Es,t
= 0 ですから, r > s ならば differential dr : Es,t
→ Es−r,t+r−1
は zero です. 従って
S
s+1
s+2
s+1
r
∞
∞
r
∞
∞
∞
∞
Zs,t = Zs,t = · · · = Zs,t = . . . で, Zs,t = Zs,t , Bs,t =
Bs,t , Es,t = Zs,t /Bs,t とおくと Es,t
は全射の列
r≥1
s+1
s+2
Es,t
→ Es,t
→ . . . の帰納的極限になります. 帰納的極限は完全性を保ち, homology functor とも可換ですから,
S
X=
Xs = lim(Xs ) を思いおこすと,
−→
s≥0
r
Zs,t
= ∂ −1 (ImHs+t−1 (Xs−r ) → Hs+t−1 (Xs−1 )) = ∂ −1 (KerHs+t−1 (Xs−1 ) → Hs+t−1 (Xs−1 , Xs−r ))
=
r
Bs,t
ImHs+t (Xs , Xs−r ) → Hs+t (Xs , Xs−1 ),
= j(KerHs+t (Xs ) → Hs+t (Xs , Xs−1 )) = j(ImHs+t+1 (Xs+r−1 , Xs ) → Hs+t (Xs ))
=
∂
ImHs+t+1 (Xs+r−1 , Xs ) −
→ Hs+t (Xs , Xs−1 )
より,
∞
Zs,t
=
ImHs+t (Xs ) → Hs+t (Xs , Xs−1 )
∞
Bs,t
=
ImHs+t+1 (X, Xs ) −
→ H( Xs , Xs−1 )
∂
が成り立ちます. 一方, Fs,t = ImHs+t (Xs ) → Hs+t (X) とおくと上と同じ理由で
0 = F−1,n+1 ⊂ F0,n ⊂ F1,n−1 ⊂ · · · ⊂ Fs,n−s ⊂ Fs+1,n−s−1 ⊂ · · · ⊂
[
Fs,n−s = Hn (X)
(3.2)
s≥0
∞
∞
が成り立ちます. さらに, 次の “batterfly lemma” を用いると, 自然な同型 Fs,t /Fs−1,t+1 ∼
/Bs,t
が得られます.
= Zs,t
補題 3.1 下のような R-加群と準同型よりなる可換な図式があって
i
A −−−−→


k0 y
j
i0
C ←−−−−
°
°
°
j0
A0

 0
yk
B ←−−−− C −−−−→ B 0
i
j0
i0
∼
=
j
→ Imj 0 /Imk 0
A−
→ C −→ B 0 , A0 −
→C−
→ →B はともに完全であるとする. このとき, 対応 j 0 ◦j −1 は同型 Imj/Imk −
を定める.
2
以上の議論をまとめると, 「空間 X の increasing filtration X0 ⊂ X1 ⊂ X2 ⊂ · · · ⊂
S
Xs = X に対し, spectral
s≥0
r
r
∞
sequence {Es,t
, dr } と H∗ (X) の filtration で (3.2) を満たすものが定義され, Es,t
の「極限」 Es,t
は H∗ (X) の
filtration による associated graded group Fs,t /Fs−1,t+1 に同型になる」ということです. このとき, この spectral
sequence は H∗ (X) に収束 (converge) するといいます.
1
1
は triple (Xs , Xs−1 , Xs−2 ) に関するホモロジー長完全列の境界準同型になることを
注意 3.2 d1 : Es,t
→ Es−1,t
注意します. (このことは §5 で用います. )
§4.
Classifying space
G を位相群とし, G は空間 F に効果的に作用 ( ⇔ “∀x ∈ F に対し gx = g 0 x ならば g = g 0 ” が成り立つ) して
p
いるとします. このとき, 次のような性質をもつ principal G-bundle γ = (G ,→ EG −
→ BG) が存在します.
4.1 X をパラコンパクト Hausdorff 空間とするとき, X から BG への連続写像のホモトピー類の集合 [X, BG]
と F を fiber, G を構造群とする fiber bundle の同型類の集合は対応 [f ] 7→ f ∗ (γ ∧G F ) により一対一対応にある.
ここで, [f ] は f : X → BG によって代表されるホモトピー類, γ ∧G F は γ に同伴した BG 上の F を fiber, G を
±
構造群とした fiber bundle (γ ∧G F の全空間は EG ×G F = EG × F (eg, x) ∼ (e, gx), (e ∈ EG, g ∈ G, x ∈ F ) で
与えられます. ), f ∗ (ξ) は f による fiber bundle ξ の引き戻し (pull-back) を表します. この性質 (4.1) により, 空間
BG は G を構造群とする fiber bundle を同型類に分類するといえます. そこで, BG を G の分類空間 (classifying
space) と呼びます. このような BG および G-bundle γ の構成は Milnor [4],Dold-Lashof [1],Milgram [3] らによ
り行われましたが, この節では Rothenberg-Steenrod [5] にしたがってその構成を述べます.
空間の列 E0 ⊂ E1 ⊂ · · · ⊂ En ⊂ En+1 ⊂ . . . と右からの G-作用 ψn : En × G → En を帰納的に次のように定め
ます. まず, E0 = G, ψ0 を G の積として, En と ψn−1 : En−1 × G → En−1 が定義されたと仮定します. CEn−1 を
±
En−1 の (unreduced)cone En−1 × I En−1 × {0} ( I は単位閉区間 [0, 1] ) とし, map En−1 3 x 7→ [x, 1] ∈ CEn−1
により, En−1 ⊂ CEn−1 とみなします. ここで, [x, t] ∈ CEn−1 は (x, t) ∈ En−1 × I で代表される class とします.
そこで, CEn−1 × G の部分空間 En−1 × G を ψn−1 によって En−1 によって「はりつけた」空間を En とします.
正確には, En は位相和 CEn−1 × G において, ([x, 1], g) ∼ ψ(x, g) で生成される同値関係により割って得られる商
空間とします. En において ([x, t], g) ∈ En−1 × G で代表される class を [[x, t], g], x ∈ En−1 で代表される class
を [x] で表し, CEn−1 3 [x, t] 7→ [[x, t], e] ∈ En ( e は G の単位元) により, CEn−1 ⊂ En とみなします. (従って
En−1 ⊂ CEn−1 ⊂ En ), ψ : En × G → En を ψ([[x, t], g], g 0 ) = [[x, t], gg 0 ], ψ([x], g 0 ) = [ψn−1 (x, g 0 )] で定義すれ
S
ば, これは well-defined で, ψ|En ×G = ψn が成り立つことが容易に確かめられます. EG =
En (= lim En ) と
−→
n≥0
おき, ψ : EG × G → EG を ψ|En ×G = ψn で定めると ψ は EG への右からの G-作用になります. ( G が compact
でない場合は, 直積空間の位相などは「コンパクト生成位相」を入れなおさねばなりませんが, ここではそのよう
なデリケートなことは気にしないことにします. 詳しくは Steenrod [6] 参照) .
さて, En−1 ⊂ CEn−1 ⊂ En で CEn−1 は可縮ですから, 包含写像 En−1 ,→ En は定値写像にホモトピックで
す. このことと, En−1 が En の “近傍変位レトラクト”(NDR, [6]) であることから, EG は可縮であることが示さ
れます.
±
EG を G-作用で割って得られる商空間 EG x ∼ xg を BG とし, p : EG → BG を商写像とします. このとき,
G = E0 ,→ EG → BG は (4.1) を満たす G-bundle になります. (証明は [5] を参照)
最後に次のことに注意して, この節を終えることにします.
命題 4.2 作用 ψn : En ×G → En を CEn−1 ×G に制限することにより, 相対同相写像 ψn : (CEn−1 , En−1 )×G →
(En , En−1 ) が得られる.
命題 4.3 p(En ) = Bn とおくと, ∗ = B0 ⊂ B1 ⊂ · · · ⊂ BG, lim Bn = BG であり, p : EG → BG を CEn−1 に
−→
制限すれば相対同相写像 qn : (CEn−1 , En−1 ) → (Bn , Bn−1 ) が得られる.
3
§5.
Bar resolution and bar complex
R を単位元をもつ可換環, A を graded R-algebra とします. すなわち A は R-加群としては直和 A =
P
An
n≥0
で, A の積を µ : A ⊗R A → A とすると µ は結合的で, µ(Ai ⊗ Aj ) ⊂ Ai+j を満たし, さらに R-加群の準同型
η : R → A0 ⊂ A で η(1) = 1 ( = A の単位元) を満たすものが与えられています. ( µ の可換性は仮定しません. )
A の augmentation ε : A → R とは R0 = R, Ri = 0(i 6= 0) により R 自身を graded R-algebra とおもったとき
の R-algebra の間の準同型のことで, 以下では A は augmentation ε を持つものと仮定します.
M を次数つき R-加群とし, 積 λ : M ⊗R A → M で λ(Mi ⊗R Aj ) ⊂ Mi+j , λ(m ⊗ 1) = m, λ(λ(m ⊗ a) ⊗ a0 ) =
λ(m ⊗ µ(a ⊗ a0 )) を満たすものが与えられているとき, M を graded right A-module と呼びます. A が左から作
用するとき, 同様に graded left A-module が定義されます.
例 5.1 G を位相群とするとき, G の R-係数のホモロジー群 H∗ (G) において, 積をクロス積と G の積 µ で
×
µ∗
誘導される map との合成 H∗ (G) ⊗ H∗ (G) −
→ H∗ (G × G) −→ H∗ (G) で定めることにより H∗ (G) は graded
ε
R-algebra となり, 定値写像 G → point は H∗ (G) の augmentation H∗ (G) −
→ H∗ (point) = R を定めます. ま
た, right G-space X とその部分集合 Y で G の作用で閉じているものの pair (X, Y ) のホモロジー H∗ (X, Y ) は
×
λ
∗
λ : (X, Y ) × G → (X, Y ) を G-作用とすれば, 合成 H∗ (X, Y ) ⊗ H∗ (G) −
→ H∗ ((X, Y ) × G) −→
H∗ (X, Y ) により
graded right H∗ (G)-module になります.
M を graded right A-module, N を graded left A-module とするとき, A 上の tensor M ⊗A N は, map ϕ :
M ⊗R A ⊗R N → M ⊗R N , ϕ(m ⊗ a ⊗ n) = ma ⊗ n − m ⊗ an の cokernel M ⊗R N/Imϕ と定義します.
以下のようにして, graded right A-module M の bar resolution を構成します. まず,
n個
z
}|
{
Xn = M ⊗R Ā ⊗R · · · ⊗R Ā ⊗R A,
(n ≥ 0, Ā = Ker(ε : A → R))
とおき, Xn の元 m ⊗ a1 ⊗ · · · ⊗ an ⊗ a を m[a1 |a2 | . . . |an ]a で表すことにします. (n = 0 なら m ⊗ a = m[ ]a)
s−1 : M → X0 , sn : Xn → Xn+1 を s−1 (m) = m[ ] · 1, sn (m[a1 |a2 | . . . |an ]a) = m[a1 |a2 | . . . |an |a − ηε(a)] · 1 で
定め, ∂0 : X0 → M , ∂n : Xn → Xn−1 を
∂0 (m[ ]a)
∂n (m[a1 | . . . |an ]a)
= ma,
= m[a1 | . . . |an−1 ]an a +
n−1
X
i=1
(−1)n−i m[a1 | . . . |ai ai+1 | . . . |an ]a + (−1)n ma1 [a2 | . . . |an ]a
により定めれば, ∂n は A-module の準同型で (sn はそうではない), sn−1 ∂n + ∂n+1 sn = 1Xn , ∂0 s−1 = 1M ,
∂n ◦ ∂n+1 = 0 が成り立ちます. これより
∂
∂
∂n−1
∂
∂
∂n+1
0
1
2
n
0 ← M ←−
X0 ←−
X1 ←−
. . . ←−−− Xn−1 ←−
Xn ←−−− . . .
は complex で contracting homotopy sn をもつため完全列であり, しかも各 Xn は A-module としては (R −
module) ⊗R A の形ですから “relatively free” です. すなわち, complex {Xn , ∂n } は M の relative free resolution
になります (MacLane [2]). この {Xn , ∂n } を M の bar resolution といいます. 次の補題は M の bar resolution
の特徴づけを与えます.
補題 5.2 M の bar resolution {Xn , ∂n } は次の性質 i)∼ iii) で特徴づけられる.
i) X0 = M ⊗R A, ∂0 (m ⊗ a) = ma
ii) contracting homotopy sn : Xn → Xn+1 , s−1 : M → X0 がある
4
iii) A-module としての同型 θn : Ker∂n ⊗R A → Xn+1 で下の図を可換にするものがある
µn
Ker∂n ⊗ A −−−−→ Ker∂n


θ

yn
yinclusion
∂
−−−n−→
Xn+1
Xn
( µn は Xn の A-module としての積の制限 )
証明. 上でみたように M の bar resolution は i), ii) を満たします. θn : Ker∂n ⊗A → Xn+1 を θn (x⊗a) = sn (x)·a
で定めると, ∂n x = 0 と sn−1 ∂n + ∂n+1 sn = 1Xn より, ∂n+1 θn (x ⊗ a) = ∂n sn (x)a = xa = µn (x ⊗ a). 従って iii)
の図式は可換です. θn の逆は θn−1 (m[a1 | . . . |an+1 ]a) = ∂n+1 (m[a1 | · · · |an+1 ] · 1) ⊗ a で定まります. 逆に i) ∼ iii)
を満たす complex は, iii) を用いることにより帰納的に M の bar resolution との同型写像がつくれます.
q.e.d.
N を left A-module とし, {Xn , ∂n } を M の bar resolution とするとき, complex X∗ ⊗A N :
∂ ⊗1
∂n−1 ⊗1
∂ ⊗1
∂ ⊗1
1
2
n
0 ← X0 ⊗A N ←−
−− X1 ⊗A N ←−
−− . . . ←−−−−− Xn−1 ⊗A N ←−
−− Xn ⊗A N ← . . .
の homology Hn (X∗ ⊗A N ) を T ornA (M, N ) と表すことにします.
さて, a ∈ A, r ∈ R に対し, rȧ = aṙ = ε(a)r により, a と r の積が定まりますが, これにより R は right
A-module とも left A-module ともみなせます ( R の grading は R0 = R, Ri = 0, i 6= 0). このとき R の
bar resolution {Xn , ∂n } に対し, complex {Xn ⊗A R, ∂n ⊗ 1} を bar complex と呼び {Bn (A), dn } で表します.
n個
z
}|
{
Bn (A) = Ā ⊗R · · · ⊗R Ā, (B0 (A) = R) であり, Bn (A) の元 a1 ⊗ · · · ⊗ an を [a1 | . . . |an ] で表すことにすると,
d1 = 0, dn [a1 | . . . |an ] =
n−1
X
i=1
(−1)n−i [a1 | . . . |ai ai+1 | . . . |an ]
となります. とくに d2 [a1 |a2 ] = −[a1 a2 ] ですから QA = Ā/Ā2 とおけば, 次のことが成り立ちます.
A
(R, R) = QA
補題 5.3 T or1,∗
QA の元を「A の分解不能な元 (indecomposable element)」と言うことがあります.
§6.
Bar spectral sequence
この節では, ホモロジーの係数環は可換環 R とし, H∗ (G) は R-加群として平坦 (flat) であると仮定します.
S
§3 で構成した分類空間 BG には, filtration ∗ = B0 ⊂ B1 ⊂ · · · ⊂
Bn = BG (4.3) が定まっていますが,
n≥0
1
1
Ds,t
= Hs+t (Bs ), Es,t
= Hs,t (Bs , Bs−1 ) とおくことにより, spectral sequence ができます. §3 で述べたように, こ
れは H∗ (BG) に収束しますが, この節では E 2 -項がどうなるかを考えます.
まず, pair (Es , Es−1 ) に関するホモロジー長完全列を考えると, 包含写像 Es−1 ,→ Es は定値写像にホモトピッ
クでしたから (§3), この長完全列は次のような短完全列に分かれます.
j
∂
0 → H̃s+t (Es ) −
→ H̃s+t (Es , Es−1 ) −
→ H̃s+t−1 (Es−1 ) → 0 (s ≥ 0, t = 0, ±1, ±2, . . . )
(6.1)
これを s = 0, 1, 2, . . . に関してつなぎ合わせる (splice) することにより, 次の長完全列が得られます.
ε
∂
∂
∂
∂
∂s+1
∂s+2
1
2
3
s
0←R←
− H∗ (E0 ) ←−
H∗ (E1 , E0 ) ←−
H∗ (E2 , E1 ) ←−
. . . ←−
H∗ (Es , Es−1 ) ←−−− H∗ (Es+1 , Es ) ←−−−
(6.2)
ここで, η は E0 → point から誘導される map, ∂1 は pair (E1 , E0 ) の境界準同型, ∂s , (s ≥ 2) は ∂s = j ◦ ∂ です
が, 要するに各 ∂s , (s ≥ 1) は triple (Es , Es−1 , Es−2 ), (E−1 = ∅) の境界準同型です.
5
各 Es は right G-space ですから, (5.1) により, E∗ (Es , Es−1 ) は right H∗ (G)-module です. さらに, クロス積
0
0
に関して, ∂s (x × a) = (∂s x) × a, (x ∈ H∗ (Es , Es−1 )), a ∈ H∗ (G), ∂s は triple (Es × G, Es−1 × G, Es−2 × G) の
境界準同型が成り立ちますから, (6.2) の各 ∂s は A-module の準同型で, (6.2) は A-module としての完全列にな
ります.
そこで, Xs,t = Hs+t (Es , Es−1 ), Xs =
P
t
Xs,t とおくと, ∂s : Xs → Xs−1 , (∂s (Xs,t ) ⊂ Xs−1,t ) ですが, 次に
complex {Xs , ∂s } の contracting homotopy sn : Xn → Xn+1 を構成します: CEn が可縮であることから pair
(CEn , En ) の境界準同型 ∆n : Hl (CEn , En ) → H̃l−1 (En ) は同型になり, 下の図は可換です.
∂
H̃l (En )
x

∆n 
Hl+1 (CEn , En )
←−−−− Hl+1 (En+1,En )
x
ι

Hl+1 (CEn , En )
ιn
(ιn∗ は包含写像 (CEn , En ) ,→ (En+1 , En ) で誘導される map). 従って, σn = ιn∗ ◦ ∆−1
n により, σn : H̃l (En ) →
Hl+1 (En+1 , En ) を定めると, ∂ ◦ σn = 1H̃∗ (En ) が成り立ちます. さらに, τn : Hl (En , En−1 ) → Hl (En ) を
τn x = j −1 (x − σn−1 ◦ ∂(x)) で定めることができます. 実際, ∂ ◦ σn−1 = 1 より, x − σn−1 ◦ ∂(x) =∈ Ker∂ = Imj
で j は単射だからです. このことは (6.1) が分裂した短完全列であることを意味します. (σn は H∗ (G)-module
の準同型ではないので, (6.1) は H∗ (G)-module としては分裂しません. ) そこで sn = σn ◦ τn と定めると
sn−1 ∂n + ∂n+1 sn = 1 の成り立つことが, ∂ ◦ σn = 1 や ∂n , τn の定義から容易に分かります. (s−1 : R → H∗ (E0 )
は point 7→ e = (G の単位元) ∈ G = E0 から定まる map で, ∂0 = ε とします. )
定理 6.1 (6.2) の complex {Xn , ∂n } は R の right H∗ (G)-module としての bar resolution と同型である.
証明. {Xn , ∂n } が (5.2) の i) を満たすことは明らかで, ii) を満たすことは上で示しました. θn : Ker∂n ⊗R H∗ (G) →
Xn+1 を上で定めた sn を用いて, θn (x ⊗ a) = sn (x) · a で定めると (5.2) の証明と同様にして, (5.2) の iii) の図
×
ϕn
∗
式は可換になります. θn の逆 θn−1 をつくるために, 合成 H∗ (CEn , En ) ⊗ H∗ (G) −
→ H∗ ((CEn , En ) × G) −−→
H∗ (En+1 , En ) を考えます. はじめのクロス積は, H∗ (G) が R-flat であることから, Künneth の定理より同型
で, ϕn は (4.2) より相対同型だから ϕn ∗ も同型です. この合成を Φn とします. j : H̃∗ (En ) → H∗ (En , En−1 )
の image が Ker∂n に含まれる (実は一致する) ことに注意して, θ−1 を θ−1 = (j ◦ ∆n ⊗ 1) ◦ Φ−1
n で定めます.
−1
−1
φn (x⊗a) = (ιn∗ x)a ですから, sn の定義より θn (x⊗a) = φn (∆−1
n ◦τn (x)⊗a) です. これより, θn ◦θn = 1, θn ◦θn
が確かめられます. 従って, {Xn , ∂n } は (5.2) の i) ∼ iii) を満たすため, 結果が得られます.
q.e.d.
言うまでもないかも知れませんが, G の積により H∗ ((CEn , En ) × G) は right H∗ (G)-module になり, クロス積
× : H∗ (CEn , En )⊗H∗ (G) → H∗ ((CEn , En )×G) は H∗ (G)-module としての同型になります. また, 相対同型 ϕ は
G- 作用と可換ですから ϕ も H∗ (G)-module としての同型です. 従って, これらの合成 Φ も H∗ (G)-module としての
Φs ∗ ⊗1
同型になり, これより, R-module の同型 ξs : H∗ (CEs−1 , Es−1 ) ∼
= (H∗ (CEs−1 , Es−1 ) ⊗R H∗ (G))⊗H∗ (G)R −−−−→
H∗ (Es , Es−1 ) ⊗H∗ (G) R があります. 準同型 ηs : H∗ (Es , Es−1 ) → H∗ (Es , Es−1 ) ⊗H∗ (G) R を ηs (x) = x ⊗ 1 で定
め, p : EG → BG の Es への制限を ps : Es → Bs とします. このとき, 合成 ξs ◦ qs −1
∗ ◦ ps ∗ : H∗ (Es , Es−1 ) →
H∗ (Bs , Bs−1 ) → H∗ (CEs−1 , Es−1 ) → H∗ (Es , Es−1 ) ⊗H∗ (G) R は ηs に一致します. (qs ∗ は (4.3) の相対同型によ
り誘導される同型) 実際, 下の図
×1
H∗ (CEs−1 , Es−1 ) −−−−→ H∗ ((Es , Es−1 ) ⊗H∗ (G) R)



 ϕs
qs ∗ y
y ∗
H∗ (Bs , Bs−1 )
ps
←−−∗−−
H∗ (Es , Es−1 )
において, 対応 H∗ (CEs−1 , Es−1 ) 3 x 7→ ϕs ∗ (x × 1) ∈ H∗ (Es , Es−1 ) は包含写像 ιs−1 : (CEs−1 , Es−1 ) ,→
(Es , Es−1 ) から誘導される準同型に一致しますから, 図は可換になり, ξs = ηs ◦ιs−1 に注意すれば ηs = ξs ◦qs −1
∗ ◦ps ∗
が分かります. p : EG → BG は triple の間の map (Es+1 , Es , Es−1 ) → (Bs+1 , Bs , Bs−1 ) を定め, 境界準同型
6
−1
∂s+1 , d1 ((3.2) 参照 ) に関し ps ∗ ∂s+1 = d1 ◦ps+1 ∗ です. これと ηs = ξs ◦qs −1
∗ ◦ps ∗ より, qs ∗ ◦ξs+1 ◦(∂s+1 ⊗1)◦ηs+1 =
−1
qs ∗ ◦ ξs−1 ◦ ηs ◦ ∂s+1 = ps ∗ ◦ ∂s+1 = d1 ◦ ps+1 ∗ = d1 ◦ qs+1 ∗ ◦ ξs+1 ◦ ηs+1 となり, ηs+1 は全射ですから, 下の図
∂s+1 ⊗1
H∗ (Es , Es−1 ) ⊗H∗ (G) R ←−−−−− H∗ (Es+1 , Es ) ⊗H∗ (G) R
x
x


ξs+1 ∼
ξs ∼
=
=
H∗ (CEs−1 , Es−1 )


qs ∗ y∼
=
H∗ (Bs , Bs−1 )
−−−−→
d1
←−−−−
H∗ (CEs , Es )

qs+1 ∗ 
=
y∼
H∗ (Bs+1 , Bs )
が可換になることを示したことになります. 従って, complex {Xn ⊗H∗ (G) R, ∂n ⊗ 1} と complex {
P
s+t=n
1
, d1 }
Es,t
は同型になり, (6.1) より次の定理を示します.
P
1
定理 6.2 Complex {
Es,t
, d1 } は H∗ (G) の R 上の bar complex と同型である. 従って, BG の filtration
s+t=n
H (G)
2
∗ = B0 ⊂ B1 ⊂ · · · ⊂ BG に関する spectral sequence の E 2 -項 Es,t
は T ors,t∗
(R, R) と同型になる.
この節で論じた spectral sequence を “bar spectral sequence”, “Eilenberg-Moore spactral sequence” または
“Rothenberg-Steenrod spectral sequence” などと呼びます. 上の定理により, その E 2 -項は, H∗ (G) の algebra と
しての構造がわかってさえいれば, bar complex B∗ (H∗ (G)) を用いて, 代数的に計算されるわけです. ( 少なくと
も理論上は )
§7.
On the homology suspension
E0 = G で EG ⊃ G とみなし, pair (EG, G) に関するホモロジー長完全列を考えます. EG は可縮ですから, 境界
準同型 ∆ : Hn+1 (EG, G) → H̃n (G) は同型になり, この逆写像と p∗ : Hn+1 (EG, G) → Hn+1 (BG, ∗) = H̃n+1 (BG)
との合成を σ : H̃n (G) → H̃n+1 (BG) とおき, homology suspension と呼びます. この homology suspension に関
して, 次のことが知られています. ( 証明はこの節の最後に行います. )
π
σ0
定理 7.1 σ(xy) = 0 (x, y ∈ H̃∗ (G)). 従って σ は H̃∗ (G) ³ QH∗ (G) −→ H̃∗+1 (BG) と分解される.
1
1
= Z1,t∞ ) になり
の各元は permanent cycle ( すなわち E1,t
G に関する bar spectral sequence において, E1,t
∞
1
があります. また,
³ E1,t
ますから, 全射 E1,t
F0,t+1 = Im(Ht+1 (∗) = Ht+1 (B0 ) → Ht+1 (BG)) = 0 (t ≥ 0)
ですから
F1,t /F0,t+1 = F1,t = Im(Ht+1 (B1 ) → Ht+1 (BG) = H̃t+1 (BG))
です. §2 の議論から合成
1
∞ ∼
E1,t
³ E1,t
= F1,t /F0,1+t = Im(H̃t+1 (B1 ) → H̃t+1 (BG)) ,→ H̃t+1 (BG)
は包含写像 B1 → BG から誘導された Ht+1 (B1 , B0 ) ∼
= H̃t+1 (B0 ) → H̃t+1 (BG) に一致することが分かります.
一方, H∗ (G)-module としての同型 θ0 : H̃∗ (G) ⊗ H∗ (G) → H∗ (E1 , E0 ) を (7.2.1) の証明でやったように定め
1
ると, θ0 (x ⊗ a) = s0 (x) · a = ι0∗ ◦ ∆−1
0 · a. 従って, 同型 B1 (H∗ (G)) = H̃∗ (G) → H∗ (B1 , B0 ) = E1,∗ は対応
x 7→ q1 ∗ ◦ ∆−1
0 (x) により与えられます. また, 次の図
∆
p∗
∆
q1
H̃t (G) ←−−−− Ht+1 (EG, G) −−−−→ Ht+1 (BG, B0 )
°
x
x
°


°


∗
H̃t (E0 ) ←−−0−− Ht+1 (CE0 , E0 ) −−−−
→ Ht+1 (B1 , B0 )
は可換ですから, 以上のことをまとめて次の定理を得ます.
7
H̃t+1 (BG)
x


H̃t+1 (B1 )
1
1
∞ ∼
定理 7.2 Bar complex と E 1 -項の間の同型を与える写像 B1 (H∗ (G)) = H̃∗ (G) → E1,t
と合成写像 E1,t
³ E1,t
=
F1,t /F0,t+1 ,→ H̃t+1 (BG) との合成は homology suspension に一致する.
H (G)(R,R)
2 ∼
2 ∼
のもとで, E1,t
(6.2) と (5.3) から, 同一視 Es,t
= QHt (G) であり, (7.2) を用いれば (7.1) が
= T ors,t∗
得られます.
2 ∼
2
∞ ∼
系 7.2.1 (7.1) における σ 0 : QH∗ (G) → H̃∗+1 (BG) は同型 Es,t
³ E1,t
= QHt (G) のもとで, 合成 E1,t
=
F1,t /F0,1+t ,→ H̃t+1 (BG) に一致する.
§8.
On the Bockstein homomorphism
§2 のように, 位相空間 X とその部分列の増大列 X0 ⊂ X1 ⊂ · · · ⊂ Xi−1 ⊂ Xi ⊂ · · · ⊂
S
Xi = X が与え
i≥0
られているとします. 以下では, 各 s ≥ 0 に対し, H∗ (Xs , Xs−1 ; Z) ( ただし Xs = ∅if s < 0) が torsion をもた
ないとします. この X の filtration に関し, Z-係数のホモロジーと Fp ( 標数 p の素体 ) 係数のホモロジーに
1
1
1
対する2つの spectral sequence を考え, Ds,t
= Hs+t (Xs ; Z), Es,t
= Hs+t (Xs , Xs−1 ; Z), D̄s,t
= Hs+t (Xs ; Z),
p×
ρ
1
1
1
1
−−→ Es,t
−
→ Ēs,t
→ 0 は完全で ( p× は
Ēs,t
= Hs+t (Xs , Xs−1 ; Fp ) とおきます. このとき, 仮定より, 0 → Es,t
p 倍する map, ρ は modp への reduction ), p× と ρ は differential d1 と可換です. 従って, E 2 -項の間の準同型
2
2
がいわゆる “snake lemma” により定まります.
→ Es−1,t
δ̄ : Ēs,t
この節の目標は次の定理を示すことです.
2
∞
2
2
2
も permanent cycle であ
定理 8.1 x ∈ Ēs,t
が permanent cycle (⇔ x ∈ Z̄s,t
/barBs,t
⊂ Ēs,t
) ならば δ̄x ∈ Es−1,t
り, x̄ ∈ F̄s,t を x に対応する Hs+t (X; Fp ) の元とすると δ x̄ ∈ Fs−1,t であり, δ x̄ は δ̄x に対応する Hs+t−1 (X; Z)
の元である. ただし, δ : H∗ (X; Fp ) → H∗−1 (X; Z) は Bockstein 準同型とする.
∞
のとき) は, 上の主張は δ x̄ ∈ Fs−2,t+1 を意味します.
注意 8.2 δ̄x が E ∞ -項で zero になる場合 (δ̄x ∈ Bs−1,t
1
1
1
2
を以下のように定義します. y ∈ D̄s,t
に 対し, ρ は全射ですから jy = ρx̃ ∈ Ēs,t
となる
∆1 : D̄s,t
→ Es−1,t
1
1
を考えると, ρ は境界準同型 ∂ と可換であることから ρ◦∂ x̃ = ∂ ◦ρx̃ = ∂ ◦jy = 0
x̃ ∈ Es,t
があります. ∂ x̃ ∈ Ds−1,t
1
があります. そこ
(∵ ∂ ◦ j = 0). 従って, Bockstein 完全列 により, ∂ x̃ は p で割れて, ∂ x̃ = pz となる z ∈ Ds−1,t
1
で, jz ∈ Es−1,t で代表される class を ∆1 y と定めます. このとき ∆1 は well-defined であることは容易に確かめ
1
2
られます. 実際, jy ∈ Ēs,t
で代表される Es,t
の元を x とすると, δ̄x = ∆1 y となることは δ̄, ∆1 の定義から分か
ります.
1
1
2
1
1
1
を定義します. y ∈ D̄s,t
に対し, Bockstein 準同型 δ : D̄s,t
→ Ds,t−1
の像 δy ∈ Ds,t−1
次に ∆2 : D̄s,t
→ Es−1,t
1
1
がとれます. そこで,
は torsion free だから j ◦ δ = 0, 従って iw = δy となる w ∈ Ds−1,t
を考えると, Es,t−1
2
1
の class を ∆2 y とします. ∆2 が well-defined であることも容易に確かめられます.
jw ∈ Es,t
で代表される Es−1,t
補題 8.3 ∆1 = ∆2
1
証明. y ∈ D̄s,t
= Hs+t (Xs ; Fp ) を代表する integral singular chain を σ ∈ Ss+t (Xs ) とします. すなわち,
ρ] : S∗ (Xs ) → S∗ (Xs ) ⊗ Fp を modp reduction とすると y は cycle ρ] σ で代表されるとします. このとき, d
を S∗ (Xs ) の微分とすれば dσ = ρα (α ∈ Ss+t−1 (Xs )) とおけます. Bockstein 準同型 δ の定義より, δy は α
1
で代表されますが, Es,t−1
が torsion free であることから α = dη + θ (η ∈ Ss+t (Xs ), θ ∈ Ss+t−1 (Xs−1 )) と
おけます. 従って d(σ − pη) = pθ ですが, σ − pη も y を代表する integral singular chain ですから, これを
σ とおきなおせます. 故に dσ = pθ (θ ∈ Ss+t−1 (Xs−1 )) となり, ∆2 y は θ の Ss+t−1 (Xs−1 )/Ss+t−1 (Xs−2 )
1
における class で代表されます. 一方, x̃ ∈ Es,t
= Hs+t (Xs , Xs−1 ; Z) を代表する chain を τ ∈ Ss+t (Xs ) と
すると, jy = ρx̃ より σ − τ ∈ pSs+t (Xs ) + d(Ss+t−1 (Xs )) + Ss+t (Xs−1 ) となるため, σ − τ = pβ + dγ + λ
(β ∈ Ss+t (Xs ), γ ∈ Ss+t−1 (Xs ), λ ∈ Ss+t (Xs−1 )) とおけます. τ + dγ + λ も x̃ を代表する chain ですから, これ
を τ とおきなおすことにすれば, τ = σ − pβ (dτ ∈ Ss+t−1 (Xs−1 )) です. dσ = pθ より dτ = p(θ − dβ). この式
8
1
2
は ∆1 y が θ − dβ で代表される Es−1,t
= Hs+t−1 (Xs−1 , Xs−2 ; Z) の元の Es−1,t
における class になることを示
します. dτ, θ ∈ Ss+t−1 (Xs−1 ) と dτ = p(θ − dβ) から dβ ∈ Ss+t−1 (Xs−1 ) となって, β は Hs+t (Xs , Xs−1 ; Z) の
0
0
1
2
元 ( x̃ とする) を表します. 従って, dβ ∈ Ss+t−1 (Xs−1 ) は d1 x̃ ∈ Es−1,t
を表します. 以上から Es−1,t
におい
て, ∆1 y = ∆2 y がわかります.
q.e.d.
0
0
j
2
1
1
1
証明 (8.1) x ∈ Ēs,t
が permanent cycle ならば, x ∈ Ēs,t
を x に対応する元とすると x ∈ Im(D̄s,t
−
→ Ēs,t
)で
0
1
1
す. jy = x とすると ∆1 の定義で述べたように, δ̄x = ∆1 y で, ∆1 y は j : Ds,t
→ Es,t
の image の元の class に
1
1
なるため, permanent cycle です. 一方, y ∈ D̄s,t
を D̄s,t
→ Hs+t (X; Fp ) で写した元が x に対応する x̄ ∈ F̄s,t の
元ですが, δ̄x = ∆2 y と ∆2 の定義から, δ x̄ ∈ Fs−1,t となることと, δ x̄ が δ̄x に対応することが分かります.
さて, 位相群 G が与えられ, H∗ (G; Z) は (Z 上) flat であるとします. Z 係数ホモロジーと Fp 係数ホモロジーに関
1
する G の bar spectral sequence を考えます. ( 前と同様に Es,t
= Hs+t (Bs , Bs−1 ; Z), Ēs,t1 = Hs+t (Bs , Bs−1 ; Fp )
とおく ) 仮定により, (6.2) から, E 1 -項はともにそれぞれ H∗ (G; Z), H∗ (G; Fp ) の bar complex に同型になります.
さらに, H∗ (G; Z) は torsion free (⇔ flat と同値 ) ですから, bar complex の各項 Bn (H∗ (G; Z)) も torsion free で
2
2
す. 従って, この場合, 各 H∗ (Bs , Bs−1 ; Z) が torsion free であるという仮定が満たされますから, δ̄ : Ēs,t
→ Es−1,t
が定義されて, (8.1) が成り立ちます. E 1 -項が bar complex と同型になることから, この δ̄ は bar complex を用
いて, 代数的に algebra H∗ (G; Z) の情報だけで決定されるということを最後に注意しておきます.
§9.
q.e.d.
Remarks
この小論においては ordinary homology theory しか取り扱いませんでしたが, §7 の議論以外は, そのまま (
multiplicative な ) generalized homology theory でも通用します. また, bar spectral sequence の専門家になりた
い人は, この小論を参考にして, ordinary cohomology theory だとどのようになるか考えることをおすすめします.
( 根性のある人は, generalized cohomology theory で bar spectral sequence を考えるのもよいでしょう. ) また,
bar spectral sequence の「積構造」については [5] で詳しく論じられていますが, [5] はなにぶん古い preprint な
ので手に入りにくいため, この Argo Original の第4巻 (がもし将来発行されるならば ) で紹介してみたいと思い
ます.
参考文献
[1] A. Dold and R. K. Lashof “Principal quasifibration and fiber homotopy equivalence of bundles”, Illinois Jour.
Math. 3 (1959), 285-305.
[2] S. MacLane “Homology”, Springer-Verlag, Berlin (1963)
[3] R. J. Milgram “The bar construction and abelian H-space”, Illinois Jour. Math. 11 (1967), 242-250.
[4] J. W. Milnor “Construction of universal bundles I-II ”, Ann. Math. 63 (1956), 272-284, 430-436.
[5] M. Rothenberg and N. E. Steenrod “The cohomology of classifying space of H-space”, (preprint).
[6] N. E. Steenrod “A convenient category of topological space”, Michigan Math. J. 14 (1967), 133-152.
9
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