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ていねいを探 す 旅 7
ひと土 岐の旅
はじめに
アサ佳 さん
岡村 宜治さん
1 3 0 0 年 以 上の歴 史を誇る美 濃 焼のふるさと、土 岐 市 。
ここに今 、集まるのは
竹下 努さん
田中 源さん
「 何より、ここには志を同じくする仲 間がいる。
一 人ではないと、自分を奮い立たせる刺 激がある」
陶 芸の道を目指し、技と心を磨くために
やきものの聖 地 へと導かれた若 者たち。
2015年。
陶 芸の楽しさ、奥 深さを伝えるため、
「山に囲まれ 、自然が 豊かで静かな地 」
「 陶 芸に関する情 報や原 料が 充 実している」
自らの未 知なる可 能 性を探るため、彼らは
〝ミノヤキセンパイ〟
という、ものづくりユニットを結 成した。
「 作 陶 に 打 ち込 める環 境 が 整 っている」
「 歴 史 的 な 遺 産 が 多く残る」… …
「やきものの本 場だからこそ、伝えられることがあるはず。
古より受け継がれる、暮らしに息づく文 化と共に
生まれ 育った場 所も、経 歴も、環 境も、作 風も
まったく異なる4 人の新 進 陶 芸 家 。
それぞれの言 葉で土 岐 市の印 象を話す彼らが 、
口をそろえて語る一 番の魅力、それは―
02
日本 へ、世 界 へ、やきものを発 信していきたい」
そんな熱
そ
そん
んな熱
な熱き想
き想いを
き想
をもつ
も ひとがい
ひと
とがい
いるまち、
ち 土岐。
さ 、行こ
さあ
行こう、
ひと土
ひと土
と土岐の
土 岐の
岐の旅へ
旅へ。
旅へ
03
発行
発
行:土
:土 岐
岐市/中
市 中日本高速
日本高速道路株式
道路株式
道路
路
会社
社
ひと土岐の
みなもと
土岐市泉町
【源】
陶磁器生産日本一のまちで、
その源を探る 土岐市泉町
土岐IC近くにある、織部の里公園。緑に覆われた丘の斜面にへばりつ
くようにしてあるのが、16∼17世紀初頭に使われた大窯3基と登窯1基
もと や しき とう き かま あと
からなる史跡「元屋敷陶器窯跡」
だ。全長約24m、幅約2.2mの迫力あ
かげのぶ
る登窯は、窯大将の加藤景延が九州の唐津で学び、美濃に築いたも
の。武将茶人の古田織部の名を冠したやきもの・織部が、
この登窯で盛
んにつくられた。
「 桃山時代、美濃では黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部と
いった茶陶が焼かれ、茶人に愛されました。
それまでは中国のやきもの
を手本としていたのが、
日本独自の美をもつやきものへ
と進化したといえます。
その魅力は歪みや豊かな色彩、
絵付けにあり、当時はこの窯でもたくさんの器が焼か
れました」
と、学芸員の鍋内愛美さん。美濃陶磁歴史館
では、窯跡で出土した陶片など、貴重なやきものを間近に鑑賞できる。
黄瀬戸の柔らかな色合い、志野に見られる生き生きとした筆使い、
はっ
とさせられる斬新な文様で大胆なフォルムの織部…。
日本一の陶磁器
生産の地で、
日本美のルーツを発見し嬉しくなった。
N
Note
国指定史跡「元屋敷陶器窯跡」
を保存・展示
織部の里公園
岐阜県土岐市泉町久尻1246-1 ☎0572-54-2710 開園時間/9:00∼17:00
休園日/月曜、祝日の翌日
(月曜が祝日の際は火・水曜が休園)、12月29日∼1月5日
「元屋敷陶器窯跡」
の登窯では、一度に何千個もの器が焼かれたと考えられている。
また、園内の創陶園ではろくろを使った作陶や絵付けなどの陶芸体験ができる。
N
Note
趣向を凝らした企画展や特別展も人気
土岐市美濃陶磁歴史館
岐阜県土岐市泉町久尻1263 ☎0572-55-1245
開館時間/10:00∼16:30
(入館は16:00まで) 入館料/200円(大人)
休館日/月曜(祝日を除く)、祝日の翌日、12月26日∼1月6日
元屋敷陶器窯跡の出土品など、黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部といった美濃桃山陶を
常に展示、多彩なテーマの企画展・特別展も人気。
http://www.toki-bunka.or.jp/
(公益財団法人土岐市文化振興事業団)
中央道 土岐ICより約10分/東海環状道 土岐南多治見ICより約10分、五斗蒔スマートICより約5分
04
ひと土岐の
めぐり
土岐市妻木町
【巡】
興味津々、
妻木城下町歴史巡り 土岐市妻木町
訪れたときは、夏の真っ盛り。
虫の鳴く音が響くなか、木立の緑の中に埋
つま ぎ
もれるようにして連なる石垣に圧倒された。妻木町の山中にある妻木城
さむらい
妻木城士屋敷跡
いえ より
士屋敷跡は、400年ほど前、
この地を治めていた妻木城城主・妻木家頼
の住居跡である。
「 家頼は、美濃焼の振興に尽力し、唐津より連房式
登窯の技術を導入して元屋敷窯(P04)を造らせた人物です。
また、八幡
やぶさめ
神社を氏神として手厚く保護し、流鏑馬を始めたのも
この頃と考えられています」
と語るのは、妻木八幡神社
ね
ぎ
宜で、
「妻木城址の会」
の黒田正直さん。黒田さんに
案内されて、
妻木公民館内の郷土資料室を見学した。
展示されている立体ジオラマを見ると、
山頂にある妻木
城址、
その麓の士屋敷跡、八幡神社、
さらに妻木家の
そう ぜん じ
菩提寺である崇禅寺と、町の全容がよく分かる。
「 城址や妻木城下町
を巡ることは、
やきものの町の源を知ることにもなると思います」。
山懐に抱かれた八幡神社の凛とした佇まいや、崇禅寺の堂々とした風
妻木八幡神社
格も素晴らしく、
隠れた歴史名所巡りに心が踊る町歩きとなった。
N
Note
毎年10月の流鏑馬神事が見事
妻木八幡神社(妻木城址の会事務局)
岐阜県土岐市妻木町3051-1 ☎0572-57-6441
http://www.tumagijyou.com/
6人の少年が馬を操り参道を疾走する流鏑馬
神事は、2015年10月11日(日)に行われる。
また、社務所裏には木曽馬が一頭飼育されており、常時見学できる。
N
Note
N
Note
妻木公民館郷土資料室(土岐市立妻木公民館内)
岐阜県土岐市妻木町1370-1 ☎0572-57-4564
開館/火曜∼土曜 9:00∼17:00 ※見学希望の際は公民館事務室へ
崇禅寺
岐阜県土岐市妻木町55-1 ☎0572-57-6425
土岐明智氏の初代頼重により1354(文和3)年創建。妻木城主
代々の墓所があり、市文化財の総門、唐門なども見応えあり。
東海環状道 土岐南多治見ICより約10分
※妻木城さんさくMAPを妻木公民館・八幡神社で配布中
06
崇禅寺
ひと土岐の
みゃく
たの も
織田信長方であった城主・平井頼母と、武田勝頼軍がこの地で激戦を
土岐市土岐津町
【脈】
展開しました。
その慰霊のために武田氏の子孫が江戸時代に寺を開山
しましたが、
その後廃寺になります。今ある石仏は、明治末期から大正に
かけて地元の人々により安置されたものと考えられています」。後の世の
人々は、何百年も前の戦の悲惨さを忘れず、
石仏を安置し魂を慰めたのだ。
静寂のなか、木立の中の細い道を登り山
脈々と継がれた想いを岩穴の石仏に見る 土岐市土岐津町
頂の高山城跡に出る。一気に視界が広
切り立つ岩肌の たれた穴々に鎮座する104の石仏。木漏れ日がさす
がり、土岐川の流れと町並みを見下ろす
と、石仏や岩肌の表情を浮き上がらせ、木々の緑とのコントラストが神秘
爽快な眺望に感嘆のため息が漏れた。
うが
的な美しさを見せていた。
「私自身は歴史にはあまり興味がなかったの
ですが、
ちょっと怖い、
でも不思議なここの雰囲気に惹かれて地元のお
年寄りに話を聞いたことが、活動のきっかけなん
です」
と微笑むのは、高山城高山宿史跡保存会の
あな こう ぼう
後藤 清さん。
この
「穴弘法」
と呼ばれる石仏群は、
戦国時代に戦の舞台となった高山城下の谷間に
ある。
「穴弘法は高山城の一部と考えられています。
08
N
Note
秋は「戦国合戦まつり」
と
「もみじのライトアップ」
を開催
高山城高山宿史跡保存会
岐阜県土岐市土岐津町高山375 ☎0572-55-0112(事務局)
http://www.tokitakayama.com/
「高山城跡はもちろん、下街道の宿場だった高山宿は、歴史的にも価
値ある場所。若い世代に故郷に誇りを持ってもらえるように伝えていき
たい」
と後藤さん。若者有志が土岐高山城戦国武将隊を結成するな
ど、
その想いは着実に受け継がれている。2015年10月4日
(日)
は
「高
山城戦国合戦まつり」、11月14日
(土)∼23日
(月・祝)
は
「穴弘法もみ
じと100地蔵のライトアップ」
を開催。
また、高山区民会館前の
「屯所」
で毎月第3土曜・日曜に開催する
「戦国茶屋」
もおすすめ。穴弘法や高
山城跡などの見どころマップは上記HPで公開されている。
中央道 土岐ICより約5分/東海環状道 土岐南多治見ICより約7分
09
ひと土岐の
ふみ
たらしていた。
こうした山々の復旧のため、大正から昭和50年代まで、
土岐市肥田町
国や県、市による治山工事が半世紀以上かけて行われ、緑を取り戻した。
ネイチャーセンター・自然観察指導員の伊藤敏明さんは
「虫好き、鳥好き、
【史】
草花好きの人がひんぱんに観察に訪れるほど。
ゆっくり歩けば、
いろいろ
な発見があるはずです」
と話す。伊藤さんが撮影したという、色鮮やかな
ギフチョウや、見たこともない青い色をしたキノコ、愛らしい水鳥の親子
やきもののまちの歴史を秘めた森に憩う 土岐市肥田町
などの写真を見せてもらい、
その生き生きとした美しさに感動する。
早朝、山端が明るくなりかけたころの陶史の森はとても美しい。薄霧に
先人の手によって長い時間をかけ作り守られた森は、
やきものの町の歴
包まれたモノクロームの世界が少しずつ青や緑で彩られると、野鳥の
史を秘めて、生命 れる森へと変化を遂げたのだ。
うん ご
さえずりが響き渡る。雲五川のせせらぎ沿いを歩けば、水辺を飛び交う
トンボやチョウ、
朝露に濡れた草花に心が安らぐ。
今は緑深く多種多様な生き物が棲む陶史の森
だが、
かつては樹木もまばらな禿げ山だった。市内
各地では、やきものを焼成する燃料のために森林
の濫伐が進んだ結果、山々が荒廃、地質の弱さも
相まって山崩れや洪水が発生し、大きな被害をも
10
N
Note
104ha(ヘクタール)の広大な森
陶史の森
岐阜県土岐市肥田町肥田116-15 ☎0572-59-5144 開園時間/随時 休園日/年末年始 無料 ※園内はペット同伴不可
○土岐市ネイチャーセンター ☎0572-59-5144 開館時間/9:00∼16:30
休館日/火曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始
www.tokicci.or.jp/sight/to_mori/
岐阜県と土岐市が整備した
「生活環境保全林」
で、1975(昭和50)年に開園。
「土岐いきものふれあいの里」
として動物小屋やチョウの館、
ビオトープ、遊具
などが整備されており、家族連れでにぎわう。また自然や昆虫の観察・小動物
とのふれあいを通じた自然教育の場として、ネイチャーセンターによる自然
観察教室や体験教室が1年を通して開催されている。
中央道 土岐ICより約15分/東海環状道 土岐南多治見ICより約10分
11
ひと土岐の
ぜい
土岐市下石町
【贅】
ひと皿、
ひと鉢に贅を尽くす、美食名湯の宿 土岐市下石町
鎌倉時代、傷を負った落武者が行き倒れ、夢枕に立った薬師如来のお
告げにより谷川で傷を洗ったところ、
たちまち傷が治ったー。
そんな伝説
が残る、700年の歴史をもつ温泉の一軒宿が、山神温泉湯乃元館だ。
まずは「万病の湯」
ともいわれる放射能
泉をたたえた大浴場に身を沈め、柔らか
まと
なお湯を纏う幸せに浸る。大きな窓の外
には陶器のオブジェが趣味よく置かれ、
やきものの町に来たことを実感する。
名湯を心ゆくまで堪能した後は、美濃焼の器に美麗に盛りつけられた
会席料理が待っている。宿の主で総料理長の日比野洋示さんによれ
ば、
「料理が器よりちょっと勝つ絶妙なバランス」。土岐山神流…とでも
いいたくなるような、滋味深い、
ひと皿、
ひと鉢。見た目も味も記憶に残る
ような料理が続く。
「ここは何もない山の宿。
だから、
お湯、食事、器を楽
しんでゆっくりしていただきたい。
そのひとときに贅を尽くしたいのです」。
翌朝は早起きして、緑豊かな宿の周りを散
歩できるのも一軒宿だからこそ。朝湯にざぶ
んと浸かった後の、旅館ならではの和の朝
食で満足感はピークに達した。
N
Note
四季折々の会席料理を美濃焼の器で
山神温泉湯乃元館
岐阜県土岐市下石町1953-1 ☎0572-57-8228
料金/1泊2食 1室4名利用で1名17,000円(税別)
∼
食事のみ1名6,480円
(税別)
∼
http://yamagamionsen.jp/
東海環状道 土岐南多治見ICより約10分
名古屋の一流料亭で修行したという日比野さん。
その厳しい審美眼で選んだ地元の作家や窯元の器
で彩る、旬の素材を活かした会席料理は絶品だ。放射能含有量が多いと評判の温泉も素晴らしく、
ご褒美の旅として大切な人と訪れたい宿だ。
12
13
ひと土岐の
めん
土岐市下石町
【麺】
おいしいうどんづくりに一本気、一本道 土岐市下石町
遠くから、
わざわざそこを目指していく人もいるという評判のうどん屋が
おろし
いく べぇー
ある。下石町の狭い路地の一角にある
「手打うどん郁兵衛」
は、陶器商を
営んでいる林 郁男さんが〝ある日突然、
うどんを打とう〟
と思い立ち、還
暦(60歳)
にして始めた店だ。
「材料は小麦と水、塩だけ。
まぜて、
こねて、
のばして、切って、茹でる。
やきものと似てるでしょ」
といたずらっぽく笑う
林さん。
しかし、突然思い立ったからといってすぐにうどんを打てるわけ
でない。
そのため、群馬県や香川県などの有名店に
「営業がてら行き商
売は断られたが、
うどん打ちは教えてくれた」
という驚くべき行動力でうど
ん打ちを学んだ。
最終的には愛知県江南市にある有名店に教えを請い、
周囲の反対を押し切って開店する。
「小さい子供が、
おいしいといって一
人前ぺろっと食べてくれたりすると嬉しくて。人
が好きなので、今は楽しくやってますよ」
と店を
切り盛りする妻の幸子さんも朗らかに笑う。
この地方で
「ころ」
と呼ばれる冷たくしめたうど
んに、穂高安曇野産の生わさびをすりおろし入
れて食す。透明感のある麺の伸びやかなコシと弾力。喉ごしもよく、
しかし
噛めば小麦のしっかりとした味わいもある。
あぁ、
おいしい!としみじみ嬉
しく、次はいつ来られるかと恋しく感じる麺なのだ。
N
Note
夫婦で営むこだわりの手打ちうどん店
手打うどん郁兵衛
岐阜県土岐市下石町378 ☎0572-57-2961
営業時間/11:00∼
(売切れ次第終了) 定休日/火・水・木曜
http://www.ob2.aitai.ne.jp/~ikuo-t/ikubei/ikubei.html
中央道 土岐ICより約15分/東海環状道 土岐南多治見ICより約7分
麺は、夏は4∼5時間、冬は5∼6時間かけて打つ。
こだわりの穂高安曇野産
の生わさびとともに、卵黄を落として食べるのもおすすめだ。写真は岐阜県
産自然薯も味わえる
「とろろ御飯ころうどんセット」
(850円)。民家を改造し
た店内では、
地元の窯元の器も販売している。
14
15
ひと土岐の
かがやき
と透明感を持つやきものづくりに挑戦。100個つくって98個が不良という
土岐市下石町
【輝】
失敗を乗り越え、周辺が反対するなか試作を重ね2年半の歳月をかけて
完成したのが「ぎやまん陶」だ。伝統的な菊型の形状はクラシカルであり
ながら新鮮な印象があり、
やきものなのにガラスのような輝きを放つ。
この
唯一無二の器は、
パリの有名ブランドのバイヤーの目に留まるなど、国内
外で注目の的となった。
それでも、伊藤さん
日々をたのしく、
きらりと輝く器づくり 土岐市下石町
夫妻がめざすのは、地に足のついた
「おいし
カネコ小兵製陶所は、土岐市下石町に1921(大正10)年に創業、
ピー
いうつわ、
たのしいうつわ」。
日々の小さなしあ
ク時の昭和40年代には年間160万本の徳利を生産していたという。
わせを届けるという信念で、家族同様の職人
おろし
「しかし、
ライフスタイルの変化もあって徳利の生産はその後大幅に減
たちとともに、新しい器づくりに挑み続ける。
少し、新商品開発を余儀なくされました」
と語るのは3代目となる社長の
N
伊藤克紀さん。
「当時30歳だった妻に企画やデザインを頼みました。毎日
Note
料理をつくる女性の視点が大切だと
気づいたのです」。妻の久子さんと二
人三脚でつくったその器がヒットする
と、次は
「漆の溜め塗」
のような風合い
16
月イチギャラリーショップ「窯や小兵」
も好評
株式会社カネコ小兵製陶所
岐阜県土岐市下石町292-1 ☎0572-58-3433
月イチ体験ショップ開催/毎月第1土曜日 10:00∼17:00
※月イチショップは1月・8月は休み、開催日等詳しくはHPへ。
http://www.ko-hyo.com/
工場に隣接した築60年の建物を使って、毎月テーマが変わる体験型
ショップを開催。商品を使ったワークショップなどを行う。2015年10
月31日
(土)、11月1日
(日)開催の「下石どえらぁええ陶器祭り」
にも
注目。下石陶磁器工業協同組合前道路で陶器市などが行われ、多く
の人でにぎわう。詳しくは http://www.kamamoto.jp/
中央道 土岐ICより約15分/東海環状道 土岐南多治見ICより約7分
17
ひと土岐の
ねつ
土岐市駄知町
【熱】
やきものの町で感じる作り手の熱き思い 土岐市駄知町
だ ち
駄知町はどんぶりの生産が盛んで、室町時代からの歴史を誇るやきも
のの町だ。
「1972(昭和46)年頃の最盛期には九州や青森からも人が
集まりにぎわっていました。残念ながら随分と人は減ってしましたが、
今も日本トップクラスの産地であることに変わりありません」
と語るのは、
たんざんかま
丹山窯の丹羽哲男さん。丹羽さんは、駄知を元気にしたいと7つの窯元
で結成した
「だち窯やネット」
の事務局をつとめる。
丹羽さんに案内されて、
だち窯やネットのひとつ、
せいざん かま
だ ち いん ばんかん
清山窯(駄知印判館)へ。明治時代に絵描き職人
すり え
の不足を補う為に考えられたという 絵や銅版の
技法を使った貴重などんぶりが展示され、大量生
産を実現した人々の工夫や情熱を感じることがで
きる。窯元が点在する町を歩けば、
旧駄知線(p28)
の名残りやレンガの煙突などやきものの町らしい風景が広がり、実に趣
深い。
「駄知の財産をもっと活用しようと、駄知線跡でマルシェの開催も
企画しています。作り手の顔が見える陶磁器づくりを目指して、窯元の想
いを伝えたい。
そして駄知の窯元のファンになってほしいのです」。
その
目はまっすぐ、
ものづくりと故郷のこれからを熱く見つめている。
N
Note
10月開催「駄知どんぶりフェスティバル2015」
で窯元蔵出しも
だち窯やネット
岐阜県土岐市駄知町2321-148 ☎0572-59-4188(丹山窯・だち窯やネット事務局)
見学時間/10:00∼16:00
(予約要) ※各窯元について詳しくはHPへ http://kamayanet.web.fc2.com/
中央道 土岐ICより約15分/東海環状道 土岐南多治見ICより約15分
事務局の丹山窯(右上)
のほかに、南楽窯(すりばち館・右下)、快山窯、清山窯、
宗山窯、藤山窯、樹窯で結成する
「だち窯やネット」。
自分好みの器を探して各窯
元を見学しよう。昭和の情緒を感じる旧駄知線沿線や休兵衛街道を散策する
のもおすすめ。今年は10/3(土)
・4(日)
に開催する
「駄知どんぶりフェスティ
バル2015」
や、毎年5月3∼5日開催の
「だち窯やめぐり」
はぜひ訪れてほしい。
18
泉麻人のひと土岐 ぶらり
駄知線の走った土岐 のやきもの地帯を行く
軽 妙 な 語り口のうんちくが 楽しい 、
コラムニスト 泉 麻 人さん 。
〝 駄 知 線 〟 の 廃 線 跡 を辿って
やきもののまちをぶらり歩き。
おもしろいものは 見つかりましたか?
土岐津駅
神明口駅
土岐口駅
下石駅
東駄知駅
駄知駅
山神駅
旧東濃鉄道駄知線
(駄知線)
Asato Izumi
1956(昭和31)年4月8日、東京都新宿区落合出身。
慶應義塾大学商学部卒業後、1979年東京ニュース通
信社に入社。
「 週刊TVガイド」などの編集者を経て、
1984年フリーコラムニストに。2005年には気象予報
士の資格も取得。主な著書に
『大東京23区散歩』
など。
近刊は
『80年代しりとりコラム』
『還暦シェアハウス』。
※現在は駅は
残っていません
駄知線 山神駅∼駄知駅間の橋梁跡
土
岐はお隣の多 治 見と並んで、陶 磁 器の名 産 地として知られ
だ
ち
まずは、土岐市駅前の町並み− 名古屋圏定番のコメダコーヒーの
ている。そして、窯元の多い山間の駄知の町までかつて東濃
並び、古びた木造の町家に結納品店の看板が残る。結納品の専門店
鉄道というローカル線が走っていた。廃線跡を りつつ、東濃のや
とは、
これまた婚礼に熱心な東濃地方らしい。駄知線(通称)
は、
そんな
きものの里を探訪してみたい。
昔ながらの建物が見える中央本線の駅南口から出ていた。当初の駅
かご はし き く お
案内をしていただく籠橋起久雄さんは、
〈町づくりだちもんフォーラム〉
名は土岐津といい、中央本線に隣接した所はしばらく貨物駅専用だっ
に所属していて、駄知の町おこしに尽力されている。ちなみに、東濃
たという。
鉄道駄知線(前身・駄知鉄道)
の敷設を推進した、
この町の名士(製陶
かご はしきゅう べ
「つまり、人より陶磁器の運搬が先、って
え
業)籠橋休兵衛は、氏の夫人の血縁にあたるらしい。
N
Note
ことですね」
と、籠橋氏。少し先の川際に
設けられた駅(新土岐津)から駄知まで
特定非営利活動法人 町づくりだちもんフォーラム
籠橋起久雄 さん
開通したのが1923(大正12)年。およそ
駄知町の再生、活性化をめざす有志の集まり
「町づくりだちも
んフォーラム」
の理事長をつとめる。駄知線跡を歩く
「駄知線
ウォーキング」
を月1回開催するなど、
まちの活性化に精力的
に取り組んでいる。
「今後は資料集めと整理をする資料部、線
路道周辺を整備する保全部に分けて活動するなど、駄知線跡
の活用法をもっと研究したいですね」。上記facebookで告知
されるウォーキングは誰でも気軽に参加できる。
5 0 年 後の1 9 7 2( 昭 和 4 7 )年 夏の台 風
https://www.facebook.com/groups/dachimon/
20
で、土岐川に架かる橋が流失したのを機
かつて土岐津駅があった場所から籠橋
さんと出発(写真上)。駄知線の橋梁が
あった土岐川永久橋付近(同下)
に休止、2年後の1974(昭和49)年秋に
廃線となった。
21
泉 麻 人のひと土 岐 ぶらり
廃
線跡の大方は遊歩道(サイクリング
この下石が「とっくり」、駄知が「どん
ロード)になっている。当日はまだ夏
ぶり」、市之倉は
「さかずき」、笠原は
の盛り。
さらに
〝指折りの猛暑地帯〟
でもある
「タイル」…といった具合に、
さほど距
から、
さすがに全線踏破(約10キロ!)は断
離のない地域ごとに特産品が決まっ
念したけれど、車を使って移動しつつ、気に
ているようだ。下石駅跡(いまも東鉄
なるポイントを散策する。下石の集落は、実
のバスターミナル)から西方の山を
に趣があった。
シモイシと読みたくなるが、
オ
上った所にある、
「カネコ小兵製陶
ロシと読む。街道端に
「とっくり」のオブジェ
所」
は、神仏具のとっくり
(袋物)
を主
が掲げられた下石裏山の集落に入っていく
体に1921(大正10)年から陶磁器
下石駅跡(現東鉄のバスターミナル)
と、素朴な窯場が立ち並ぶ路地の所々に
〈とっくり
製造を始めた老舗。見晴らしの良い産地に建つ古民家調のギャラリー
とっくん〉
という手足のついたとっくりキャラが飾られ
(往年の客間)
には、
「家庭画報」
のグラビアなどが似合いそうな
「ぎやま
ている。
なだらかな坂道づたいに小川が流れ、
きれいな
ん陶」
というシャレた皿や小鉢が陳列されている一方、隅っこの棚には
カワトンボが飛んでいる。道が迷路状に込み入って
日本酒の銘柄を入れた、昔ながらのお銚子が展示されている。
いるのも面白い。
ちょっとした桃源郷に紛れ込んだような心地になった。
ここで、
おかみさんから郷土名物の
「味ごはん」
というのを振る舞われた。
鶏やごぼう、
しいたけ、にんじんなどが
入った、
いわゆる鶏めし風まぜごはん、
のようなものだが、
あっさりしつつ、程良
く油分やコクもあり、実に旨い。
コレ、昔
は窯元のおかみが窯焼き職人(焼き
手)
を仕事の合間にもてなすもので、
それぞれの窯が味付けを競い合っ
たという。
いまは工程の多くが機械化されて、専門の職人はいなくなった
が、地域のもてなし料理として継承されている。味ごはんをいただきなが
ら、僕と同年代のご主人・伊藤克紀さんから駄知線の思い出を伺った。
②
③
①
④
カネコ小兵製陶所の伊藤克紀・久子さんご夫妻。
おいしい
「味ごはん」
を味わいながら、駄知線の思い出を聞く
趣を感じる下石の町。
日向山稲荷神社にもとっくりとっくんが(写真①②)。路地の奥の窯元も見学(同③)。
下石陶磁器工業協同組合の向かいにある古い倉庫群。
すぐ横を駄知線が走っていた。
(同④)
22
23
泉 麻 人のひと土 岐 ぶらり
「高
校1年の夏まで走っていて、
通学に使ってました。
毎朝、
一つ手前
東濃バス事務所に残る駄知線の印付き金庫。
(写真①)古い写真や資料を見せてくれた千古乃岩酒造の中島善
二さん
(同③)。
ちなみに右上の模型は駄知公民館に飾られていた模型で、古い写真(同②)
とよく似た車両だった
①
②
③
の山神って駅の所でポーッと警笛を鳴らすんです。
ソレを聞いて、
坂をダダーッと下りていくと、
土岐の方へ行く電車に間に合うんですよ」
地元の人ならではのいい話だ。
その山神駅あたりは林間のなかなか快適
な散歩道になっている。
そして、
少し駄知寄りに行ったあたりに、
草むした
駅跡の横手に見える
「千古乃岩酒造」
は、駄知線開通前からやってい
野趣な佇まいを見せる石づくりの橋台が残っている。
さらにもう少し先に
る古い酒蔵で、
ここのオヤジさんは駄知線のウン
トンネルの遺構が存在するというが、夏場は草がおい繁って、
ちょっと先
チクを語り出したら止まらない。
コレクションし
へ進むにはそれなりの覚悟が要る。
「マムシがうじゃうじゃいますよ」
と、
た昔の乗車券や古い写真を見せてもらった。
「ウチの前の桜、
なんでも駄知線の駅ができたときに植えたもん
籠橋さんが脅し気味に笑った。
駄知駅の跡もバスターミナルと車庫などに利用され、後に町の東方の東
だってね…」
駄知まで延伸された際に設置されたスイッチバック式線路の面影も仄か
店の真ん中の桜の木、確かに古写真の同じ
に見受けられる。
バス好きの僕の目にとまったのは、
敷地の一角に放置さ
位置に若木の姿で写りこんでいる。
あの桜、
れた古びたバス停の看板。
なかに
「上田良子」
「下田良子」
なんて人名み
長らく駄知の人とやきものの運搬の様子を
たいなのを見つけて、
近くにいた運転手さんに伺うと、
これはタラゴという
見送ってきたのだ…。セミが鳴く老いた桜
明智町の方の地名らしい。
の木を眺めつつ、感慨深い気分になった。
東濃鉄道のバスターミナルでは、駄知線の建物や線路のレールもまだ残っていた
(写真①②)。
ユニークな地名の
バス停を発見する
(同③④)。
旧下石駅∼山神駅間は林の中を行く。土留めにレールが使われていた
(同下)。
①
②
③
④
N
大木となった桜の木(左)と千古乃岩酒造
延長約10.4kmのサイクリングロードに名残りを見る
東濃鉄道駄知線跡
Note 駄知線跡はサイクリングロードとなっているが、
ところどころで
途切れる箇所もある。
また、
駄知町の東濃鉄道・バスターミナル
は一般公開されていないため、入り口付近で見学しよう
(バス
の出入りがあるので安全に注意のこと)。今回、泉麻人さんが
訪れた見学ポイントが分かる駄知線跡Map付ガイドを、
N Drive公式HPで公開中。
(http://www.n-drive.jp/)
24
25
泉 麻 人のひと土 岐 ぶらり
泉麻人さんと駄知線跡を辿る旅の仕 上げに訪れた「みくに茶 屋 」。
里山の風景を眺めながら食す、
こだわりの自然薯料理にホッとひと息。
地
元特産のすり鉢でいただいた
「とろろ
めし」は、独特のコクと甘味があった。
また、
このあたりでは正月の2日にとろろめしを
味わう、
という風習があるらしい。
晩秋に掘り出した自然
は東濃ヒノキのオガ
粉のなかにいれて、
冷蔵庫で保存する。
N
Note
ひと土 岐 の
いかし
自然と活きるイタリア料理
土岐市妻木平成町
【活】
土岐市妻木平成町
「目の前の畑で野菜を作るようになって、発見の日々です」。
やさしい笑顔が印
ぐう
象的な宮川典久さんは、
トラットリア遇のオーナーシェフだ。宮川さんの人柄
そのままのような温もりある店内からは、
自慢の小さな畑の緑が見え、居心地
天然自然薯料理や季節料理を堪能
のよい雰囲気を創り出している。
「たとえばこのパスタは、
ナ
みくに茶屋
スを角切りにしました。
その方がおいしさが引き立つからで
岐阜県土岐市鶴里町柿野3038-1 ☎0572-52-3374
営業時間/7:00∼17:30
(売り切れ次第終了) 定休日/金曜
http://www.mikunichaya.com/
すが、野菜をつくるようになってから切り方まで考えるように
東海環状自動車道 せと品野ICより約15分
河合辰己さん、
昌子さん、隆さん一家との会話も楽しい、
みくに茶
屋。
とろろは、辰己さんが
「毎朝、大きなすり鉢で山椒のすりこぎを
使って、1時間以上かけてじっくりすっています」
とのこと。
「うちの
は皮ごとすりおろすんですよ。風味が違います」
と妻の昌子さんに
勧められて食べてみると、独特の土の香りや粘りがクセになり、
あっという間に平らげてしまうほど。添えられた
「自然薯の刺身」
や
「アマゴ甘露煮」
も美味だ。春は近くで穫れた山菜、秋は辰己さん
が山で採集する天然きのこ料理を味わえる。
「土岐市の南の玄関
口と思って、
おもてなししています」
と昌子さん。
山小屋風の店内は
落ち着いた雰囲気で、窓からは見える山並みにほっと癒される。
「じねんじょ御膳」
は2,200円、
「じねんじょ定食」
は1,300円。
なりましたね」
と話す。畑で穫れたトマトと実家で穫れた茄
子を使ったというパスタを味わってみる。噛むとぎゅっとほと
ばしるナスのみずみずしさ、
トマトの爽やかな甘みのハーモニーが何ともおい
しい。
まねしたくなるような、地元のやきものを使った器づかいも素敵だ。
これ
からの目標は?と聞くと
「特別なことではなく
〝自然と活きるイタリア料理〟
をめ
ざしたいです」
と、
はにかむように微笑んだ。
N
Note
地元の器で味わうイタリアン
トラットリア遇
岐阜県土岐市妻木平成町3-46 ☎0572-44-7323
営業時間/ランチ11:30∼13:30(L.O.)、ディナー18:00∼20:00(L.O.)※要予約
定休日/月曜・第3日曜、不定休有り
東海環状道 土岐南多治見ICより約10分
多治見の街中から移転して3年という、
のどかな一軒家レストランの目印は、
やきものの町らしい、深いグリーンの陶壁。人気の遇ランチは、選べる前菜、
本日のパスタ、
自家製パン、珈琲か紅茶がついて1.300円。写真の玉ねぎの
キッシュや自家製パンはファンも多い。
26
ひと土岐の
あん
土岐市曽木町
【餡】
親子代々、
ふるさと自慢の気取らないおやつ 土岐市曽木町
ようかん
竹皮羊羹は、地元の人なら誰もが知る土岐の名物だ。
そこで、1887(明
治20)年頃から竹皮羊羹ひとすじという池田屋を訪ねた。明治創業の
老舗と聞いて、敷居の高そうな店構えを想像していたが、
目の前に現れ
たのは、食料品や日用品を置く
〝ご近所のよろずやさん〟。何とも親しみや
すい雰囲気に肩の力が抜ける。
お店のレジ奥が厨房になっており、餡を
炊くいい匂いが漂っていた。5代目というご主人の中
島 薫さんが「今、
ちょうど竹皮に餡を包むところ」
とい
うことで、
その作業を見せてもらう。
「うちのは、小豆と
砂糖、小麦粉、少しの水 と塩だけ。
シンプルだから
こそ小豆はこだわりたくて、十勝産小豆だけを使い餡
から手作りしています」。慣れた手つきで湿らせた竹
皮に餡をのせ四角に包み、
くるくるとひもで止めていく。
「これを1時間ほ
ど蒸して中1日ほどねかせ、
ちょうどよい塩梅で出荷します」
と話しながら
も手は休めず次々と包んでいく。
「さあ、
どうぞ」。竹皮ごと三角にカットし
た羊羹を味わうと、竹皮の爽やかな香りが
すっと広がり、
もちもちした食感がとてもお
いしい。餡のつぶ粒感が絶妙で、
やさしい甘
とりこ
さにすっかり虜になってしまった。
N
Note
無添加を貫き、手間をかけ餡からていねいに手作り
元祖竹皮羊羹本舗 池田屋
岐阜県土岐市曽木町396-4 ☎0572-52-3011
営業時間/8:00∼19:00 定休日/月曜、第1火曜
東海環状道 土岐南多治見ICより約20分
「初代の古田スエから3代の私の祖母まで、女性が作っていたんです。
4代目の父が婿養子に入り、私で5代目」
と中島さん。
「父である先代
の後を継いだとき、今の時代にあった味にしようと試行錯誤を重ね、
この甘さに落ち着きました」。窯元や陶磁器問屋が出張の手みやげにすることも多いという。道の駅「志野・織
部」
やテラスゲート土岐「まちゆい」
などでも購入できる。2本入り650円∼と気軽に買える価格も嬉しい。
28
29
ひと土岐の
かぜ
土岐市曽木町
【風】
山里の風に憩う、
休日のご褒美タイム 土岐市曽木町
そ ぎ
そう や
瑞浪市との市境に位置する曽木町。民家もまばらな山里に佇む「創舎
こ こ
呱々」
は、毎週土曜日と日曜日のみオープンするギャラリー&カフェだ。
ひろのぶ
あか り
店の主は陶芸作家の石川裕信さん、佐藤朱理さん夫妻。北海道出身の
2人は陶芸の道を志し、
この地に移り住んだ。
「数ある陶芸の町の中でも
若い作家が多く、新たなスタイルに挑戦している
人が多いというイメージがありました」
と話す
朱理さん。陶芸を学びながら
「創舎呱々」でアル
バイトをしていた朱理さんは、元オーナーから、
4年前に窯のある工房と店を受け継いだ。
ギャラリースペースでは、夫妻の作品が並ぶ常設展と企画展を隔月ごとに
開催。企画展では、朱理さんが女性ならではの視点でセレクトした、
さまざ
まなジャンルの作家ものが並ぶ。
「作家の方々の素敵な感性に触れ、
ここ
の空気とお茶や食事をのんびり楽しんでほしい」。
やま ぼう し
山法師が枝を伸ばし、木漏れ日が降り注ぐテラス席に
腰を下ろすと、鳥のさえずりや虫の音、小川のせせらぎ
が心地よく耳に届く。夫妻や地元の若手作家が作る
器に盛られた、朱理さん手作りの素朴なスイーツと優
しい甘さのチャイに、肩の力が抜けて行くのを感じた。
N
Note
週末のみ開く作家夫妻のギャラリー&カフェ
創舎呱々
岐阜県土岐市曽木町1961-4 ☎0572-52-2227
営業時間/11:00∼17:00、
ランチはなくなり次第終了
定休日/月∼金曜(月曜が祝日の場合は営業)、1月∼3月上旬は冬期休業
http://soya-coco.petit.cc/
中央道 土岐ICより約30分/東海環状道 土岐南多治見ICより約30分
地元産の野菜をふんだんに使ったランチや、手作りスイーツが味わえる。企画
展がない日も、土の温もりが伝わる裕信さんの器と、朱理さんの磁器でつくら
れた女性らしい繊細なジュエリーが常設展示されている。
30
31
ひと土岐の
たくみ
土岐市駄知町
【巧】
使い手と作り手を一つにする、巧みの器づくり 土岐市駄知町
秀峰は、山神温泉湯乃元館(P14)をはじめ、東京吉兆など和食のプロが
だ ち
使う、美濃焼の器をつくる窯元だ。駄知町の小高い丘にある工房には、
トラディショナルな意匠で上品な印象の鉢、向付、皿などがずらりと
並ぶ。
「料理人からの高度な要望を聞きながら作る場合が多く、試作に
は手間をかけます。満足がいく形、色を出すまではかなりの時間がかか
ります」
と語るのは2代目の中垣連次さ
ん。工房では、8人いるという職人が
黙々と器づくりに取り組むなか、絵付け
をする巧みな筆さばきに目が釘付けに
なった。20年目という八木真司さんによれば「昔の絵柄にインスパイア
されながらも、
それを自分なりに噛み砕いて雰囲気を出すようにしてい
ます。突き詰めていけば終わりがなく、何度やって
も満足することはありません」。併設するギャラリー
では、端麗な織部や志野の器が並ぶ一方、帽子掛
けや引き戸の取手など、従来のやきものにはない
大胆なアレンジに驚く。中垣さんは
「使う人と一体
でないと、
ものづくりはうまくいかない。
〝土〟
でいろ
いろな挑戦をしていきたいですね」
と微笑んだ。
N
Note
暮らしに取り入れたい、
モダン美濃焼
秀峰
岐阜県土岐市駄知町1781-2 ☎0572-59-8489
営業時間/9:00∼17:00 定休日/日曜
http://shuhoe.com/ ※ギャラリー、工房見学は事前予約が必要
中央道 土岐ICより約15分/東海環状道 土岐南多治見ICより約15分
「スーパーのお惣菜やレトルトで作ったパスタだって、
ちょっといい器に盛るだ
けで印象が変わります。
お気に入りの器で食事を楽しくしてもらえれば」
と中垣
さん。
ギャラリーでは、今の暮らしにマッチした美濃焼の使い方を様々に提案。
敷居が高そうと思っていた和の器も意外に使いやすいことを発見できる。
32
ひと土岐の
もえ
(明治37)年創業のこの製陶所は元来、型による大量生産の器を手掛け
土岐市泉町
る工場でありながら、釉薬掛けや絵付けなど要となる工程を手作業で行
ない、品質の高い美濃焼を送り出し続けている。新ブランド
「KANEAKI
SAKAI POTTERY」
の陶磁器は、製陶所の伝統技術を生かしつつ、
デザ
【萌】
インから成形、仕上げに至るまで、
すべてを若き2人の女性職人が手掛
け、手仕事で生み出すもの。かねてから
「若い人材を育
いざな
女性の感性で誘う、美濃焼との新しい関係 土岐市泉町
てたい」
と考えていた社長の酒井教雄さんは、河野さん
一見すると、型を使って成形されているのかと見紛うほど、均整のとれた
との出会いについて
「こういう才能を生かさなくては!と
美しいカップや皿。
しかし実際手に取ると、手づくりならではの細やかな
衝撃を受けた」
と話す。翌年には岸さんが入社。2人が
工夫や仕事が施され、
その端正なフォルムと温もりに引き込まれた。
器に込める思いは
「私たち自身が、使いたいと思える美
「KANEAKI SAKAI
P O T T E R Y 」は金 秋
酒 井 製 陶 所から誕 生
した、河野季菜子さん
と岸 弘子さんによる美
濃 焼ブランド。1 9 0 4
河野季菜子さん
34
濃焼を作ること。
日常の中で心地よく使える器を作りたい」。
みずみずしい
女性の感性が光る器たちが、美濃焼をぐっと身近に感じさせてくれた。
N
Note
伝統技術と若き才能が融合する製陶所。テラスゲート土岐「まちゆい」
で9月下旬まで販売も
金秋酒井製陶所
岐阜県土岐市泉町久尻1173-1 ☎0572-55-2736 http://kaneaki.com ※工場見学は現在行っていません。
「よどみなく、
ひっかかりのない形が好き。
きれいでありながら、手づくりでないとできないものを」
と語る河野さんの器
は、
しっとりとやわらかい手ざわりで、洗練されたデザインが印象的。
「カッコイイだけではなく、違和感なく人の暮らしに
入っていける器を作りたい」
と話す岸さんは、馴染みのある形の器でありながら、色使いや柄で愛らしさを感じさせる。
中央道 土岐ICより約10分/東海環状道 土岐南多治見ICより約10分、
五斗蒔スマートICより約5分
35
岸 弘子さん
ひと土岐の
すかし
土岐市妻木町
【透】
光を透過する薄さ、美しさを備えた磁器 土岐市妻木町
つま ぎ
まる なお
里山の風情が漂う妻木町にある丸直製陶所。奥田
さん一家が営む窯元で、光を透過するほど薄い磁
器で知られる。
「うちはこの薄づくりの器を明治時
代からヨーロッパの輸出用につくっています」
と語
る7代目の将髙さん。
その父・直樹さんに成形作業
を見せてもらう。型に入れた土を、
コテの角度など
を微調整しながら1ミリ前後の薄さに引き延ばして
いく。器を彩る模様は銅版転写の技法によるもので、母・浩子さんが担
当する。模様が印刷された和紙を、水を含ませた刷毛でなぞりながら器
に貼り付け、模様を転写させる。窯入れ後、22∼23時間かかる焼成は
父子が夜を徹しての作業だ。
「1時間おきに窯の中を覗き、父の長年の
経験に裏打ちされた感覚で
〝炎の雰囲気〟
を見極め、火力や焼成時間を
調整します」。薄づくりのカップでアイスコーヒーをいただくと、直接唇に
触れた繊細な薄さが心
地よく、愛おしい。職人の
手技が息づく美しい器と
出会えた、その喜びを感
じながら家路についた。
N
Note
事前の連絡で工場見学にも対応
丸直製陶所
岐阜県土岐市妻木町116 ☎0572-57-6433
営業時間/9:00∼16:00 定休日/不定休
東海環状道 土岐南多治見ICより約15分
技術力が高く評価され、国内でもセレクトショップ
などからオリジナル製品のオーダーが増えている。
「難しい要求にも、代々受け継いできた技で応えて
いきたい。女性視点の器の提案など、今後も新しい
ものづくりに挑戦し続けたいですね」
( 将髙さん)。
36
37
美 濃 焼のふるさと、土 岐 市に集う
「ミノヤキ」
を担う若き作り手たち
土岐市に受け継がれるやきものの伝統や技、感性を育む土壌を求めて、志高き多くの作
り手が集っている。中でも、作り手としては元より、美濃焼の魅力を新たな視点で広く発
信しようと立ちあがった若き担い手が集まり
〝ミノヤキセンパイ〟
として活動を始めている。
鋳 込みによる二 重
黄瀬戸や三島手の模様など、古典的な要
中学 時 代 、陶 芸に造
父が陶芸家という田中 源さんは、作陶に関
構造のカップや、SF
素を取り入れつつ、
どんなライフスタイルに
詣が深かった担任教
わる道具も原料も情報もあふれ、
この上なく
映 画 からインスピ
もすっとなじむ愛らしい雰囲気を感じる岡
師との出 会いをきっ
恵まれた環境で育った。だが、正面から陶
レーションを受けた
村宜治さんの器たち。やきもの好きだった
かけに、土を触る喜び
芸と向き合うことを避けていた時代も。
「敢
という個性的なフォ
姉と、料理好きな母の影響から、暮らしに
に開眼した竹下 努さ
えて陶芸から離れるこ
ルムの飯碗など、一
潤いを与える器づか
ん。
「 僕の器はでき上
とで見えてきた、自分
度目にすると、深く
いに親しんで育った
がりの時点で6割ぐら
にしか表現できないや
記 憶に刻まれる印
岡 村さん 。原 点 でも
い。実際に使い、料理
きものを追求している」
象的なアサ佳さんの作品。独特のフィルター
ある家庭で使う器と、
を盛ってもらうことでようやく完成するんで
という田中さん。磁器
を通してやきものの未知なる可能性を表現
伝 統 工 芸としての陶
す」。温かみがありながら、凛とした佇まいで
の硬質さと陶器の軟ら
する作品はインテリアとして、食器として、
さり
芸の世界を表現する
料理を引き立てる器たちからは、中学生の
かさなど、対比の世界
気なくそこに置くだけで、周りの空気を変え
大作の制作を並行し
頃、竹下さんが初めて感じた土の温もりが、
を表 現する作 品に無
る強烈な存在感をまとっている。
て進めている。
じんわりと伝わってくるようだ。
限の広がりを感じる。
よしはる
か
つとむ
はじめ
アサ佳
岡村 宜治
竹下 努
田中 源
埼 玉 県 朝 霞 市 出 身 。大 学 時 代 、サラリーマンになるこ
とに違 和 感を抱き、陶 芸 教 室に通い始める。建 設 会 社
で経 理 担 当として3 年 間 勤めた後 、2 5 歳の時 、多 治 見
市 陶 磁 器 意 匠 研 究 所 へ 。2 0 1 3 年 独 立 。自宅 兼 工 房
で作 陶 中 。
神奈川県相模原市出身。20代前半の頃に見た陶芸家
1 0 0 人の展 覧 会に衝 撃を受け、陶 芸 家を志す。岐 阜 県
立 多 治 見 工 業 高 等 学 校の専 攻 科を卒 業 後 、多 治 見 市
市之倉の工房で陶芸の基礎を身に付け土岐市へ移住。
東海伝統工芸展他、入選多数。
長野県長野市出身。高校卒業時、農業大学へ進むか陶芸
の学校を進むか悩んだ末、岐阜県立多治見工業高等学校
の専攻科へ。卒業後、多治見市市之倉の工房で7年程務
めた後、2年前に独立。各地のクラフト展や展示会で、精力
的に出展している。
岐阜県土岐市出身。窯業を営む家に生まれ、
やきものに囲
まれて育つ。高校卒業後、岐阜県立多治見工業高等学校
の専攻科へ。陶芸家の小栗正男氏の下で約4年間学び、
家業の手伝いを経て独立。
「テラスゲート土岐」
で陶芸教室
の講師を務めながら作陶活動に励む。
SHOPPI NG
「ミノヤキセンパイ」の4人の器とそのストーリー、また本誌でご紹介 した窯元の器は、
「 N Drive SHOP」で出会えます。
http://www.ndrive-shop.jp/
N Drive SHOPは地域の作り手を応援しています。
ひと土岐 逸品プレゼント
土 岐 の 逸 品 を セ ット に し て 抽 選 で 合 計 6 0 名 に!
A.
【逸品セットの内容は届いてからのお楽しみ!】
地酒と酒器セット
〈5,000円相当〉
B.
まちゆいスイーツセット 〈外れた人にWチャンス!〉
〈2,000円相当〉
20 名
10 名
N
東海環状道 土岐南多治見ICすぐ!
テラスゲート土岐 まちゆい 土岐たび案内所
Note 岐阜県土岐市土岐ヶ丘4-5-3 ☎0572-55-1123 定休日/火曜
営業時間/平日:10:00∼19:00 土日祝:10:00∼20:00
カフェのように、
くつろぎながら土岐市の観光情報を集められる。
土岐市のお土産も充実しており、市内の菓子店が作るスイーツや
和菓子を少量ずつお試しで買えるのが嬉しい。
N Drive賞
下石窯もと 味ごはんの素+
N Driveオリジナル手ぬぐい
eオリジナル手ぬ
ル手ぬ
手ぬぐ
ぐい
30 名
応募締め切り:2015年12月30日(水)
郵送の場合は2015年12月31日(木)当日消印有効
[パソコンまたはスマートフォン・携帯で応募]
http://www.n-drive.jp/
お問い合せ:[email protected](N
Drive編集室)
[郵送でのご応募]郵便はがきに住所・氏名・年齢・職業・電話番号、希望賞品及び
本誌へのご意見・ご感想をお書きいただき、下記までご応募ください。
〒461-0004 名古屋市東区葵1-7-1 タジマビル3階 NAVA内「N Drive 土岐」
係
◎プレゼント画像はすべてイメージです。
◎ご記入いただいた個人情報は、賞品発送、N Drive 及び N Drive SHOP からのメール及びDMによるお知らせ及
び個人を特定しない統計資料作成の目的で使用させていただきます。
◎はがきでご応募いただく場合は、希望する賞品名などもご記入ください。なお、記載に不備がある場合は対象から除
くこともありますのでもれなく記入してください。希望賞品名の記載がない場合は編集室が選択したものとなります。
◎プレゼント当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
プレゼントの色や柄、味などは選べません。諸事情によ
りプレゼント賞品が変わる場合がございます。また、各賞品の重複当選はございません。当選についてのお問い合せ
には一切お答えいたしかねます。 ※本誌掲載のデータは2015年8月31日現在のものです。営業時間、休み、料金そのほか展示内容などが変更される場合もありますの
でご利用の際は各施設にご確認ください。表示金額は全て税込み価格です。諸事情により価格・商品パッケージ・盛り付け・内容量
等が変わる場合や天候や混雑等により売り切れが生じたり、販売中止となる場合があります。
土岐市
総合活動
センター
織部の里公園
04
源
08
脈
美濃陶磁歴史館
21
瑞浪市民公園
84
五斗蒔PA
スマートIC
34
萌
土岐川
神明口駅
土岐川
土岐市役所
19
土岐口駅
19
脈 穴弘法/高山城跡
392
08
土岐市
10
史
肥田川
道の駅
どんぶり会館
※駅は現在残っていません
テラスゲート土岐
土岐南多治見IC
妻木川
14
麺
土岐市立総合病院
郁兵衛
下石駅
66
ネイチャーセンター
12
贅
東駄知駅
千古乃岩酒造
山神温泉湯乃元館
駄知駅
自動車道
東海環状
創舎呱々
66
19
土岐市
総合公園
輝
16
妻木公民館
カネコ小兵製陶所
19
36
透
06
巡
丸直製陶所
27
活 トラットリア 遇
06
巡 八幡神社
06
巡
30
風
池田屋
山神駅
多治見市
小里川
32
巧
陶史の森
東濃鉄道 旧駄知線
382
瑞浪市
秀峰
28
餡
熱
18
だち窯やネット
69
曽木公園
崇禅寺
妻木城址
妻木城士屋敷跡
新陽 CC
かさはら潮見の森
名岐国際 GC
363
19
豊田市
瀬戸市
363
ひと土岐の旅
Web MAP
26
19
みくに茶屋
363
363
http://www.n-drive.jp/
CONTENTS
Prologue
みなもと【源 】
めぐり 【巡 】
みゃく 【脈 】
ふ み 【史 】
ていねいを探す旅 7
02
04 織部の里公園/美濃陶磁歴史館
06
妻木城士屋敷跡/八幡神社/崇禅寺
08
穴弘法/高山城跡
10
陶史の森
ひと土 岐の旅
ぜい 【 贅】
めん 【 麺】
か がやき【 輝】
ね つ 【 熱】
泉麻人のひと土岐 ぶらり
い かし【活 】
あん 【餡 】
か ぜ 【風 】
27 トラットリア 遇
28
池田屋
30
創舎呱々
12
山神温泉湯乃元館
14
手打うどん 郁兵衛
16
カネコ小兵製陶所
18
だち窯やネット
20∼26
たくみ 【 巧】
もえ 【 萌】
すかし 【 透】
32
秀峰
34
金秋酒井製陶所
36
丸直製陶所
Epilogue
38
名古屋市中区錦 2‐18‐19 三井住友銀行名古屋ビル 〒460‐0003 TEL:052‐222‐1620 http://www.c-nexco.co.jp
土岐プレミアム
アウトレット
瑞浪市役所
69
本線
JR中央
みずなみ
421
ときし
土岐JCT
19
中央自動車道
21
金秋酒井製陶所
19
高山宿
瑞浪IC
土岐IC
04
源
N Drive 2015年9月発行 /
道の駅
織部ヒルズ 志野・織部
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