...

-1- インバータ方式を利用した節水型散水システムについて 金沢河川

by user

on
Category: Documents
0

views

Report

Comments

Transcript

-1- インバータ方式を利用した節水型散水システムについて 金沢河川
インバータ方式を利用した節水型散水システムについて
金沢河川国道事務所
機械課長
中川
毅志
整備係長
室井
勇人
専門員
坂本
誠一
○追分
将貴
1.はじめに
北陸地方 では過去 から、 地下水を くみ上げ 直接散水 する散水 消雪施設 が一般的 に施工さ
れ てきた。 その利用 により 地盤沈下 の発生が 問題とな り、一部 地域では 地下水の 取水制限
や 取水井戸 に関する 規制・ 制限が実 施されて きている 。金沢河 川国道事 務所管内 において
も 一部では あるが届 出・許 可の規制 等の区域 が広がっ てきてお り、節水 に対する 取り組み
が 重要とな っている 。また 、近年は 二酸化炭 素削減に 向けた節 電に対す る取り組 みも進め
られている。
そこで、 節水・節 電によ る環境負 荷の低減 およびコ スト縮減 を図るこ とを目的 に、平成
16年度 よりイン バータ方 式を利 用した節 水型散水 消雪シス テムの整 備を進め てきた。これ
ら過去2カ年で整備された施設について効果および課題を報告する。
2.対象施設の概要
過去2カ年で 整備され た施設は 、平成16年度 で3カ所 、平成17年度 で6カ 所の計9カ所とな
る(図ー1 )。また、参考に平成16年度に整備した施設についての概要を表ー1に示す。
外気温
設
計 降雪強度
条 地下水温度
件
必要散水量
井 井戸口径
戸
能 井戸深度
力 適正揚水量
ポ ポンプ口径
ポンプ能力
ン
プ ポンプ全揚程
-1℃
1.85cm/h
花園
14.5℃
0.23L/㎡・min
φ250mm
200m
百坂 2
浅 野川上 り
901L/min
100A
1,000L/min
40m
大雪(2.0cm/h相当)
能 降雪センサー
中雪(1.0cm/h相当)
力 光反射式 1基
小雪(0.5cm/h相当)
散水延長
500m
散水面積
3,703㎡
表 -1 施 設 概 要 (千 木 下 り )
千 木下 り
法 光寺
浅野川 下 り
春日
町
東山 2
野町
図 -1
3.節水型インバータ方式について
各施設位置図
通常の散 水消雪施 設は、 降雪セン サーで雪 を感知し 降雪強度 の大小に 関わらず 降雪有り
と判断し 、井戸内に設置した水中ポンプが地下水をほぼポンプの最大能力で揚水するため 、
降 雪強度の 弱い場合 は必要 以上に地 下水を散 水してい た。そこ で、限ら れた地下 水を有効
に利用する節水方法として、節水型インバータ方式を検討した。
-1-
まず、イ ンバータ 制御機 器は、電 源の周波 数を変え てモータ の回転数 を最適に 保ち、必
要最小限の動力でモータを回転させる装置であ
る 。 イ ン バ ー タ可 変 散 水方 式 は、 降 雪 強度 に 合 わ
せ て 、 ポ ン プ のモ ー タ 回転 数 を制 御 す るこ と に よ
インバータ可変散水制御
降雪強度
センサ
コントローラ
雪片数をカウント
アナログ制御信号0~10V
周波数変換
り、散水量を調整して節水を図るものである。
AC200V×40~54Hz
節 水 効 果 も 期待 で き るこ と に加 え 、 近年 イ ン バ
インバータ
装置
商用電源 AC200V×60Hz固定
降雪強度に応じて、ノズルの噴水高を変える
ー タ 機 器 が 一 般家 電 に も広 く 利用 さ れ 、機 器 類 の
簡 素 化 と コ ス トダ ウ ン が図 ら れて き て いる こ と を
ポンプ室
圧力センサ
鑑 み て 、 節 水 型イ ン バ ータ 方 式散 水 消 雪シ ス テ ム
小雪
中雪
大雪
地下水の汲み上げ
として採用した。
本 シ ス テ ム は図 ー 2 に示 す よう に 、 降雪 セ ン サ
渇水レベル
水位センサ
ー が 雪 片 を 数 え 、 雪 片 数 が 多 い と 「 大 雪 」、 雪 片
の数が少ないと「小雪」と判断している。
地下水位が規定レベルより低下す
ると、節水(小雪)運転に自動切替
ポ
ン
プ
井戸
こ の 降 雪 セ ンサ ー の 信号 と 散水 管 内 に取 り 付 け
図 -2
節水型インバータ方式
た圧力センサーの計測値に基づきモータの回転数を変
化 させて散 水量を自 動で制 御するも のである 。大雪の 場合は多 く散水し 、小雪の 場合は少
なく散水するシステムである。
圧力セン サーは地 下水位 が変動し ても、散 水高及び 散水距離 を一定に 保つため の計器で
ある。これらの一連の処理は、コントローラの内蔵ソフトで自動制御される。
このよう に、当方 式は雪 の量に応 じてイン バータ方 式でポン プモータ の回転制 御を行う
ことにより、通常散水消雪施設に比べ、地下水と電力量が節約できるものである。
4.冬期散水観測結果
4 .1
降雪強度の割合
降雪状況
平 成 17年 12月~ 平 成 18年 3月 の 4ヶ 月 間に、各 施設の
大雪
降 雪 セ ンサ ー で観 測 さ れた 、 降 雪強 度 の 出現 頻 度分 布
33%
小雪
49%
(平均値)を図ー3に示す。
中雪
こ れ に よ る と 大 雪 で 33% 、 中 雪 で 18%、 小 雪 で 49%
18%
の 降 雪 割合 で あり 、 小 雪の 割 合 がお よ そ 半数 を 占め て
いることがわかる。
4 .2
図ー3
降 雪 状 況 (H17.12~ H18.3)
散水状況
インバー タ方式を 利用し た散水消 雪施設稼 働時の状 況を写真 ー1に示 す。降雪 強度に応
じ た散水量 で特段支 障がな く消雪効 果を発揮 した。ま た、写真 ー2に大 雪時(2 .0cm
/h )の散水状況 、写真ー3に小雪( 0 .5cm/h相当 )時の散水状況をそれぞれ示す 。
-2-
写真ー2 大雪時散水
写真ー1
4 .3
写真ー3 小雪時散水
散 水 状 況 (国 道 8号 千 木 地 先 )
節水・節電効果
表 ー 2 は 平 成 17年 12月 ~ 平 成 18年 3月 の 稼 働 記 録 を ま と め た も の で あ る 。 そ の 結 果 、 イ
ン バータ方 式による 散水消 雪施設効 果(9カ所の平 均値)は、通 常散水方 式(100%とする)と
比 較し平均 揚水率は 62.4%、 約35%の節水 であり 、電力消 費率は53.6%、約45%の節電で
あった。
千 木 下 り の 施 設 を 例 に と り 平 成 16年 度 、 平 成 17年 度 2カ 年 を 比 較 す る と 、 以 下 の 通 り と
なる。若干数字に上下はあるが、節水・節電効果が共に約30%あることは確認できた。
平成16年度
→
節水率
30%
節電率
36%
平成17年度
→
節水率
25%
節電率
31%
揚水量(m3)
稼働時間(H)
通常取水量 IVN取水量
通常施設
花園
244.3
63.0
49.2
15390.9
千木高架下り
236.7
63.0
47.7
14912.1
野町
221.7
84.0
53.8
18622.8
東山2
232.2
50.0
19.4
11610.0
春日町
240.4
66.0
49.1
15866.4
百坂2
261.4
50.0
26.8
13070.0
法光寺
260.9
50.0
25.9
13045.0
浅野川下り
237.1
60.0
42.8
14226.0
浅野川上り
237.8
60.0
26.2
14268.0
合計(平均)
2172.5
60.7
37.9
131011.2
年間削減量
削減比率(%)
表ー2
IVN施設
12019.6
11290.6
11927.5
4504.7
11803.6
7005.5
6757.3
10147.9
6230.4
81687.0
49324.2
37.6
通常容量
11.0
11.0
30.0
22.0
30.0
11.0
11.0
11.0
11.0
16.4
節電量(kwh)
INV容量
通常施設
8.0
2687.3
7.6
2603.7
15.8
6651.0
8.3
5108.4
20.0
7212.0
5.0
2875.4
5.6
2869.9
5.2
2608.1
3.8
2615.8
8.8
35231.6
IVN施設
1954.4
1798.9
3502.9
1927.3
4808.0
1307.0
1461.0
1232.9
903.6
18896.0
16335.6
46.4
各 施 設 観 測 結 果 (平 成 17年 12月 ~ 平 成 18年 3月 )
各施設に おける節 水・節 電効果を 図1, 2に示す 。概ね節 水30%、節電 40%程度の効果は
見 て取れる 。しかし 、施設 により効 果に開き がみられ るため、 今後は各 施設毎に おける最
適な設定を見直すことで、より効果的になると思われる。
図ー5 節電効果
図ー4 節水効果
-3-
5.まとめ
北陸地方 では、地 下水は 適度な温 度があり 、安価に 採取でき る資源で あったた め、散水
消 雪用に地 下水のコ スト、 環境への 影響を軽 視して利 用してき た。近年 、大量取 水による
地 下 水 の 枯 渇 や 地 盤 沈下 等 の 問題 が 発 生す る な
千木下りにおける地下水汲み上げ量の比較(年間)
か で 、 消 雪 パ イ プ に 代わ る ロ ード ヒ ー ティ ン グ
や 河 川 水 の 加 温 散 水 など の コ スト 増 を 考慮 す れ
イ ン バ ー タ 方 式 を 利 用し 、 地 下水 利 用 の軽 減 を
図ることが必要である。
地下揚水量(m3)
ば 、 当 面 の 対 策 は 節 水・ 節 電 効果 が 期 待で き る
15000
1 4 ,9 1 2
10000
1 1 ,2 9 1
5000
イ ン バ ー タ 方 式 を 利用 し 、 降雪 量 に 応じ た 散
0
水 量 を 設 定 で き る の で、 省 エ ネ・ 省 資 源化 に 有
通常施設
インバータ施設
効 で あ る 。 今 後 、 地 下水 環 境 保全 の た め地 下 水
の総量規制が行われた場合を想定すれば、イン
図ー6
地下水の年間汲上量の比較
バ ータ方式 の使用で 、昨年 と同じ気 象条件下 では、散 水消雪施 設1箇所当た り(千木下りを
想 定 )で 、 年 間 25% 、 約 3,600 の 地 下 水 が 節 約 で き る ( 図 ー 6 )。 こ れ は 、 通 常 の 25m プ
ー ル (25×15× 1.5m)に換 算 す れば 、 8杯 分を 節
千木下りにおける電気使用量の比較(年間)
水したこととなる。
次 に 、 千 木 下 り の 施設 を 例 にと り コス ト を 試
2500
950千 円 に 対 し 、 イ ンバ ー タ 制御 施 設部 分 の 費
用 は 1,050千 円 で 、 通 常 散 水 施 設 に 比 べ 2.5%
増加する。しかし、今後インバータ方式が普
及することによりこのイニシャルコストも下
電気量(kwh)
算 し て み る 。 設 備 全 体 の イ ニ シ ャ ル コ ス ト 42,
2000
2 ,6 0 4
1500
1 ,7 9 9
1000
500
0
通常施設
がることが期待される。
ま た 、 電 気 使 用 量 も 約 3割 削減 で きる の で 、
図ー7
インバータ施設
電気使用量の比較
地球環境や温暖化に対する負荷低減の面からも
有 効 で あ る ( 図 ー 7 )。 な お 、 節 電 分 900Kwhを 電 気 料 金 に 換 算 す る と 、 7,920円 に 相 当 す
る (電 気使用量 8.8円 /Kwhで 計算)。し かし、現 段階で はインバ ータ制御 施設の導入費を、
節 電効果の みで回収 するこ とは難し いが、節 水等の環 境負荷の 観点から すると、 十分にイ
ニシャルコスト分の価値はある。
6.あとがき
本システ ムが普及 し限ら れた地下 水を有効 に利用す ることで 、道路環 境の改善 とコスト
縮 減を図り 、環境に やさし い施設と 評価され るよう、 今後さら に実態調 査を進め るととも
に本システムの改善を図りたいと考えている。
文末にな りました が、本 調査の実 施にあた り御協力 頂きまし た関係各 位の方々 に感謝を
申しあげます。
-4-
Fly UP