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進化する経済と経済学

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進化する経済と経済学
共同研究
進化する経済と経済学
共同研究者
代
表
三 宅 忠 和
日本大学経済学部教授
植 木 恒 幸
日本大学経済学部助教授
塚 本 隆 夫
日本大学経済学部教授
藤 本 訓 利
日本大学経済学部助教授
鈴 木
日本大学理工学部学部専任講師
明
大 石 雄 爾
駒沢大学経済学部教授
小 谷
崇
元政治経済研究所主任研究員
斎 藤 正 美
立教大学経済学部非常勤講師
はしがき
IT 革命によって好景気を謳歌し ニュエコノミ の勝利といわれたアメリカ経済は IT バブル
の崩壊とともに停滞化 そして 9 月にニュヨクで起こった同時テロ事件は世界経済を不況に陥れて
いる 特に日本経済の変化は著しく 不良債権処理や小泉内閣の構造改革による痛みの前に すでにか
つては考えられなかった 5
台の失業率や多くの工場閉鎖を記録し 需要も回復しないまま テロ不況
へ突入している 金融機関をはじめ 旅行関連産業 IT 関連産業などいずれをとっても出口のない閉塞
状況に陥っている これらは外的な変化と内的関連でまさに意図せざる状況の出現であり 経済学でい
う与件の変化として扱うだけで済むことではない
市場経済はグロバル化及び情報化によって大きく変容している 技術発展や経済成長を通じて克服
したかに思えた不況や失業も長期化し 一国における金融不安やバブル崩壊がグロバル化によって世
界全体に経済的混乱と危機をもたらしている 情報化社会の動脈としてインタネットや電子マネが
グロバル化を促進し 国民の情報利用を可能とするとともに 市場経済を通じて強者中心の社会を構
築しつつある こうした市場中心主義の経済は地域経済や環境を破壊し これまで経済を支えてきた秩
序や国民の生活基盤を危うくしている
経済学はこうした状況に必ずしも対応できていない 経済の混沌とした状況に対し経済学は混迷の状
態にあり 経済学の危機も叫ばれている そうした中 最近の経済学研究の動向として 経済学に進化
という視点をとりいれることが必要視されている 近代経済学とりわけ新古典派的経済学の前提である
完全合理性を廃し 限定合理性を前提とし 慣習や制度などへ関心を向け 市場の限界や非市場的な要
因を考慮に入れて社会経済システムを研究しなければならない こうした点から共同研究が始められ
た
この共同研究は 経済の進化と経済学 というテマの下に それぞれの研究分野や視点から進化す
῍ῌ る経済を研究しῌ 現代経済学の課題を明らかにしようとしたものである῍ 構成メンバῐの研究分野や視
点も様῏でありῌ 見解を異にしながらも進化する経済と経済学についてῌ 前号に掲載された諸論文に引
き続きῌ 以下それぞれに問題提起し展開したものである῍
大石雄爾論文 ΐ価値῎価格理論とマルクス経済学の進化῔ はῌ 実在する経済過程に認められる法則性
の解明を任務とするマルクス経済学はῌ 学問的性格からして進化経済学であるῌ という認識に立って価
値῎価格理論を展開する῍ その内容はマルクスの市場価値と市場価格との関係によってῌ ΐ価格は需要と
供給によって決まるという῔ 近代経済学のミクロ理論ῌ 価格メカニズムを批判的に検討したものである῍
むすびとしてῌ 価格理論は誤って問題設定していることῌ およびミクロ理論が現象の表面での研究に専
心してῌ 本質をわかりにくくしていると結論付けている῍
鈴木明論文 ΐ利潤率低下法則と労働価値論῔ はῌ 労働価値論の有効性に疑問を提示した論文である῍
すなわちῌ オῐトメῐションの進展は労働投入を少なくするがῌ 労働生産性の増加となって現れῌ 利潤
を生み出している῍ 使用価値は労働だけではなく生産手段によっても生み出されているのでῌ 利潤の源
泉は労働と生産手段でありῌ 労働価値論は ΐ利潤率低下の法則῔ を説明する理論としても不適切である
と主張している῍
三宅忠和論文 ΐ複雑系経済学と産業組織論῔ はῌ 現代産業の変化の状況を複雑系の経済学として説明
しようとしたものである῍ 進化する経済は制度などの非市場的な要因も考慮してῌ 創発や自己組織化な
どの概念による複雑系経済学で説明されるべきでありῌ 企業間の競争関係をとりあげる産業組織論も複
雑系のアプロῐチが必要であるとする῍ 特にῌ IT 革命によって産業の組織状況はῌ 競争促進的になるの
かῌ 独占化の方向に進むのか問いかけῌ IT 革命による今後の産業構造と産業組織の変化は複雑系でとら
えられるべきと主張する῍
ῑ三宅忠和稿ῒ
῕ ῌῌ ῕
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