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ERM態勢の整備~リスクといかに向き合うか

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ERM態勢の整備~リスクといかに向き合うか
ERM態勢の整備~リスクといかに向き合うか~
MS&ADインシュランスグループ ホールディングス株式会社
リスク管理部長
後藤
茂之
【司会】では、時間になりましたので、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの後藤さん
より、プレゼンテーションをしていただきます。
MS&ADグループにおけるERM態勢の整備状況についてご説明いただくとともに、リスクといかに向
き合うかということに関する考察もご紹介いただけるということで、大変興味深いプレゼンテーションだと
思います。それでは、後藤さん、よろしくお願いいたします。
【後藤】ご紹介にあずかりました、後藤です。
このような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。少し横道から話をスタートさせて
いただきます。
先月、IAISという保険監督局のメンバーが集まる会合がありまして、オブザーバーで出席させていた
だきました。この会合が面白いのは、国際的にリスク管理に関連する非常にホットな話題が議題に取り上げ
られます。従って、自然災害や高齢化社会、このような問題も当然取り上げられるわけです。しかし、今回
の最大の関心事は、銀行のバーゼルと同じような規制資本が保険の中にも導入されるということで、話題が
例年以上にホットな会合でした。
この動きは、ご承知のように、リーマンショックから来ているわけです。G20 の中で、金融システムの安
定化に保険のCDOが関与していたという関係もあって、今、保険と金融があまり区別なく、共通の課題と
して論じられています。もう一つ、ERMが非常に重大なものと位置づけられています。
リスク管理やERMに何らかの形で関与している人間にとっては、ERMが国内だけではなくて、むしろ
国際的レベルで注目され、しかも、その関心領域が金融システムの関連といった広がりを持っている。まさ
にERMが新たな局面に突入しているという印象を強くしたわけです。
けれども、IAISでは、相当長い間議論をして、まだ解決していないというところに、この問題の奥深
さがあります。私自身は、たぶん保険会社の抱えているリスクが複雑で、しかも簡単には捉えきれない。こ
のようなリスクの本質のところに、その原因があるように思っております。
先程、冒頭で述べさせていただいたことと、
「リスクといかに向き合うか」というサブタイトルをつけさせ
ていただいたことには関係があります。
銀行のリスク管理をやっていらっしゃる方々とも意見交換をするのですけれども、非常に興味があること
は、銀行の方々は「そりゃ、リスクといえば、保険会社のリスクの方がずっと複雑でしょう。それは銀行の
比じゃありませんよね」という話をされます。その辺も、われわれ保険会社が直面しているリスクの特徴を
端的に表していると思います。本日は、前半、ERM態勢を振り返ってみたいと思います。各社さんもいろ
いろな苦労をされて構築してきていると思いますが、当社グループはどのような形になっているのだろうか
ということを、私なりにレビューしたいと思います。そのうえで、そもそもリスクとどのように向き合って
いくのかについて考えてみたいと思います。これは簡単なようで、極めて難しい。永遠の課題ではあります
けれども、それに一歩でも近付いてみたい。皆さんのご意見もぜひ伺いたいと、このように思っております。
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目次として、先ほど申しましたように、パート1とパート2。ここでのキーワードは、やはり「不確実性」
です。経済学者はリスクと不確実性を区別して論じていますけれども、いわゆるメジャーリング(measuring)
できない、統計確率論で把握できない、これを真の不確実性と呼ぶならば、この不確実性に対してどのよう
に対応していくかを、一つのキーワードとして捉えていきたいと思っています。
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このスライド1は、皆さんの会社の中でもいろいろな整理をされていると思います。ERM経営とは何だ
と、いろいろな議論もされていると思います。定義のしかたはいろいろあるでしょうが、やはりリスクとリ
ターン、それと資本、これらをトータルとして管理していく。しかも、経営の実践として組み込んでいくと
いうところが、一番大きなポイントだろうと理解しています。
スライド2は、非常に簡略化していますけれども、当社グループの体系です。
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例えば年初にリスク・レジスターという枠組みを使いまして、当社のポートフォリオが非常に大きなイン
パクトを与えられる、そのようなリスク事象を洗い出します。そのうえで、重要リスクと認識されたものは、
経営が自らモニタリングしていく。それ以外のものは部門が責任を持って管理していく。そして、それらへ
の取り組み計画や取り組み状況は取締役会に報告されていくといったように、まずERMのPDCAのスタ
ート点として、リスクを特定・評価するというところからスタートします。
その他、定量的な統合リスク管理の枠組みと、もう一方は、なかなかメジャーリングできない、また、メ
ジャーリングするとはいっても統計・確率論的にはなかなか難しいといったものについては、シナリオベー
スでモニタリングしていく。その代表的なものが、ストレステストだと思います。
また、エマージングリスクと書いていますけれども、ユーロ危機というものがございました。以前はユー
ロが崩壊するという危機は、一応そのような潜在的な可能性はあっても、別にリスク管理の土俵に乗せてい
くというような状況ではなかった。ただ、それがポッシブル(Possible)という次元では考えなくてはなら
なくなりました。もちろんプロバブル(Probable)にはなっていませんので、その意味においては、平時の
リスク管理の中に直接入ってきているとは思いません。けれども、ポッシブルの状況になった場合には、そ
れはやはりわれわれのモニタリングの枠組みには入れていく必要があります。そのようなリスク事象という
ものを、やはり洗い出していく仕組みがないといけないという考え方です。いろいろとわれわれも苦労しな
がら、エマージングリスク管理ということに注目しなければならないと思っております。
ここで言いたいことは、このようないろいろな手法が体系的に組み合わされたものが、ERMの全体だと
いうことです。
ここは、もう皆さんがやられていることばかりだと思いますけれども、一応定量的なアプローチの中では、
それぞれの会社に対し、われわれグループではリスクリミットの設定と、その配賦とリターンを考えていく。
そして、これら全体をモニタリングするということをやっています。
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もう一つ大事だと思っていますことは、平時のリスク管理と有事のリスク管理は接ぎ目がないといいます
か、その有事と平時をシームレスに流していく、この枠組みとして、われわれの中ではアラームポイントと
いうものを設定しておりまして、これはリーマンショック以降、われわれのグループの中に入ってきたわけ
ですけれども、当然、そのアラームポイントの前段階として、各社に配賦したトータルのリスクリミットが
あり、それで、アラームポイントの前に平時から早期警戒の態勢に入り、有事対応をしていくと、このよう
な流れをシームレスに流れていくという態勢です。
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次が非常に大事で、一番難しいと思うのですけれども、結局、われわれは将来を正確に予測することはで
きません。当然ながら、そのようなものでありますから、われわれを取り巻くステークホルダー、この利害
もやはり一致はしません。そのような中で、われわれとしては、一定のバランスを取りながら経営をしてい
く、そのような要素がやはりERM経営の根幹にあるということだと理解しております。
ちょっと駆け足でわれわれグループの、特に健全性管理の側面を中心に、その体系をご紹介したわけです
けれども、今日はそこが主目的ではなくて、冒頭申しましたように、不確実性、これに対してわれわれはど
のように向き合っていけばいいのかということを取り上げます。
結構私が気に入っている本の中から、抜粋を一つしました。ここは、科学者とリスクマネジャーのスタン
スの違い。それと、意思決定のしかたの違い。これを結構端的に書いています。このダン・ボルデという方
は、バンカーズ・トラストでリスク管理をやっていらっしゃった人だと聞いています。
これを読んでいただければそのとおりなのですけれども、やはり時間軸と行動のしかたが大きく違うとい
うことです。科学者は分からない状況を観測・観察しながら、一歩でも真理に向かって進んでいく。そこに
科学者の時間軸とリスクマネジャーの時間軸は、当然違いがあるということです。われわれは、分からない
ことがあっても、それは直面している問題ですから、それに対して何らかの対応をしないといけない。ここ
で対応と言っていますのは、何もしないことも含めて対応なわけです。もちろん時間がたてば、新たな情報
もどんどん出てきます。ただ、時間がたてば、状況はさらに悪くなっていくということもあります。従って、
そのような状況の中で、われわれはどのように対処していくのかというところが、われわれ実務家、特にリ
スクを扱っている者にとって、一番悩むところなのではないでしょうか。
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今日は、その辺のところをもう少し、ふだんあまりじっくりと考えることができないので考えてみました。
それと、皆さんのご意見もできれば聞きたいということで、進めていきたいと思います。
さて、最近はビッグデータ時代だといわれています。もちろんそのビッグデータを使いながら、われわれ
は定量的アプローチをかなり進化させてきた。いわゆる機械学習ですね。そのようなことでERMを進めて
きたわけです。
現実に、チェスの世界チャンピオンが、IBMでしたか、ディープ・ブルーというものに敗北しました。
それで、日本でも、将棋の団体戦でコンピューターが勝ったというようなことになっています。そのような
意味におきましては、相当、機械学習による、それからコンピューターの精度、それからデータの精度です
ね、さらにその分析技術が進んできて今に至っているわけです。そのような意味におきましては、着実に定
量的アプローチを進化してきたと言えるのではないかと思います。
ただし、VaRによる管理というものは、一般にバックワード・ルッキングといわれますね。結局、過去
のデータに基づいて、そこから法則性を見いだして、それを将来に適用していこうと。その本質は変わらな
いわけです。そうしますと、もし過去の状態がそのまま将来に反映される、逆にいいますと、過去のそのま
まの状態が将来起こるという前提さえ間違っていなければ、これでもってかなりの部分は予測できるという
ことになるわけです。ところが、そもそもその前提を固定することができないところから、今、定性的アプ
ローチによる補完が、ERMの中で大きなイシューになっているということだと思います。
皆さんの会社でも、ストレステストや、先ほど申しましたエマージングリスクの管理など、いろいろなこ
とをやられているということは、正に定量的アプローチを補完しているということではないかと思います。
ただし、ここで書きましたように、不確実性というものは、そのようなデータとの関係でいうとどうなのか、
情報との関係でいうとどうなのかといいますと、そこに一定の不足、不十分が生ずるので、やはり不確実性
というものは払拭できないと、このような現実を直視する必要があるのではないでしょうか。
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これからパート2に入っていきますけれども、リスクといかに向き合うか。よく見慣れたCOSOのER
Mフレームワークというものがありますが、よく読んでみますと、このERM、COSOのフレームワーク
では三つの限界を並べております。
特に私が注目しているものは、意思決定における人の過ち、ヒューマン・エラーです。ERMの態勢を整
えても、これはコントロールできないということを、COSOのERMフレームワークは明言しております。
けれども、われわれ実務家は、
「あ、そうですか。駄目なのですか。これは限界でしょうか」と言ってしまっ
てはおしまいのところがありますし、それで許される世界ではないということです。
従って、今日のテーマの非常に大きなところは、先ほど不確実性と言いましたけれども、それと、われわ
れの意思決定です。そのような不確実性に直面したときに、われわれはどのように合理的に意思決定をする
のかということを、もう一度考えてみましょうというところが、本日の私の問題意識です。
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そこで、もう一度、東日本大震災の教訓を一緒に考えてみましょう。東日本大震災は三つの特徴を持って
いると整理してみました。まず一つは、複合災害であったという事実です。特に2番目の特徴に注目してい
ます。政府のいろいろな本部の予想を大きく上回る地震と津波が、現実に発生したということですね。当然
ながら、推進本部の予想や分析も、それなりに合理的に組み立てたうえでの予想だったはずです。ところが、
なぜそれが大きく外れたのか。そこに、先ほど申しました、われわれの意思決定の合理性の問題や、リスク
にいかに向き合うかというスタンスの問題に関する教訓が隠れているのではないかと思うわけです。
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よく、
「リスクは繰り返す」
、一方、
「リスクは変化する」と、このようにいわれます。そこでちょっと注意
していただきたいことは、東日本大震災はどうだったのか。いわゆる推進本部の予想からすると、これは、
リスクは変化したわけですね。予想のリスクよりは違っていたわけですから。けれども、本当にそうなのだ
ろうか。もう少し時間軸を長く取ってみた場合に、それは本当に正しかったのでしょうか。最近は堆積物等
の調査、古文書も含めまして、いろいろな情報が見直され、再分析されたりしています。
それで、最近見る新聞で、以前発信されていた情報以上に、違った角度からの評価がされています。これ
は何かといいますと、
「結局、リスクは繰り返すのだね」という話ともつながっていく。そうしますと、われ
われがよく使う「リスクは繰り返す」
「リスクは変化する」という中に、一つの時間軸というものが、われわ
れの意思決定のフレームワークの中に大事な要素として存在している。それをわれわれは意外と、軽視とは
いいませんけれども、自然に、ある会合に出たときや意見交換をするときに、われわれなりの一つの時間軸
でもって、「リスクは変化する」とか「リスクは繰り返す」と言っているのではないでしょうか。
これは自然災害の話なのですけれども、次に、その類似の事例ということでちょっと金融危機を挙げてみ
ました。金融危機というものは、最近、いろいろな形で経験します。過去の金融危機を多数調べ上げた教授
がいらっしゃいまして、「調べ上げてみればみるほど、驚くほど似通っている。これはいつか来た道だ。」と
指摘されています。病名まで出ていまして、
「『今回は違う』シンドローム」と。結局、その事象が起こると、
類似しているけれども、
「いや、今回は以前とは違うのです。従って、同じような過ちをまた犯してしまいま
した」ということらしいのですけれども、われわれはそのような病気によくかかるということです。
さて、東日本大震災の時間軸・リスクの特性、それと、金融危機のそれらをトータルしてみると、次のよ
うなことが浮かび上がってくるのではないでしょうか。われわれの意思決定というものは、当然ながら一定
の枠の中でやっていますね。そうしないと、判断ができない。ところが、違った枠組みやアプローチもある
のです。例えば日常生活でいろいろな人と話していて、どうしてもあの人と意見が合わないといったときに、
ちょっと冷静になって考えてみると、意外と前提が違っていたり、目的が違っていたり、所属している部門
のミッションが違っていたり、いろいろなことがありますね。
そうすると、われわれはもう少し、自分自身のよって立つフレームワークやそれに関連している時間軸と
いうものを意識して、リスクと向かい合っていく必要があるのではないか、とも言えるのではないでしょう
か。
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ここでは、もう少しわれわれの頭の中、この構造といいますか、このことについて考えてみたいと思いま
す。いろいろな学説によると、どうも二つの意思決定のシステムが動いているといわれています。これを二
重過程モデルと呼んでいるわけですけれども、一つはシステム1の思考。これは分かりやすくいうと、直観。
われわれの経験則など、いろいろなものから直観で意思決定をする。もう一つは、一応ロジックを立てて、
深く考えて意思決定する。これをシステム2の思考と呼んでいます。
ある本で私は読んだのですけれども、例えばわれわれの脳の能力は、意外と事務処理能力がないようです
ね。例えば、目から入ってくるいろいろな情報、これは、当たっているかどうか知りませんが、10 の9乗ビ
ット/秒。1秒間に 10 の9乗のビットの情報量が目の中に入って、それが脳に伝えられているらしいのです。
ところが、脳の事務処理は 10 の2乗らしいです。ということは、残りの 10 の7乗分は無意識のうちに捨て
ているということですね。例えば、では、誰かを私が見るとします。そうすると、私の目は、もちろんその
対象の人の情報は入ってきているのですけれども、その前に自分の鼻の情報が入ってきているはずだと。け
れども、皆さん、どうでしょう、特段自分の鼻があるということを意識しない限り、意識して見ようとする
人の前に自分の鼻が目に入ってきませんね。けれど、われわれの目は、自分の鼻の情報も全部脳に伝えてい
るということですね。
そうすると、情報量がとても多いにもかかわらず、10 の2乗の情報しか処理できない脳、このような情報
処理能力が不足の状態でも、日常生活に問題ないように動かしているものが、先ほど申しましたシステム1
とシステム2の連携なのです。従って、直感で自分の鼻を意識しても意味がないと。これを無意識のうちに
捨てているのです。ということが、実はリスクを評価したり、特定したりするときに、自然に行われている
のではないのかと。といったような、自分の脳の情報処理、この特徴というものもわれわれは知っていない
と、正しくリスクを評価できないかもしれないという、ちょっと回りくどいですけれども、問題意識が必要
と思うのです。
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もう一度、中央防災会議に戻ります。東日本大震災が現実に起こりまして、その対策や見直し論議が進ん
だ結果、最終報告というものが出されたわけです。それで、実は非常に根本的な反省をしております。ちょ
っと読みますと、
「過去数百年間に経験してきた地震・津波を前提に、日本海溝の地震・津波を想定した従前
の想定手法には限界があった」ということをいっています。ここに、震源モデルはモデルとして一定の蓋然
性が成り立たなければ、それは反映しないといったような一つの枠組み(フレーム)、暗黙の前提が存在して
いた、ということを改めて認識するわけです。
その結果、報告書は最後にこのようにまとめています。
「確からしさが低くても、地震・津波被害が圧倒的
に大きかったと考えられる歴史地震については、十分考慮する必要がある」と。これは今まで地震に対して
われわれが向き合っていたスタンスを、根本的な部分で変えたということを意味します。変えるということ
は、自分の意思決定を変える。当然行動は変わってくる。つまり、津波の準備や防災の発想が変わってくる
ということになってきて、リスクと向き合う、その考え方を変えるということの意味が、非常に本源的なも
のではないかと思うわけです。
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そのように考えてみますと、皆さんから見て左の「規範的枠組み」と書いていますけれども、これは教科
書に出ているERMのPDCA、このような形で十分な情報・経験を生かして、それで、経済人としての合
理的な意思決定をする。リスクコストが最小限になるように意思決定すると。そのような経済学に裏づけさ
れた、われわれのリスクマネジメント論という枠組みが、前提として存在するということですね。
ところが、先ほど申しましたように、われわれの脳というのは現実の中で生きています。従って、すべて
の情報を経済学でいうように全部分類して、それで、効用関数を使って意思決定しているわけでは全くあり
ません。
そうすると、右の方に書いた現実の意思決定の枠組みというものが、にわかに現れてくる。けれども、そ
れをよく見てみると、情報の不足、経験の不足、それから科学的知識の不十分性が反映される結果、われわ
れは、いろいろなバイアスがかかった意思決定を現実には行っている。これが悪い・良いなどということで
はなくて、現実はそうだというところにまず立脚しないと、先ほどCOSOで言っていた、
「これは限界です」
ということを乗り越えることはできないということになるのではないでしょうか。
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このミュラー・ライアーの錯覚というものは、皆さんも何度かご覧になったと思います。結局、われわれ
の意思決定上のバイアスとは、分かりやすくいうと何でしょうかというときに、これが分かりやすいのでは
ないかと思って引っ張ってきたものですけれども。二つの線。これは、もうわれわれは同じ長さだというこ
とを知っています。知ったうえで、それでももう一度見ると、やはり右の方が長く見えてしまう。悲しいか
な、それは偽らざる事実です。
ということは、バイアスに対する対処や向き合い方というものは、知識で分かっていても、やはり自然な
感覚として違っているというように思ってしまう。いわゆる、無意識のうちにそのように判断しているとい
う自分自身がいるというところは、結構大事なのではないか。
そこで、ここに補助線を入れてみます。破線で補助線を入れました。そうすると、補助線がないときより、
あったときの方が、あ、これは、われわれは錯覚に惑わされているのだということに気づくことができるの
です。そうすると、われわれの組織の中でも、このような補助線のようなものを、いろいろなところに備え
ておく必要があるのではないか。これは簡単ではないが、そのような意識を持たないと、バイアスは乗り越
えられないと考えてみたらいかがでしょうか。
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今度は、モデルの限界とバイアスとの関係を、ちょっと一緒に整理したいと思うのですけれども、当然な
がらモデルというものは、非常に分かりやすいツールであるのは事実です。その助けを受けて、われわれの
意思決定が相当助けられているということも事実ですね。ただ、そもそもモデルというものは、一定の単純
化をしているという事実を忘れてはなりません。
バイアスに置き替えてみますと、単純化のバイアスや、モデルを組み立てる中に、過去からのパターンを
一定意識したうえでモデルを作っているなら、作ったときのプロセスとして、パターンを必要以上に探そう
として見つけ出してきたのではないのかという、そのような錯覚ないしバイアスがかかっている危険がある
ということですね。
けれども、では、そうかといって、モデルというものは全く意味がないのか。先ほどお話ししたバイアス
は、モデルの結果を過信すると問題がありますという意味で言っています。今度は、そもそもモデルとはそ
のような限界があるのだから、そのようなものは使わない方がいいよというのは、逆のバイアスに陥る恐れ
があります。もしモデルを使わなければ、客観的に物事を見ることが仮にできないとしますと、われわれの
非常に限られた経験則に基づいて意思決定をしてしまう。これは自分が経験したというアンカーでもって物
事を判断しようとする。そのアンカーから自分の位置の範囲を超えた部分については、ほとんど思考停止に
なってしまうと。今までずっと成功してきた経験を持っていればどうでしょう。今後も成功するだろうとい
う錯覚によって、そこで思考は停止してしまう。このようなことが起こってくるということになるのではな
いか。
そうしますと、バランスのよい意思決定というものはどのような意味なのだろうかということを、もう一
度考えてみる必要がある。これは、自分の頭の中で行われている活動を、冷静に客観的に見ないといけない
ということを意味するわけでして、これを「メタ認知」と言います。要するに、自分の頭の中のプロセスを
自分の第三者が見ているというような訓練も、われわれリスク管理に携わっている者はしなければならない
時代になった。自分の頭の中のプロセスを、一定のコントロールをしないと、なかなか合理的な意思決定が
できない時代になってしまったのではないのか。これは非常に深遠な課題です。
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ここで、改めまして、先ほど少し触れました、時間軸と不確実性というものの関係を一緒に整理してみた
いと思います。
最近、リスク管理の世界で、
「フォワード・ルッキング」という言葉が非常に多く使われるようになりまし
た。先ほども言いましたように、将来のことは誰にも正確に予測できません。これは事実です。しかし、よ
り客観的に、より合理的に予測したいと、この願望は古来ずっと強いものがあるわけです。そのために相当
な汗と時間を、われわれはかけてきた。
多くの皆さんも読んだことがあると思いますが、ピーター・バーンスタインの『リスク』という本があり
ます。リスクに対してどのようなアプローチを人類はしてきたか、という内容です。二つのアプローチの歴
史があると述べています。一つは、われわれの今の用語でいいますと、定量的アプローチ。過去のデータに
基づくVaRの管理、これの方が客観的で合理的なのではないかと、このようなアプローチをする一連の流
れ。それともう一つは、定性的アプローチ。定量的アプローチでは、予測できない大事なものがある。従っ
て、われわれの洞察力などを重視する流れ。この二つの流れが、常に交わりながら今に至っているというの
が、リスク管理の世界だということです。
時間軸、フォワード・ルッキング、将来は誰も予測できないというものに対して、過去の尺度でアプロー
チする。けれども、それだけでは多分補足しきれない。従って、洞察力を含めた定性的アプローチで補完し
ていくというアプローチが大切です。今、われわれの会社もそうですし、皆さんの会社もそうだと思います
けれども、そのような二つの仕組みを会社の中で整備されていると思います。そうすると、その二つのツー
ルをどのようにバランスよく、われわれの大事な意思決定に反映させていくのかというところが、古くて新
しい問題だというように捉えたいと思います。
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スライドは最後になりますけれども、少し雑談も含めてまとめてみたいと思います。
例えば、先ほどエマージングリスクということのお話もしました。会社の活動をしていますと、自分たち
の周りの環境は変化していきますね。けれども、その変化というものは、自分がその渦中にいると、茹でガ
エル的状況にもなります。日々少しずつ変化しているものについては感じないということだと思うのです。
先ほど私が、目から入ってくる情報は 10 の9乗だと言いました。けれども、脳で処理できるものは 10 の
2乗だと言いました。残りの 10 の7乗分は無意識で捨てている。ある研究によりますと、ある時点からある
時点への変化幅が大きい場合には、脳は反応するというのです。けれども、それが水面下でちょっとずつ変
化している場合は、自分たちはあまり感じない。従って、自分の目の前にあるといいますか、一番身近にあ
る鼻というものは動きませんので、動かないものに対してわれわれはあまり反応しない。従って、その情報
は無視するというようなことも、現実には起こっている。
けれども、ここで大事なことは、先ほどメタ認知と言いましたが、われわれの意思決定のようなものは、
そのような特徴を持っているというように自分自身を客観視するということが、リスクマネジャーにとって
は非常に大事なことなのではないかと思うのです。
例えば、最近私が読んだ本で非常に面白いと思ったものは、時間軸との関係というところなのですけれど
も、表題が『137 億年の物語』という本があります。これは、私自身もタイの洪水が起こって、その直後に
実は買ったのですけれども、何か、本屋に行きますと目にとまりまして、それで、タイの洪水とは、なぜ起
こったのだろう。相当、それなりにわれわれも注意していたはずだと。けれども、本当に起こるまで、あの
ような状態になるとは思わなかったというように自分自身は思いました。それで、先ほど、長い時間軸を取
ると実はリスクを繰り返していたというところも、ずっと引っかかっていました。
そのようなときに本屋へ行くと、この 137 億年と。この 137 億年という数字はどこから来ていると思いま
すか。これはビッグバンから数えているのですね。この発想の起点にものすごく興味を引かれまして、ザッ
とめくっていきますと、もう一つ面白いことに気づきました。ページの隅のところに、ビッグバンから今ま
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での時間軸を 24 時間の時計に合わせて、その物語が進行していくときに、「今は何時だ」ということをここ
に書いているのです。
もう一つ、非常に面白いと思ったことは、これはジャーナリストが書いた本なのですけれども、自分の子
供に地球の歴史をどのように教えたらいいのだということで、いわゆる歴史などの文系の情報と、いわゆる
理系の科学的な情報を融合した、一つのストーリーを書けないかということで、この本を書いたようなので
す。
それで、われわれが二つの足で歩行するようになったのが約 400 万年前といわれているのですけれども、
それを 24 時間時計でいいますと、23 時 58 分を超えているのです。従って、先ほどちょっと申しました、
「どのような時間軸で、われわれはリスクに相対するのか」という問題を、このような超長期の枠組みで一
回考えてみるということは、結構、目からうろこだなと思いました。
例えば自然災害で見たときに、例えば海溝型の地震というものは、再現期間 200 年などと言われています
ね。ところが、活断層に至ると、数千年というものが平均的な再現期間ということになるそうです。そうす
ると、われわれはもちろん1年VaRで見ること自体、それはそれで一つの意味を持つのですけれども、た
だ、リスクそのものの特性は、それでは捉えられていないということになるわけです。
けれども、そうはいっても、そのようなことばかりに神経質になっていては、先ほどの科学者とリスクマ
ネジャーのスタンスの違いのようなところを考えますと、そうも言っていられない。そうすると、経営の時
間軸という話と、われわれが相対しているリスクそのものの固有に持っている時間軸を、僕らの現実の世界
の中で、どのようにバランスを取っていくのかということが、結構大事なのではないかと。
私も答えは全くないのですけれども、一つ、これも最近何とはなしに目にした本の中にあったのですけれ
ども、例えば放射性廃棄物の処理を考えてみる。そうすると、先ほど私が申しました、活断層の再現期間ど
ころの問題ではないわけです。それをどのようにわれわれは処理したらいいのか。いわゆる、われわれから
見ると、ある意味無限の時間軸の中で、今われわれは何をすべきか、ということなのですけれども。
それで、ここで面白かったことは、今、生きているわれわれの世代の中では解決できない問題だというよ
うに、まず定義するわけです。そのうえで、われわれの後から来る世代に変な足かせはさせないような条件
で、この超長期に対してどのように対応するかということを考えるべきなのだという論調なのです。
現実に各国での処理のしかたは違うようです。そこから、ある国は、今の廃棄物の5%ないし 10%を、今
考えられるベストな方法で保管してみよう。その保管状況というものを、自分の世代のところで見える形に
して観察していこうと、このようなことでやっていて、それで、次の世代はその結果も見つつ、その次の世
代が獲得した、いろいろな科学的な知識なり、発展を組み合わせて、次世代に託そうと、このようなことら
しいのです。
これを、われわれの会社の中で応用するということはなかなか難しいのですけれども、考え方として、わ
れわれは何でもリスクを分かったということにはならないという事実と、そのような中で現実には対処して
いかないといけない課題、これに対して、自分たちはどのようにやっていくのかということの一つのヒント
だと思います。
今、ちょうど 15 分前ということでありますので、そろそろ話を終わり、質疑に入って、皆さんのご意見も
いただきたいと思います。
最後に、東日本大震災の頃に、テレビをつけてみましても、放射線の影響についていろいろな討論がなさ
れていて、科学者の意見というものも相当違っていましたね。それによって、われわれの受ける印象や、わ
れわれの価値判断の基準も揺れ動きましたね。
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政府が、不確実性に直面した際、一つ判断材料とするために、首席科学補佐官のようなものを決めている
国があるのです。ヨーロッパなどではそうらしいのですけれども。それは科学者のネットワークをベースに
して、一つの提言を出すと。
インタビュー記事でもう一つ面白かったものは、それは英国の例が挙げられていたのですけれども、狂牛
病というものがありましたね。その狂牛病が出たときに、科学者は当時、
「これは問題ない」というようなこ
とを言ったらしいです。それが科学者に対する信頼を地に落としたと。
現在、科学者は信頼を取り戻しているわけですが、そのきっかけは何だったのか。科学というものは不完
全だと。間違いも当然起こる。そのようなことを明らかにして、それで、信頼をまた一から積み上げていっ
て、今はその意見というものが、信頼すべき判断材料として指針策定に反映されているということらしいの
です。
われわれの組織の中で、リスク管理などということをやっている者としては、そのような指針になるよう
な、例えば情報を、できれば提供したいと思うわけです。そのためには、本日お話ししたようなことをもっ
ともっと考えないといけないと思うわけです。われわれは非常に複雑で不確実性に満ちた社会の真只中にい
るということを再度述べさせていただき、私の話を終わらせていただきます。
【司会】時間がありますので、会場からご質問などがございましたら、お願いいたします。
【岩沢】岩沢と申します。素晴らしい発表を、ありがとうございました。
事前にも、このスライドを拝見していて、それで、いろいろお聞きしようかと思って来たのですけれども、
他の方も質問されたいと思うので。ただ、今日お話を聴いていて、違うことをまたちょっと思いました。
資料を見て強調されている点は私が思っていたものとは違ったのですけれども、最後の方で、やはり時間
軸というものが非常に重要だろうということであったのですけれども、これは、実は、例えばステークホル
ダーを考えたときに、本当に彼らは、彼らなどと他人のような言い方ですけれども、彼らは、では、長い時
間軸で考えてくれるかということです。あるいは、会社経営陣にしても、自分のいる期間中に事が起きなけ
ればいいだろうと。いや、変な話、合理的に考えたら、そのような判断がありうるわけです。自分の勤めて
いる間に 99%起こらないことに、本当にわかっていたら対処するかという問題があるわけです。
ですので、そのような意味で、ちょっと違う話かもしれないですけれども、規制のようなものがやはり大
切なのかなと。それは、やはり国家なり何なりという観点からすると、そのような意識では困るわけですね。
例えば、それは何年かわからないですけれども。50 年なのか、100 年なのかわからないですけれども、そ
こで揺るがないような、あるいは金融システム全体が揺るがないようなということで。個々の、個人個人の、
よくよく突き詰めて、本当に合理的に一人一人がやったときに、正しい答えが出てくるかというと、大いに
疑問なところがあるので、その辺りについて、何かお考えをお聞かせいただけたら幸いです。
【後藤】ありがとうございます。
そうですね。非常に悩むところなのですけれども、例えば投資家のインタレストといったときに、われわ
れの株を持ってくれている投資家のポートフォリオというものも、各社によって違いますね。
われわれのところでも、例えばロングタームで持ってくれる投資家と、やはり日々変わるバリューを即実
現していきたい投資家。そのような投資家と会っていると、やはり全然スタンスが違いますね。
ただ、この矛盾するものへの共存、これもまたわれわれが抱えている現実の課題ということになるのです
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ね。そのような事実というものを、われわれとして無視は当然できないし。そうかといって、一定のマジョ
リティーというものも含めて、バランスのいい判断をしていかないと何の結論も出せないと、このようなこ
とだと思います。
おっしゃるように、時間軸というのは非常に難しくて、みんなが同じ時間軸になれといっても、なるわけ
がない。そのような事実を踏まえて、われわれとして大切なことは、このような理由から、このような時間
軸で捉えている。あるいは捉えていこうということを明らかにする。ただ、この時間軸では解決できない時
間軸があるのだということに対しても、思いをはせるということがないと、やはり無責任になってしまうと
いうことなのではないかというように思っています。
例えば、リスク管理委員会等のいろいろな議論などがありますね。そうすると、例えば事務局で考えてい
る資料というものは、これはこれで一つの意見ではあるけれども、それがやはり絶対ではないし。従って、
いろいろな角度からの議論をすること、インタラクティブにやっていくことのプロセスが重要である。その
プロセスから得られたものを、どのように最終的には見える形で整理するかという、そのような地道な行い
をやはりやっていかないと、リスクに対しては正しく向かい合えないと、個人的には思っています。
【司会】他には、いかがでしょうか。
【志村】三井住友海上の志村です。
今回の話は、行動科学的にも、いわゆる会社の経営に対して理論的にどうあるべきかという点で、非常に
いい内容だったと思います。
今回の話の中で、言葉遣いなど、そのようなところでちょっと私が考えているところがありまして、先生
の話にもありましたけれども、リスクそのものを管理するといいますか、それはその発生頻度のようなとこ
ろは、非常になかなか難しい部分もあります。ただ、時間軸や、それからヒューマンエラーのような観点か
らすると、やはり一番の問題は、リスクマネジメントですね。いわゆる、判断のところ。
例えば、今、食品の偽装の話が出ていますけれども、あれも、株主に対するステークホルダーといいなが
ら、そこのところの意識が非常に強すぎて、いわゆる消費者の観点が抜けてしまっている。その判断の稚拙
なところが、一番やはりマネジメントとして組成すべきところではないかと思いますけれども。
その辺りのやり方について、何かをお考えがあれば、お聞かせください。
【後藤】どうもありがとうございました。なかなか答えづらい、いい質問だと思います。
例えば、かつてダイレクトライン社という、これは銀行からスタートした保険会社が英国を席巻しました
ね。けれども、あのような、例えば新しい技術や新しい考え方というものは、すべての国で同じように適用
できたかといいますと、やはり違うわけですね。あのときに、私も経験がありますけれども、英国でそのよ
うな新しい動きが起こった。では、それは同じヨーロッパで同じように起こるのだろうかということで、ヒ
アリングに回ったことがあるのです。
そのときに気づいたことは、やはりドイツにはドイツの、代理店と契約者の関係。それから、スイスには
スイスの関係。従って、そのようにはならないだろうというような意見ももらいました。それで、現実に、
ダイレクトラインほどは進展していないことも事実です。
何が言いたいかといいますと、私は、やはり組織というものは一つの生き物ですから、それで、当然、理
論的にこのような考えもあるといったことだけでは、意思決定はできないと思うのです。ここも、何となく
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人間くさいところになってきてしまうのですけれども、結局、その時代時代の価値観というものを、やはり
素直に受け止めて、その中でのバランス、それと、われわれの会社がよってたつものとは一体何なのだろう
というような価値観も含めて、やはり社内でいろいろな角度で論議していかないといけない。
そこでの結論は、振り返ってみると、一部間違っていたかもわからない。ただ、そのようなプロセスを経
て、納得ずくで一応決めたことというのは、皆さんの記憶に残りますし、何かやってみて悪かったときには、
そこにまた戻ってこられるということですので、先ほどおっしゃった質問についての直接的答えにはなって
いないのですけれども、動態的な環境の中で、われわれは意思決定をしています。そこで、リスクといかに
向き合っていくかという基本スタンスを重視していかないとだめなのではないかと思っています。
【司会】まだ少し時間がありますので、他にいかがでしょうか。
【質問者】時間があまりないので、簡単でいいのですが、今日はアクチュアリーの年次大会なのですけれど
も、この発表に、アクチュアリーの「ア」の字も出てきていません。このリスク管理において、アクチュア
リーにお立場から期待するところ等があれば、メッセージをいただければと思います。
【後藤】私はアクチュアリーではないので、アクチュアリーの方に向かって何かレクチャーするような立場
ではないと思い、直接的言及は避けていました。
ただ、モデルのところで、モデルの限界があるからそれを使わない、信頼しないというのは、大きなバイ
アスに陥る。一方、そのモデルを過信しすぎてもバイアスに陥ると述べました。結局は、われわれの人間力
と科学的なアプローチ、このバランスを大事にしていかないといけない。
逆に言いいいますと、科学的な、アクチュアリー的なアプローチが高まれば高まるほど、われわれの洞察
力も高まっていかないといけないと思っています。この両方が相互にやはり切磋琢磨しながら、いいリスク
管理ができるようにしていきたいと、普段から思っています。
【司会】はい、それでは、時間になりましたので、終わりといたします。
後藤さん、どうもありがとうございました。
(終了)
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