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只見町役場庁舎建設基本計画

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只見町役場庁舎建設基本計画
只見町役場庁舎建設基本計画
平成 23 年 12 月
只
見
町
昭和 34 年 8 月に只見町が誕生し、その翌年現在の役場本庁舎が建設され、半世紀が
過ぎました。庁舎建設当時は、戦後の高度経済成長期に入っており、本町においても農
林業や建設業等を中心に地域経済が活況を呈する地域社会でありました。
しかしながら、現在は人口減少、少子・高齢化、産業の停滞等が続き、人口も平成
22 年国勢調査において5千人を割り込みました。
町では、平成 18 年 3 月にブナと生きるまち
雪と暮らすまち「奥会津只見の挑戦
真
の地域価値観の創造」をタイトルとした第 6 次只見町振興計画を策定したところであり
ます。これは、生活基盤整備は当然必要としながらも、代々この地域で受け継がれてき
た自然・歴史・文化・暮らし・産業などの地域の特性を活かしたまちづくりを進めると
ともに、私たち只見町に暮らす町民は、立場や環境の違いを理解しつつ地域課題を共に
解決していこうとするものです。
また、翌 19 年の子どもブナサミットにおいて「自然首都・只見」宣言をし、町振興
の方向はより確かに示されたところであります。
役場庁舎の耐震上の課題が明らかになったのを機に、只見町の 50 年を振り返り、現
状の問題を整理し、そしてこれから 50 年の町の未来を思い本計画に着手しました。
町振興計画や国道 289 号八十里越え開通等も見据え、地域振興につながる公共施設の
適正配置の検討を念頭に地域計画審議会条例を平成 22 年 3 月定例町議会へ提案し、議
決を頂きました。その後、只見町地域計画審議会に公共施設の再配置及び利活用に関す
る事項の調査・審議をお願いし、同年 12 月に諮問案が適当である旨の答申を頂いたと
ころであります。
只見町役場庁舎建設基本計画は、今まで申し上げた「自然首都・只見」に相応しい庁
舎に加え、昨年 7 月末の豪雨災害を教訓に、防災拠点としての庁舎整備の面もより強く
盛り込んでおります。
只見町の魅力を発信するとともに、町民はもちろん町を訪れる方々も集いやすい庁舎、
地域振興に結び付く庁舎整備を進めてまいります。そして何よりも将来只見町を担う子
どもたちが自信をもって、生まれ育った只見町を誇れる庁舎整備を進めてまいりたいと
考えております。
本計画策定にあたり、ご支援・ご協力頂いた町民の皆様や地域計画審議会委員の皆様
並びに町議会及び関係者の皆様にお礼を申し上げるとともに、お力沿いを引き続きお願
い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
只見町長
目黒吉久
現庁舎風景
目
第1章
次
現庁舎を取り巻く課題
01
1-1
現庁舎の課題
02
1-2
不透明な社会経済潮流からみた課題
05
第2章
新庁舎建設の必要性
11
第3章
基本理念と基本方針
14
3-1
基本理念
15
3-2
五つの基本方針
16
基本方針の具体的検討
18
A
町を活性化する拠点となる庁舎
19
B
町民のリビングとなる庁舎
25
C
環境に優しい庁舎
36
D
安全・安心な庁舎
41
E
コンパクトな庁舎
60
第4章
第5章
新庁舎に求められる機能と各整備方針
65
3-1
町民利用機能
66
3-2
町民協同関係
68
3-3
行政機能関係
69
第6章
庁舎の規模
73
6-1
建築床面積・建築面積及び階数の算定
74
6-2
外構面積の算定
78
第7章
敷地利用およびゾーニング
79
7-1
単独案
81
7-2
併設案
86
7-3
合築案
91
7-4
外部空間の構成
96
第8章
8-1
第9章
具現化に向けて
98
具現化のイメージ
99
建設費・スケジュール
105
9-1
建設費の算定
106
9-2
スケジュール
108
9-3
具体化にむけて(設計者選定、事業方式等)
109
第1章
現庁舎を取り巻く課題
1
1-1
1-1-1
現庁舎の課題
現庁舎の耐震強度不足
只見町の本庁舎は、只見町が誕生した昭和34年の翌年、昭和35年の完成以来、
満51年が経過しており、平成20年度に実施した耐震診断の結果、本庁舎の古い
建物部分については、震度6強以上の地震で倒壊する危険性があるCランク、只見
地区開発センターはDランクと診断された。
また、51 年の歳月によって、建物本体および設備の老朽化は避けられず、現庁舎
の抱える課題は大きく、新庁舎整備は、本町にとって避けては通れない行政課題と
なっている。
1-1-2
防災対策からみた課題
平成 23 年 7 月 26∼30 日にかけて福島県・新潟県両県を襲った記録的な豪雨によ
り、只見町においても甚大な被害が発生し、激甚災害区域に指定された。
只見地区においても、只見温泉保養センターや住宅の全壊・流出被害、旧只見中
学校には道路冠水のためにアクセスできなくなるなど被害が生じた。
この豪雨災害の経験は、町民が災害に強い庁舎、防災・災害復旧に対して十二分
に機能する庁舎の必要性を再認識することとなった。
したがって、前述した現本庁舎の耐震強度不足に加え、今後の防災や災害復旧の
観点から、現庁舎に代わって、防災に資する諸機能、災害時には迅速かつ的確な情
報集約と分析、避難及び復旧対応が可能な機能を備えた災害に対して堅牢な庁舎の
整備が強く望まれる。
2
写真 1-1
3
小川橋
平成 23 年 7 月
新潟・福島豪雨災害による被害状況
被害の概要(平成 23 年 11 月末)
(1)建物被害
単位:棟
住家
非住家等
全壊
大規模半壊
半壊
合計
7
23
30
21
4
25
114
19
133
床上浸水
35
15
50
床下浸水
114
13
127
(2)道路状況
落橋
3 橋 小川橋(小川)、峰沢橋(黒谷入)、万代橋(宮渕)
通行不能橋
3 橋 五礼橋(八木沢)、花立橋(楢戸)、楢戸橋(楢戸)
町道
18 箇所
林道
377 箇所
会津宮下∼大白川駅間の上下線で終日運転を見合わせ
会津若松∼会津宮下間・大白川∼小出駅間の上下線の一部列車が運休
鉄道
(3)農業用等被害
水田冠水
農作物
138.67 ha
水田転作冠水等
花卉冠水等
12.84 ha
3.34 ha
農地等
151 ha
農業施設等
194 箇所
林地被害
23.93 ha
避難者の概要(平成 23 年 7 月 31 日現在)
(1)町指定避難場所
(2)民間施設等
朝日地区センター
42 名
明和地区センター
37 名
季の郷
30 名
湯ら里
只見小学校
213 名
小林公民館
10 名
計
叶津番所
332 名
計
4
16 名
16 名
1-2
不透明な社会経済潮流からみた課題
1-2-1
少子・高齢化、人口減少
只見町の人口は、昭和 45 年には 8,838 人であったものが、平成 22 年には 4,932 人と
4,729 人、44.2%減少している。
世帯数についても、昭和 45 年には 2,107 世帯であったものが、平成 22 年には 1,851
世帯と 256 世帯、12.1%減少しているが、一世帯あたりの人員は、昭和 45 年が 4.2 人、
平成 22 年は 2.7 人と核家族化の進展がうかがえる。さらに、高齢化も進んでおり、昭和
45 年の高齢化率が 10.1%であったが、平成 22 年の高齢化率は 41.3%にも及んでいる。
一方、少子化については、15 歳未満人口の比率を見ると、昭和 45 年には 19.9%であ
ったものが、平成 22 年には 10.7%に減少しており、高齢化の進展と併せて少子化の傾
向も顕著である。新庁舎建設にあたっては、各地区や各集落の人口の推移及び年齢構成
の変化、特に高齢化によるサービス水準の低下を招くことのないよう留意する必要があ
る。
表 1-1 地区別人口の推移
昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
全町
只見地区
朝日地区
明和地区
8,838
7,759
7,271
6,731
6,170
5,804
5,557
5,284
4,932
3,743
3,182
2,947
2,690
2,371
2,215
2120
1,963
1,795
2,794
2,510
2,383
2,238
2,110
2,001
1,913
1,870
1,741
2,301
2,067
1,941
1,803
1,689
1,588
1,524
1,451
1,396
人口(人)
10,000
9,000
全町
8,000
只見地区
7,000
朝日地区
6,000
明和地区
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
只見町の人口の推移
5
年
22
年
成
平
平
成
12
平
成
17
年
年
平
成
7
2年
平
60
和
和
昭
昭
図 1-1
成
年
年
55
年
50
和
昭
昭
和
45
年
0
表 1-2
全町
只見地区
朝日地区
明和地区
只見町の世帯数の推移
昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
2,107
2,031
2,021
2,054
1,923
1,927
1,972
1,915
1,851
926
870
864
915
794
799
836
778
747
642
625
629
623
616
617
623
630
609
536
536
528
516
513
511
513
507
495
全町
(世 帯 )
只見地区
2,500
朝日地区
明和地区
2,000
1,500
1,000
500
0
昭和45年
昭和50年
昭和55年
昭和60年
図 1-2
表 1-3
総数
人数 0∼14歳
(人) 15∼64歳
65歳以上
総数
構成比 0∼14歳
(%) 15∼64歳
65歳以上
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
只見町の世帯数
過疎化と少子高齢化の進行
昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
8,838
7,759
7,271
6,731
7,170
5,804
5,557
5,284
4,932
2,300
1,809
1,445
1,189
969
809
667
590
526
5,646
4,948
4,708
4,295
3,721
3,306
2,948
2,599
2,369
892
1,002
1,118
1,247
1,480
1,689
1,942
2,095
2,037
100.0
26.0
63.9
10.1
100.0
23.3
63.8
12.9
100.0
19.9
64.8
15.4
0~14歳
10.1
63.9
26.0
昭和45年
12.9
15.4
63.8
64.8
23.3
昭和50年
18.5
63.8
100.0
17.7
63.8
18.5
100.0
15.7
60.3
24.0
15~64歳
65歳以上
24.0
60.3
29.1
57.0
100.0
13.9
57.0
29.1
34.9
53.1
100.0
12.0
53.1
34.9
100.0
11.2
49.2
39.6
39.6
41.3
49.2
48.0
19.9
17.7
15.7
13.9
12.0
11.2
10.7
昭和55年
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
図中数値は各年の総数を100%とした場合のそれぞれの年齢階層の構成比(%)を示す
図 1-3
過疎化と高齢化者社会の進行
6
100.0
10.7
48.0
41.3
図 1−4
1-2-2
1-2-2
只見町の将来推計人口
産業の停滞・衰退傾向
産業の停滞・衰退傾向
只見町の産業は、非常に厳しい状況にあり、第一次、第二次、第三次産業ともに生産
額は減少しており、全体でみると平成8年を 100 とすると、平成 20 年では 70.1 となっ
ている。
産業別にみると、第一次産業は 83.2、第三次産業は 80.8 であるが、第二次産業は 43.9
と大幅な落ち込みとなっている。
第二次産業の中を見てみると、特に鉱業 14.7、建設業 29.2 と減少が著しい。
一方、第三次産業においては、電気・ガス・水道業 46.8、卸・小売業 57.2、運輸・通
信業 31.1 と落ち込みが大きいが、金融・保険業 432.3、不動産業 116.9 と逆に大幅な伸
びを見せている。
観光入込客数においては、表 1-7 に示すとおりであるが、データの有無の関係で適切
な比較は困難であるが、各施設の傾向は概ね年々減少基調にある。
このように、只見町の産業は第三次産業の一部を除き、全般に退潮傾向にあり、有効
な産業振興方策が望まれる。今回の新庁舎建設にあたっては、有効な産業振興方策の検
討と相まって、庁舎にはそれらに必要な機能及びスペースを盛り込むことが必要である。
7
表 1-4
産業別生産額
(単位:百万円、%)
平成8年
平成11年
平成18年
平成20年
指数
8年=100
区 分
生産額
第一次
構成比
生産額
構成比
生産額
構成比
526
2.2
489
2.0
467
2.2
477
2.8
90.7
林業
135
0.6
218
0.9
90
0.4
139
0.8
103.0
95
0.4
18
0.1
31
0.1
79
0.5
83.2
小計
757
3.1
725
2.9
588
2.8
696
4.1
91.9
鉱業
163
0.7
59
0.2
60
0.3
24
0.1
14.7
建設業
5,043
20.8
5683
23.0
2,625
12.5
1,474
8.7
29.2
製造業
2,225
9.2
1842
7.5
2,013
9.6
1,767
10.4
79.4
小計
7,432
30.6
7584
30.7
4,698
22.4
3,264
19.2
43.9
電気・ガス・水道業
8,160
33.6
7389
30.0
5,855
27.9
3,820
22.4
46.8
卸・小売業
1,073
4.4
907
3.7
609
2.9
614
3.6
57.2
133
0.5
293
1.2
454
2.2
575
3.4
432.3
不動産業
1,298
5.3
1388
5.6
1,418
6.8
1,518
8.9
116.9
運輸・通信業
1,298
5.3
415
1.7
400
1.9
404
2.4
31.1
サービス業
2,153
8.9
2490
10.1
3,134
14.9
2,498
14.7
116.0
政府サービス生産者
2,390
9.8
3527
14.3
3,853
18.4
3,854
22.6
161.3
金融・保険業
第三次
生産額
農業
水産業
第二次
構成比
対家計民間非営利サービス
小計
(控除)その他及び帰属利子等
総 額
40
0.2
103
0.4
169
0.8
93
0.5
232.5
16,545
68.2
16512
66.9
15,891
75.7
13,375
78.6
80.8
468
1.9
156
0.6
191
0.9
317
1.9
67.7
24,266
100.0
24665
100.0
20,986
100.0
17,017
100.0
70.1
資料:市町村民経済計算
8
表 1-5
観光入込客数
(単位:人、%)
昭和 61 年
区分
名
県内
山岳
名
所
旧
跡
平成7年
県外
計
県内
計
県内
県外
平成18年
計
県内
県外
平成22年
計A
県内
県外
B/A
計B
×100
2,346
3,518
5,864
2,106
3,534
5,640
1,420
2,130
3,550
1,225
2,369
193.4
朝日岳
H18∼
蒲生岳
501
751
1,252
712
1,068
1,780
692
1,038
1,730
1,257
1,491
118.6
1,233
1,406
114.0
5,280
2,482
5,266
212.2
67,462 112,438
52,818
41,989
79.5
7,696
4,786
4,834
101.0
730
1,550
計
2,847
田子倉ダム
62,339
4,269
7,116
2,818
93,509 162,964
45,393
河井記念館
H5∼18
成法寺観音堂
H8∼13
旧五十嵐家住宅
1,292
4,602
7,420
2,112
68,022 113,415
44,976
5,809
4,618
3,168
3,078
1,943
597
長谷邦家住宅
スキ
ー場
の
県外
浅草岳
考古館
そ
平成13年
称
計
164,893
只見
11,774
計
62,339
93,509
45,393
1,979
1,135
1,029
1,180
114.7
68,022 119,224
120,134
59,054
48,003
81.3
2,580
10,775
6,690
6,380
95.4
11,774
2,580
10,775
6,690
6,380
95.4
保養センター
8,464
15,439
16,212
18,639
13,837
74.2
雪まつり
H9∼
水の郷まつり
H9∼
グリーンライフ
H9∼
新そばまつり
H9∼
山菜まつり
H4∼
伊南川釣り客
H19∼
SL・風っこ運行
H10∼
季の郷 湯ら里
H13∼
むら湯
13,000
34,000
33,000
24,000
23,000
95.8
11,000
7,000
5,000
71.4
208
199
233
117.1
217
96
300
312.5
213
250
270
108.0
22,878
15,000
13,198
88.0
青少年旅行村
2,106
2,845
34,834
23,585
15,097
64.0
37,229
48,336
41,130
85.1
6,875
6,899
5,741
83.2
26,411
15,185
9,272
61.1
他
18,551
比良林の
サラサドウダン
H8∼
歳時記念館
H21∼
ブナと川のミュージアム
H9∼
森林の分校ふざわ
H10∼
町内民宿・旅館
H21∼
農家民泊
5,172
843
18,605
25,000
2,905
344.6
25,000
100
475
計
合計
609
23,570
65,186
97,778 207,353
48,211
67,990
56,107
49,538
150,507
303.8
72,624 197,214
192,296
117,764
210,156
178.5
資料:産業振興課
9
1-2-3
行政サービス効率化からみた課題
現在、只見地区、朝日地区、明和地区の3地区に地区センターが置かれ、行政サ
ービスの拠点となっている。しかしながら、行政職員の定員が主に人口による類似
団体比較になっているため、只見町の人口減少は、行政職員を減少させることにな
り、これまでの行政サービス水準の低下を招く恐れを増大させている。加えて、人
口減少による人口密度の低下、高齢化や少子化による高齢者や子供の広範囲に渡る
分散化、高度情報化や環境問題への対応などの新たな行政サービス需要の増大は、
行政サービスの質的低下を招く危惧を増大させつつある。
たとえば、朝日地区には、高水準の保健福祉センターをはじめとした医療・福祉
機能が集積しているが、サービスを提供すべき対象者のうち、特に高齢者や子供は
広範囲に密度低く分散する傾向にあり、結果としてサービス水準の低下が懸念され
る。
このような事態に対応していくため、本町では機能の再編等をはじめとした行政
サービスの効率化が必要となるが、今回の本庁舎の計画においては、これらの事項
に十分対応していくためのハード・ソフトの整備が求められる。
10
第2章
新庁舎建設の必要性
11
本章においては、前章の現庁舎を取り巻く課題を整理し、新庁舎建設の必要性に
ついて示す。
2-1
現庁舎の課題からみた新庁舎建設の必要性
現庁舎の耐震強度不足は、それだけで新庁舎建設の必要性を強く示唆するもので
ある。
また、先の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や当地域に大きな被害を生じ
させた新潟・福島豪雨災害の経験は、防災対応において充実した町の中枢機能の必
要性が痛感された。
一方、これらの災害を受ける以前から本町では庁舎機能の更新について検討がな
されてきたところであるが、今回の一連の被災経験により、旧只見中学校への機能
移転などの可能性は低くなり、また、地方自治法による庁舎の位置の定めも相まっ
て、現在の位置に十分な防災対応機能を備えた「防災庁舎」といった考え方を基本
とする庁舎配置の必要性が理解されるに至ったものと考えられる。
2-2
不透明な社会経済潮流からみた新庁舎建設の必要性
我が国の少子・高齢化・人口減少はますます進展しつつあるが、都市部に較べそ
もそも人口も少なく産業基盤も脆弱な過疎地域においては、絶対的な量の変化とし
ての少子・高齢化・人口減少は、地域の活性化に大きな影響を与えている。
昨今においては、ヒト、モノ、カネ、情報の活発な交流機会が地域活性化の源泉
となっているが、過疎地においては、少子・高齢化・人口減少へのぎりぎりの対応
やそれらに伴う産業基盤衰退への対応が精一杯であり、自主的な民間活力による活
性化への取り組みは厳しい状況である。
また、人口の減少は、そのまま行政サービスを担う町職員の減少を招き、これま
での人員を維持でず、これに連動してこれまでの施設・サービスの運営が困難とな
りつつある。このことは、単に行政サービスにとどまらず、地域から町全体に至る
まで、集会機能や町民交流機能の維持にも大きな影響を及ぼすものである。
さらに、我が国の経済状況は依然不透明な状況を脱しておらず、今後もこのよう
12
な状況が相当期間続く可能性が高く、地方の行財政はさらにひっ迫の度を増すこと
が懸念されている。
このような状況から、新庁舎は行政サービスはもとより、地域活性化の要となる
庁舎であることが求められる。また、この際には新庁舎は現時点の課題への対応は
もとより、社会情勢の変化に柔軟に対応可能な新庁舎として更新される必要がある。
2-3
地域活性化の核となる新庁舎整備の必要性
町行政関連組織は、只見町にとっては「大企業」であり、今回のような新庁舎の
整備やその後の維持・運営、そこに整備される諸機能に関連するハード・ソフトの
需要は、地域経済にとって大きな影響があるものである。
本基本計画ではそれらについて直接言及する位置付けにはないが、それらに対応
するハード・ソフトを想定しつつ空間構成や構造、維持メンテナンス、管理運営対
応等に配慮し、町の経済活性化にとっても長期にわたって貢献する新庁舎を目指す。
図 2-1
新庁舎建設の必要性
13
第3章
基本理念と基本方針
14
3-1
基本理念
【地球環境時代の「持続可能な社会」只見】
・地球環境問題への関心が高まる中、高度成長期
には何も資源がないと言われ
た只見町が、今では世界遺産に匹敵するブナ林を有する、自然環境の豊かな町
として世界的に認識されつつある。
・この豊かな自然循環のもとで創出される「持続可能な社会」の実現に向けて、
只見は大きな可能性を秘めた貴重な存在として注目されている。
【自然首都
只見】
・このような背景から、只見町においては、いち早く「自然首都・只見」を表明
し、只見町が世界でも有数な自然を有している町のひとつであると位置づけ、
人と自然との新たな関係を創出していく先進地を目指している。
【自然首都庁舎・只見】
・
「自然首都・只見」に整備される庁舎は、単に自然と調和した美しい庁舎や環境
負荷の少ない庁舎に留まるものではなく、人と自然との新たな関係を創出して
いく中で、その具体的なあり方を具現化していくリーディング機能をもつ施設
として、また、その象徴としていく必要がある。
・この新庁舎は、只見町全体(自然首都・只見)を一つの家と捉え、庁舎をその
リビングルームと位置づけ、自然の風の流れのように、町民が庁舎を訪れ、集
い、交流する場とする。
・以上の考え方をまとめて、新庁舎を
「自然首都庁舎
15
只見」と称する。
3-2
五つの基本方針
本計画の基本理念「自然首都庁舎
A
只見」にもとづき、以下に基本方針を示す。
町を活性化する拠点となる庁舎
今後の只見町の活性化において、情報や、モノや人々が集まり、交流し、
新たな活動を生むことは、地域産業や様々な活動・文化に資する場の創出
は必要不可欠である。しかしながら、今後において、「公」と「民」の果
たす役割やその役割分担は大きく変化していくことが予想され、それに伴
い、これまでには「公」になかった機能やスペースの形態や運営方法など
の出現が考えられ、これらに対応した拠点の整備が必要となる。
これらの方向性について、数年後の姿を予想することは困難であるが、可
能な限りフレキシビリティを有する庁舎の構造、空間構成とする。
B
町民のリビングとなる庁舎
ホールが広間という意味であるならば、町民ホール(庁舎)は市民の広
間という意味とも解釈できる。日常生活において、町民がいろいろな用事
でホール(広間:リビング)に気軽に訪れ利用できる施設でありたい。ま
た、町長をはじめとして庁舎内で働く人々と訪れた町民が容易に接しやす
い開かれた環境を有する庁舎とする。町の方針を決める議会も、傍聴など
が気軽に行える空間とする。
あわせて、バリアフリー、ユニバーサルデザインに配慮し、物理的にも
やさしく開かれた庁舎とする。
16
C
環境に優しい庁舎
「自然首都庁舎
只見」は、自然と住民の共生関係の象徴として、自然
環境に可能な限り負荷をかけない自然環境と共存するグリーン庁舎を目
指すと同時に、自然エネルギーを最大限活用することによりエネルギー源
の多様化を図る。
また、豪雪地帯といった立地特性から、克雪対策(屋根雪処理、建物周
りの雪処理等)に留意する一方で、雪の景観的利用を図るなど、利雪・親
雪にも配慮した計画とする。
D
安全・安心な庁舎
2011 年 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や当地域に
大きな被害を生じさせた新潟・福島豪雨災害の教訓から、救援・復旧対策
の要である庁舎は、災害時において安全性が最優先されるべきであるとと
もに、救援・復旧対策に資する機能が必要かつ十分に具備されていなくて
「防災庁舎」
はならない。つまり、常に只見町全体の安全・安心を守る拠点、
の機能を有するものとする。
E
コンパクトな庁舎
財政難の中、無駄な部分を排除する必要がある。と同時に、無駄が無く
有効に活用できる構成とすると共に、只見地区センターとの併設、合築を
おこなうことによって、共有できる部分を積極的に共有することで、床建
設面積を減らすことで建設コストを減らすと同時に維持管理費を削減し、
次の世代に負担をかけない庁舎とする。
17
第4章
基本方針の具体的検討
18
A
町を活性化する拠点となる庁舎
人 口 減 少 、高 齢 化 、孤 独 化 と い っ た 傾 向 が 進 行 す る 社 会 の 中 で は 、
「人
間 の 絆 」が き わ め て 重 要 で あ る 。今 回 の 東 日 本 大 震 災 で も 再 認 識 さ れ た
ように、絆は人と人が出会い、交流して生まれ、強化される。
単 独 か 、合 築 か を 選 択 す る と き に 、ど ち ら の ほ う が 住 民 が 出 会 い 、交
流し、活性化が期待できるかと考える視点も大変重要である。
両 者 を 比 較 す る と 、合 築 の ほ う が よ り 多 く の 人 々 が 一 定 の 場 所 に 集 ま
る こ と に な る 。人 が 集 ま れ ば 出 会 い が 生 ま れ 、新 し い 地 域 活 動 も 活 性 化
さ れ る 。ま た 活 性 化 さ れ 人 々 が 集 ま れ ば 物 販 や 飲 食 な ど の 商 業 施 設 も 成
立 す る 可 能 性 が 高 く な る 。都 市 的 な 雰 囲 気 が 出 来 れ ば 若 者 達 も 集 ま っ て
こ よ う 。こ の よ う な 集 積 に よ る 活 性 化 の き っ か け が 生 ま れ れ ば 合 築 の メ
リ ッ ト は 大 き い と 考 え ら れ 、役 場 と 併 設 す る い こ と で 、住 民 の 活 動 を さ
ら に サ ポ ー ト で き る 環 境 と な る こ と を 考 え る と 、合 築 の メ リ ッ ト は 大 き
いといえる。
ま た 、経 済 的 メ リ ッ ト も あ り 、同 じ 面 積 で も 一 つ の 建 物 に す れ ば 基 礎
や 壁 面 の 工 事 が 減 る こ と や 、建 設 費 の か か る 設 備 部 門 の 共 有 化 が 図 ら れ
る 。管 理 維 持 費 も 同 様 に 削 減 可 能 で あ る 。設 備 や 清 掃 、器 具 な ど の 共 用
により、管理費も下がる。
合築:利用目的の異なる公共施設を複合化す
ること。施設用地難を解消するとともに、多
機能化により、施設内の新しい交流が期待で
きる。
19
A-1
..
..
役 場 と 只 見 地 区 セ ン タ ー の「 併 設 」も し く は「 合 築 」
併設と合築を区別するため以下のように定義する。
併 設:同 一 敷 地 内 に 別 々 に 建 設 を 行 い 、ロ ビ ー な ど 両 方 に 共 通 す る 空 間
を共有して建設すること。
合築:建物を区別せずひとつの建物として建設すること
併設
合築
図 4-1
A-2
併設と合築
..
..
.
「 併 設 」、「 合 築 」 の メ リ ッ ト と デ メ リ ッ ト
併設や合築は経済的な効果を超えた相乗効果が生み出せるかどうか
が 合 築 の カ ギ に な る 。ま た 合 築 に は 新 た な 課 題 も 伴 う こ と に な る 。共 有
す る 室 の 予 約 シ ス テ ム を は じ め と し て 、機 能 の 異 な る 建 築 が 一 体 化 す る
こ と に よ り 利 用 す る 時 間 の 違 い に よ る 、閉 庁 後 の 動 線 の 管 理 、セ キ ュ リ
テ ィ の 確 保 、セ ン タ ー で の 夜 間 の 会 合 な ど に よ る 庁 舎 で 残 業 中 の 職 員 の
勤務環境への影響を排除することなどが求められる。
2010 年 12 月 の 只 見 町 地 域 計 画 に お い て は 、只 見 地 区 セ ン タ ー は 大 規
模改修を伴う老朽施設であることから解体撤去するとの方針が示され
ている。現在は建物は閉鎖されて使用できない状況が続いている。
20
庁 舎 と 只 見 地 区 セ ン タ ー は 距 離 的 に も 近 接 し て お り 、会 議 室 や 集 会 室
な ど 、 類 似 し た 機 能 の 空 間 を 多 く 保 有 し て お り 、一 般 的 に は 経 済 面 か ら
合 築 の 有 効 性 は 高 く 、建 設 費 や 維 持 管 理 費 を 軽 減 さ せ る こ と が 期 待 で き
る。
現在は庁舎と地区センターを合築することが望ましいと思われるが
本 報 告 書 に お い て は 、ま ず そ の メ リ ッ ト ・ デ メ リ ッ ト を 明 示 し 、今 後 の
町 内 で の 議 論 に 役 立 て る こ と と し 、配 置 案 に 関 し て も 、両 案 に 関 し て タ
イプを記載するものとする。
A-2-1
....
メリット
メ リ ッ ト は 上 述 し た よ う に 、町 民 が 集 い 絆 が 生 ま れ 、交 流 が 計 ら れ る
こであるから、同じ敷地内に立地するメリットは大きい。
併設
玄 関 ホ ー ル や 会 議 室 の 共 有 、ま た 議 場 と 多 目 的 ホ ー ル 等 を 考 え る
と 350∼ 450 程 度 の 面 積 を 共 有 で き る こ と か ら 、経 済 的 メ リ ッ ト は 大
きい。また、中庭を有効に活用したり、ロビーを充実させることに
よって、役場と地区センターが寄り添う意味は大きい。
合築
一 体 型 建 物 で あ る こ と か ら 、ト イ レ や エ レ ベ ー タ な ど の 共 有 空 間
が増え経済的メリットは更に大きい。また、併設よりもさらに空間
の一体感が生まれると同時に、町を運営する役場から住民の活動が
目の前で行われることの意義は大きいと考えられる。
A-2-1
....
デメリット
デメリットは、以下の二点に絞られる。
①共有する室の時間調整
②地区センターと役場の使用時間の差によるセキュリティー
21
共 有 す る 室 は 、議 場 と 多 目 的 ホ ー ル 、会 議 室 と 多 目 的 室 、ト イ レ な ど
が考えられる。
議 会 は 通 年 議 会 と は い え 近 年 通 算 で 、一 ヶ 月 程 度 の 利 用 し か な く 、そ
の 利 用 が 昼 間 で あ る と 考 え る と 、事 前 に 調 整 す れ ば 共 有 は 十 分 可 能 で あ
る。
役場の会議室も各課の小さな打ち合わせコーナーと相談室の利用を
考えれば、予約システムによって、共有は可能である。
問題は電子システムによる予約をきっちり運用できるかにある。
同 時 、臨 時 の 議 会 と 事 前 の 催 し 物 が 重 な っ た 場 合 の 対 策 を 検 討 す る 必
要があるが、施工面積の削減から考えると効果は大きいと考えられる。
表 4-1
メリット・デメリット一覧表
単独
併設
合築
メリット
・最も独自性が保てる ・町の活性化のきっかけとな ・町の活性化のきっか
・時間調整がなく自由 る。
けとなる。
利用可能
・独自性と経済性の両立
・一部空間・機能を共用
・機械設備、EV,基礎、
↓
類似空間の統合によ
建設コスト・維持管理コストの低減 る規模の削減など建
・無雪広場などが可能
設コストと維持管理
(コストメリットは無くなる)
コストの低減化が図
れる。
デメリット
建設コスト、ランニングコスト UP ・合築ほど経済性が生まれな ・運営時間の違いから
・利用率が低い室がで い
セキュリティ動線の
きる
分離、確保が必要。
・床面積の規模は最大
・共用空間の使用時間
↓
の予約調整などが求
められる
今後人口減少や、税収
の減少により維持管理
の負担が増大
22
A-3
..
..
「 併 設 」、「 合 築 」 の 手 法
東日本大震災の復興は総合的な復興計画がまだ固まっていないので、
本 格 的 な 建 設 は 始 ま っ て い な い 。し か し な が ら 、仮 設 商 店 街 の 建 設 が あ
ち ら こ ち ら で 始 ま っ て い る 。や は り 商 業 活 動 が 始 ま る と そ こ で 経 済 活 動
が 始 ま る だ け で は な く 、人 々 の 出 会 い や 交 流 が 始 ま り 絆 の 強 化 に つ な が
っていく。
今 回 の 庁 舎 建 設 に お い て も 、商 業 機 能 の 取 り 込 み も 考 え る べ き で あ る 。
た と え 単 独 案 に な る に し て も 、ロ ビ ー 空 間 に は 、現 在 、J R 只 見 駅 で 行
われている地場産品の展示即売などの機能が持ち込めるような仕組み
を考えたいものである。
A-3-1
..
併設の手法
併 設 す る 場 合 は 、ロ ビ ー な ど の 共 用 が 考 え ら れ る が 、た だ 単 に ロ ビ ー
を 共 有 し て 、そ れ 以 外 は 分 離 と い う も の で は な く 、内 部 は 独 立 す る が 併
設するからこそできる配置計画とする。
只 見 町 は 冬 季 に は 、多 く の 雪 が 降 り 屋 外 で の ス ポ ー ツ や 活 動 が 少 な く
な り が ち で あ る 。庁 舎 と 地 区 セ ン タ の 間 に 屋 根 を か け る 事 に よ っ て 無 雪
広 場 の 設 置 な ど を 配 置 が 考 え ら れ る 。冬 季 の 活 動 を 考 え れ ば 大 き く と り 、
住民の活動に大きく貢献できる。
無雪
役場
只見
広場
地区
庁舎
ロビー
図 4-2
センター
併設の手法
23
A-3-2
..
合築の手法
建 物 を 一 体 型 に す る 場 合 に 、多 く 見 ら れ る の が 完 全 に 分 離 し て し ま う
手 法 で あ る 。 例 え ば 1階 = 役 場 、 2階 = 地 区 セ ン タ ー な ど の 構 成 で あ る 。
これは、管理上分離した方が都合がよい場合が多い。
た だ こ れ で は 、建 物 を 一 体 に す る こ と で 得 ら れ る 経 済 的 メ リ ッ ト だ け
と な る 。役 場 の 管 理 上 閉 鎖 し な け れ ば な ら な い 事 務 室 や 町 長 室 、倉 庫 な
どを除き積極的にミックスさせることが望ましい。
例 え ば 共 有 空 間 を 挟 ん で 、役 場 か ら は 住 民 の 活 動 が 見 え る こ と で 、町
の 活 動 や そ れ に 対 す る サ ポ ー ト な ど が で き る よ う に な る 。事 務 的 な サ ポ
ー ト で は な く 、町 民 の 活 動 を 見 な が ら そ の 姿 や 反 応 を 目 の 前 で 見 る こ と
で 、職 員 も さ ら に 町 の こ と を 考 え た り 活 動 し た り す る き っ か け と な る と
思われる。
本 報 告 書 に お い て は 庁 舎 を 独 立 で 建 設 す る 案 、只 見 地 区 セ ン タ ー と の
複 合 を 考 え る 案 の 併 記 に と ど め る こ と に す る 。し か し な が ら 、只 見 を 活
性 化 す る た め に は 役 場 職 員 、議 員 、そ し て 町 民 が 集 ま り 、も の や 情 報 が
集 積 し 、交 流 が 誘 発 さ れ る 舞 台 づ く り が 重 要 で あ る 。今 回 の 庁 舎 と 地 区
センターの複合化はそのような舞台づくりの千載一遇の機会であると
いえる。
24
B
町民のリビングとなる庁舎
B-1
開かれた庁舎
町 民 が 集 え る 庁 舎 が 望 ま し い 。新 庁 舎 で は 、温 か み が あ り 、室 内 活 動
ができる町民ロビーと冬でも体が動かせる無雪広場の検討をおこなう。
B-1-1
町民リビング
ヨーロッパ諸国では、わが国と違い、庁舎が身近にある。役所に
用事があるから行くというわけではなく、お茶を飲んだり、遊びに
行くという感覚がある。シティーホールといわれる所以である。
特に用事があるわけでもなく新聞を読みに言ったり、ボーっとし
に行ったり、それだけでもいい。町民が集まり会話を交わすことが
町づくりの原点である。本報告書では、地区センターとの併設及び
合築を検討しているが、図書室などの文化機能も取り入れることを
検 討 し て い く 。町 民 が 日 常 的 に 利 用 で き 、気 持 ち の い い ロ ビ ー と し 、
図 書 コ ー ナ ー や キ ッ ズ コ ー ナ ー や PC カ ウ ン タ ー な ど の 設 置 を 進 め る 。
単にロビーのコーナーに設置するのではなく、大胆にロビーを町
民のリビングのように積極的に活用する構成とする。
写 真 4-1
石川県野々市町
25
カメリア情報館
B-1-2
冬に集う庁舎
只 見 町 は 、冬 季 の 暗 い 時 間 が 多 く 、外 に 出 る 機 会 が 少 な く な る 。そ の
冬にこそ、役場の室内を利用して様々な活動をすることが望ましい。
以下のスペースを導入することを検討する。
・無雪広場
冬 で も 、体 の 動 か せ る 広 場 を 作 る こ と は 重 要 で す 。特 に 高 齢 者 が 、健
康 を 維 持 す る こ と が で き る よ う に 、ト ラ ッ ク を 用 意 す る な ど の 検 討 を お
こ な う 。ま た 、若 者 も フ ッ ト サ ル 等 の ス ポ ー ツ が で き る 空 間 が あ れ ば 冬
に 集 う 機 会 が 増 え る 。ま た 、そ れ を 高 齢 者 が 眺 め て 元 気 を も ら っ た り す
ることも重要である。
・ランニング
・散歩
・雪祭りの準備空間
B-1-3
・フットサル
・ゲートボール
・その他スポーツやイベント
将来に対応
現 在 、多 く の 庁 舎 が 様 々 な 施 設 を 庁 舎 の 中 に 取 り 入 れ て い る 。食 堂 や
売 店 な ど も そ う で あ る が 、ワ ン ス ト ッ プ を 考 え て 、共 同 組 合 や 観 光 協 会 、
郵便局など積極的に取り入れて利便性と役所との相乗効果を図ってい
っ て い る 。将 来 的 に は 、役 場 の 縮 小 や 新 規 の 民 間 施 設 の 導 入 も 考 え ら れ
る 。し た が っ て 、新 庁 舎 で は 将 来 が 予 測 し 難 い も の の ど の よ う な 施 設 で
も入り込めるような対策をとるものとする。
対策としては以下の項目を検討する
① 容 易 に 改 変 で き る 構 造 = イ ン フ ィ ル +ス ケ ル ト ン
柱 梁 や 床 ス ラ ブ と 内 装 を 完 全 に 分 離 し て 施 工 す る 方 法 で 、内 装 転
換 が 簡 単 に で き る と 同 時 に 、将 来 的 な 役 場 の 内 装 工 事 も 経 済 的 に 済
む。
26
図 4-3
インフィルスケルトン方式のイメージ図
※床スラブ:床下のコンクリートのこと。
②主要構造部=耐火構造
役場は建築基準法上、特殊建築物にならないため、規模によっては
耐 火 構 造 物 と し な く て よ い ケ ー ス が あ る 。し か し 、そ の 後 不 特 定 多 数
の 人 々 が 入 る よ う な 施 設 を 導 入 す る こ と に よ っ て 、特 殊 建 築 物 に な り 、
耐火被覆などの処理をほどこさなければならない場合もある。
住民説明会では、木造の温かみを求める声も多く、木造による耐火
建築物も可能だがコストとのバランスを検討する必要もある。
したがって、今後、地区センターとの関係性(併設、合築)を踏ま
え、構造体の検討も行うものとする。
27
B-2
開かれた議会
町の方針を決定する議会に関しては、その過程を町民にオープンに
す る こ と は「 開 か れ た 役 場 」の 第 一 歩 で あ る 。傍 聴 に 来 た 人 が 分 か り や
す く 内 容 を 把 握 で き る こ と が 重 要 。そ こ で 新 庁 舎 で は 、以 下 の 3 点 に 関
して議会の構成を考えるものとする。
・
活発な議論ができる形式
・
聞きやすい型式
・
分かりやすい表示
写 真 4-2
現在の議会
28
B-2-1
二元代表制(議員内閣制ではない)
現 在 の 議 場 は 、議 員 内 閣 制 ス タ イ ル の も の で あ る 。つ ま り 、国 会 の ス
タ イ ル で 、議 長 の 前 に 発 言 者 が 立 ち 、議 員 に 向 か っ て 答 弁 を お こ な う ス
タ イ ル で あ る 。こ の ス タ イ ル が 二 元 代 表 制 の 場 合 に 問 題 に な る の は 、首
長に向かって議員が話していないということである。
二 元 代 表 制 の 場 合 、首 長( 以 下:町 長 と す る )に 大 き い 権 限 が 与 え ら
れ て い る 。つ ま り 議 会 は い わ ば 、町 長 に 対 し て お こ な う 意 味 合 い が 非 常
に 濃 い た め 、発 言 者 は 町 長 に 向 か っ て 発 言 を す る 必 要 が あ る 。特 に 、小
さ い 議 会 の 場 合 は 、目 と 目 を 見 な が ら 発 言 す る こ と が 非 常 に 重 要 に な っ
てくる。
二元代表制の下、議会の本会議を真に「議論の場」とするためには、
議 場 の 型 を そ れ ぞ れ 相 手 に 向 か っ て 、質 問・答 弁 を お こ な う 本 来 の 型 に
する必要がある。
只 見 町 町 議 会 で は 、二 元 代 表 制 の 元 、通 年 議 会 制 を 実 施 し て お り 、
「町
民に分かりやすい議会・しっかり討議する議会・政策を提言する議会」
( 只 見 町 HP - 只 見 町 の 議 会 ペ ー ジ 参 照 ) を 掲 げ て い る 。
し か し 、現 行 の 議 場 の レ イ ア ウ ト は 向 い 合 っ て は い る も の の 、傍 聴 席
か ら は 議 会 の 様 子 が 把 握 し に く い 上 に 、発 言 者 の 位 置 が 両 機 関 に 対 し 対
等に向いていないため、議論を行う上で不適当であると言える。
この点をうまくカバーし議会場を計画している事例として千代田区
議 会 場 を 取 り 上 げ る ( 写 真 4-3)。 議 論 の 際 、 対 面 式 を 採 用 し て お り 、
誰 が 何 を 発 言 し て い る か が は っ き り と 分 か る と と も に 、プ ロ ジ ェ ク タ ー
と 手 元 モ ニ タ ー を 使 う こ と で 、議 会 場 後 方 壇 上 に あ る 傍 聴 席 か ら も 、何
の議論を行い、何が決定したのかが分かりやすくなっている。
以上の事から、只見町議会の議場計画では、災害対策本部としての
機 能 さ せ る こ と に 留 意 し 、 二 元 代 表 制 議 会 に 適 し た 図 4-4の よ う な 対 面
式を採用することが望ましいと考えられる。
29
写 真 4-3
図 4-4
東京都千代田区議場
只見町における望ましい議場のスタイル
30
B-2-2
IT化 ( 分 か り や す く 運 営 )
現 在 で は 議 会 運 営 を ス ム ー ズ に 進 め る た め に 、 ICT化 が 進 ん で い る 。
例 え ば 各 人 に 資 料 を 配 る だ け で な く プ ロ ジ ェ ク タ ー の よ う な も の で 、情
報 を 共 有 す る こ と が 、議 会 を 運 営 す る 上 で 非 常 に 重 要 に な っ て き て い る 。
つ ま り 、現 在 ま で は「 資 料 の ○ ○ ペ ー ジ の 右 下 の 方 の 部 分 で す が 、
・・・・」
の よ う な 進 め 方 が 多 く 、少 し 難 し い 話 に な る と 理 解 に 苦 し む 場 面 も 多 く
あ る が 、プ ロ ジ ェ ク タ ー の 映 像 で 情 報 を 共 有 で き れ ば 、理 解 も す す む も
のと考える。
し か し 、気 を つ け る 点 は 、す べ て を プ ロ ジ ェ ク タ ー で 情 報 処 理 を し て
し ま う と 、議 事 録 に 問 題 が 出 て く る 。議 会 で の 発 言 は 重 い た め 、議 事 録
に「 こ こ が 、こ う な っ て 、こ の よ う に な り ま す 」な ど の 発 言 が 記 録 さ れ
る の は 、避 け な け れ ば な ら な い 。あ く ま で 補 助 的 な 意 味 で 使 用 し な け れ
ばならないことには注意しなければならない。
B-2-3
町民傍聴
傍聴のスタイルは、主に以下の、三種類に分類できる。
① 2階
②段床方式
③フラット
①
②
図 4-5
③
傍聴スタイル
役 場 の 規 模 及 び 議 員 の 人 数 か ら 考 え る と ① 2階 か ら 傍 聴 は 、 臨 場 感 に
欠け、声などが聞き取りづらい面がある。
上 述 の 議 場 の あ り 方 と あ わ せ て 、ス タ イ ル を 考 え る と 、② 段 床 方 式 が 望
ましい。
議 会 の 傍 聴 者 は 現 在 少 数 で あ る こ と が 多 い 。傍 聴 人 数 が 増 え る こ と は
31
望 ま し い が 、現 実 を 考 え る と 、傍 聴 人 数 を 増 や す こ と を 考 え る こ と よ り 、
傍 聴 を 分 か り や す く す る こ と が 望 ま し い 。他 の 自 治 体 の よ う に 一 定 規 模
の 場 合 は 、二 階 席 な ど か ら の 傍 聴 が 、気 兼 ね な く で き る と い う 意 味 で は
好 ま し い が 、 只 見 町 の 場 合 、 町 長 、 議 員 、 職 員 、 傍 聴 人 を 含 め て も 30
人 弱 と 考 え ら れ る た め 、人 数 が 増 え た 場 合 に は 可 動 式 の ひ な 壇 で 対 応 す
る程度で十分である。
B-3
バリアフリー
高 齢 者 や 障 害 者 だ け で は な く 、来 庁 者 の 誰 も が 安 全 で 快 適 に 利 用 で き
る ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン と す る 。基 本 的 に 、外 部 か ら の ア プ ロ ー チ を 含
め 段 差 の 無 い 、各 階 フ ラ ッ ト な 床 と し 、空 間 の 演 出 等 は 天 井 の 形 状 に よ
っ て 行 う も の と す る 。諸 事 情 に よ り 段 差 な ど の バ リ ア が 発 生 す る 場 合 は 、
スロープなどの対処を行うものとする。
設 計 に あ た っ て は 、「 福 祉 の ま ち づ く り 条 例 ( 福 島 県 )」、「 高 齢 者 、 障
害 者 等 の 移 動 等 の 円 滑 化 の 促 進 に 関 す る 法 律( バ リ ア フ リ ー 新 法 )平 成
18年(2006年)12月20日に施行」を遵守したものとし、行き
た い 場 所 が 分 か り や す く 、か つ 移 動 し や す い よ う に 移 動 距 離 や 動 線 に 関
しても配慮するものとする。
特に以下の項目に関しては注意するものとする。
・駐車場
歩行者と車道の動線を明確に整備して安全を確保する。また、融雪
装 置 の 設 置 に つ い て 検 討 す る 。障 害 者 や 妊 婦 、チ ャ イ ル ド シ ー ト 着 装
車などの車が優先的に庁舎出入り口付近に駐車できるスペースを確
保する。
また、バスやタクシーなどが冬季に庁舎の出入り口に横付けできる
屋 根 の あ る 空 間 を 確 保 す る 。こ の と き 徒 歩 で の 出 入 り 口 と の 動 線 に 配
慮するものとする。
32
・ 廊 下 /階 段
通 路 は 、廊 下 は 十 分 な 幅 を 確 保 す る( 車 椅 子 が す れ 違 え ら れ る 広 さ )。
ま た 、床 や 壁 の 突 起 物 が な る べ く 出 な い よ う に し 、階 段 の 両 側 に 手 す
りを設置するものとする。
また、屋外の歩行者用通路には融雪装置を設置することを検討する
ものとする。
・エレベーター
エレベーターは中で車椅子が回転可能な大きさのものを設置するも
のとする。また、音声や視覚で分かりやすい案内が可能なものとし、
なるべく低速のものを設置するものとする。
・窓口
窓 口 は 様 々 な 姿 勢 で の 相 談 が 考 え ら れ る た め 、以 下 の 姿 勢 ・ 状 況 で 対
応できる窓口を設置する。
・立った状態
・座った状態
・車椅子(ひざがカウンター下に入るように)
・ 筆 談 機 な ど 聴 覚 障 害 者 と の コミュニケーションボードの 設 置
・トイレ
多目的トイレを設置し、車椅子や幼児連れ、オストメイトなど多
様な来庁舎が使いやすいトイレとする。その他ベビーベット、ベビ
ーチェア、オストメイト対応器具は、利用者が利用頻度の高い部分
に設置する。また、各一般トイレも広めの設定とし、清潔感を保つ
ため乾式とする。
※乾式:水等の液体を等を利用しない方式。外部公衆
便所等のように水を用いて清掃を行わず、住宅のト
イレのように拭き掃除等で清掃を行うこと。
33
・ベビーベッド
子供連れ及び乳児連れのために授乳やオムツ替えのできるベビー
ベットなどを配置します。特に窓口近くや町民ロビーなど頻度の高
い場所に設置を検討します。また、イベントや講習会、説明会など
に積極的に参加できるよう、キッズコーナーを儲けることを検討す
るものとする。
・人による対応
設備等による対応では、対応できないこともあります。特に障碍
者の方に職員が対応できるように、窓口は入り口に目が届くように
し、職員が支援できるようにする。特に非常時には、対応できるよ
うに体制を整えるものとする。
ま た 、 表 4-2 の 項 目 に 関 し て 対 処 を 行 う も の と す る 。
34
表 4-2
番
バリアフリー対策一覧
対策項目
号
備
考
各階に設置
子供連れの利用者に対応できるよう、オムツ交換台の設
置。
①
誰でもトイレ
オストメイト(汚物流し、ハンドシャワー付温水設備等)
の設置。
サ ポ ー ト が 必 要 な 場 合 に 備 え 、外 部 へ の 呼 び 出 し 機 能 の 設
置。
車 椅 子 利 用 者 に 配 慮 し 、ス ム ー ズ に 上 下 階 に 移 動 で き る 位
②
エレベーター
置に設置する。
高 齢 者 に 危 険 に な ら な い よ う に 、扉 の 開 閉 に 配 慮 し た も の
とする。
③
廊下
④
階段
⑤
床
車椅子に配慮した広さを考慮する。
非 常 時 の 避 難 路 と な る た め 、高 齢 者 に も 配 慮 し 、段 差 な ど
に配慮する。
雨、積雪時に水で滑らないような配慮を施す。
障がい者用のスペースを入り口近くに設置する。
車椅子の乗り降りに配慮した大きさとする。
⑥
駐車場
積雪地域であることに配慮し、障がい者用駐車場からは、
安全に庁舎にアプローチできるように屋根などを設置す
る。
⑦
授乳室等
⑧
案内表示
子 供 連 れ 利 用 者 の 利 便 性 を 考 慮 し 、授 乳 室 や キ ッ ズ ス ペ ー
スなどの設置を検討。
ピ ク ト グ ラ フ な ど を 用 い て 、分 か り や す く す る 。色 や 大 き
さ等の表示方法や設置場所を統一する。
※ ピ ク ト グ ラ フ : 絵文字。また、絵を使った図表。
35
C
環境に優しい庁舎
で き る だ け 自 然 エ ネ ル ギ ー を 利 用 し 環 境 負 荷 を 軽 減 す る と 同 時 に 、ラ
イフサイクルコストを減らすと同時に経済的な維持ができる庁舎建築
を目指すものとする。
C-1
自然エネルギーの活用
建物形状によってできるだけ自然のエネルギーを活用するものとす
る 。只 見 町 は 、冬 季 の 寒 さ と 、夏 の 暑 さ を 両 方 持 ち 合 わ せ る 気 候 に あ
る 。こ れ は 単 純 に 相 反 す る も の で あ る が 、現 在 寒 冷 地 で 有 効 で 実 績 を
上 げ だ し て い る ス タ イ ル は 、建 物 の 周 り を 高 断 熱 と し 、外 壁 に は 快 適
性 を 妨 げ な い 程 度 の 窓 を 取 り 付 け 、採 光 は 内 部 の ア ト リ ウ ム の ト ッ プ
ライトから取り入れる形状である。
その他、通風などを考慮しながら、冬の暖房を節約できるスタイル
を基本とした建築形態を検討するものとする。
C-2
ライフサイクルコストの低減
ライフサイクルコストは、建物の企画設計から解体再利用コストま
での、建物の一生のコストを指します。
右 グ ラ フ の よ う に 、最 も コ ス ト が か か る の
が 保 全・修 繕・更 新・運 用 費 な ど で 建 物 を 建
てた後で建物を維持していくのに掛かる費
用である。
特にこれらのコストを低減させるために
は 、自 然 エ ネ ル ギ ー 利 用 に よ る 省 エ ネ 化 と 設
備機器の長寿命化が重要です。
上記自然エネルギーを活用しながら運転
費 を 下 げ る こ と を 進 め ま す 。ま た 設 備 の 長 寿
命化を図ると同時に設備のメンテナンスを容易にできるようにする
ことでも長寿命化を図る計画とする。
36
C-3
CASBEEの ラ ン ク 上 位 を 目 指 す
CASBEEは 、 建 物 の 環 境 品 質 、 性 能 ( 長 寿 命 化 ・ 設 備 の 更 新 性 )、 環 境
負 荷( 省 エ ネ 、源 の 再 利 用 な ど )を 同 時 に 評 価 す る 評 価 シ ス テ ム で あ る 。
約 90の 評 価 項 目 ( 表 4-3) 5で 評 価 し 、 総 合 的 に 算 出 し た 「 建 築 物 の 環
境 製 の 効 率 」 を 、 表 4-4の よ う に 格 付 け し て い る 。
新 庁 舎 は こ の 上 位 ラ ン ク を 目 指 す こ と と す る 。ま た 、国 土 交 通 省 の 示 す
グリーン庁舎の技術を積極的に取り入れるものとする。
表 4-4
CASBEEに よ る 評 価 項 目
区分
評価項目
室内環境
騒音、遮音、吸音
温熱環境
温室制御、温度制御、空調方式
光・視環境
昼光利用、グレア対策、照度、照明制御
空気室環境
サービス性能
発生源対策、換気、運用監管理
機 能 性 、使 い や す さ 、心 理 性 、快 適 性 、維 持
機能性
管理
耐 震 ・ 免 震 、部 品 ・ 部 材 の 耐 用 年 数 、適 切 な
耐用性・信頼性
更新、信頼性
対応性・更新性
室外環境
建築物の環境品質
音環境
空 間 の ゆ と り 、荷 重 の ゆ と り 、設 備 の 更 新 性
生物環境の保全と創出
まちなみ・景観への配慮
地域性・アメニティーへの配慮
地 域 へ の 配 慮 ・ 快 適 性 向 上 、敷 地 内 温 熱 環 境
の向上
自然エネルギーの利用
自然エネルギーの直接利用、変換利用
設備システムの高効率化
効率的運用
資源・マテリアル
モニタリング、運用管理体制
水資源保護
節水、雨水利用、雑排水再利用
材料使用の削減、既存建築躯体等の継続使
用、躯体材料におけるリサイクル材の使用、
非再生性資源の使用料削減
非 構 造 材 に お け る リ サ イ ク ル 材 料 の 使 用 、持
続 可 能 な 森 林 か ら 算 出 さ れ た 木 材 、部 材 の 再
利用可能性向上への取り組み
有 害 物 質 を 含 ま な い 材 料 の 使 用 、フ ロ ン ・ ハ
汚染物質含有量の使用回避
敷地外環境
建築物の環境負荷低減性
エネルギー
建物の熱負荷抑制
ロンの回避
大 気 汚 染 防 止 、温 熱 環 境 悪 化 の 改 善 、地 域 イ
地球温暖化への配慮
ンフラへの負担抑制
騒 音 ・ 振 動 ・ 悪 臭 の 防 止 、風 害 、日 照 阻 害 の
地域環境への配慮
抑制、光害の抑制
周辺環境への配慮
CASBEE
新 築 ( 簡 易 版 ) 2010年 を も と に 作 成
37
表 4-4 CASBEEの ラ ン ク
ランク
評価
S
素晴らしい
A
大変良い
B+
良い
B-
やや劣る
C
劣る
※ 評 価 の 第 三 者 認 証 と し て 、財 団
法人
建 築 環 境・省 エ ネ ル ギ ー 機
構による認証制度がある。
図 4-6
国土交通省
グリーン庁舎技術
38
C-2
只見町特有の環境対策
本町は、豪雪地帯であり、雪のエネルギーを生かした、省エネ化を
検 討 す る 。し か し 、現 状 で は 雪 に よ る 夏 季 の 冷 房 な ど が 各 地 で お こ な わ
れ て い る が 、費 用 対 効 果 が 得 ら れ て い な い の が 実 状 。多 く が 補 助 金 を 得
てやっと成り立っている状況である。
しかし、近年は大手ゼネコンなどにより実績もあがっており、特に以下項目に関し
て特に検討するものとする。
・冬場の雪を夏場の空調に活用する「雪冷房」
・二重ガラスを活用して冬場の日射熱を室内にため込んで温める外装ダブルスキン
・吹抜けのドラフト効果
・床吹出空調機
・外気冷房用外気取入口
・外断熱外壁
・高遮熱断熱ガラス
・熱放射スケルトン天井
・自然換気用外気取入口
・OA フロア(給気チャンバー)
・床全面吹出空調システム
・トップライト偏向採光
・躯体蓄熱放射冷暖房床打込み配
以 上 の 技 術 は 徐 々 に 、 実 績 を 上 げ て お り 、 最 近 で は 、 試 算 で CO2排 出
を 50% 抑 え ら れ る 建 物 も 完 成 を 見 て い る が 、 初 期 投 資 は 大 き く 、 建築コ
ストは通常に比べ1.5倍程度。これを省エネ効果によって10年程度でコストを
回収予定のものである。
新庁舎は、コストと効果のバランスをみて「自然首都只見」にふさわしい技術を
取り入れることを検討するものとする。
39
太陽光パネルの検討
本町では積雪が深いため、屋根面での太陽光発電パネルの採用が難
しい。近年では、壁面等に設置するタイプが実績をあげ始めており、
検 討 に 値 は す る が 、 初 期 投 資 を 回 収 す る ま で に は 30年 程 度 の 時 間 が か
かることから、補助金受けての設置を検討するものとする。
40
D
安全・安心な庁舎
新庁舎が災害に関して配慮すべき視点は以下の4項目である。
D-1
豪雨に対する安全性
D-2
地震に対する耐震安全性
D-3
豪雪に対する安全性
D-4
防災指示拠点、避難場所としての機能
4-5
防災備蓄機能
D-1
豪雨に対する安全性
2011 年 7 月 末 の 新 潟 ・ 福 島 豪 雨 災 害 で は 只 見 川 や 阿 賀 川 の 流 域 で 浸
水 や 土 砂 崩 れ が 発 生 し 会 津 地 方 の 7000 人 に 避 難 指 示 や 勧 告 が 出 さ れ た
( 本 町 被 害 概 要 は 第 1 章 に 掲 載 )。 福 島 県 は 自 衛 隊 に 災 害 派 遣 要 請 を 出
し 、ま た 9 市 町 村 に 災 害 救 助 法 が 適 用 さ れ た 。只 見 町 に お い て は 道 路 が
寸断されいくつかの集落が孤立状態に陥った。
近 年 は こ の よ う な 豪 雨 が 多 発 し て お り 、防 災 の 司 令 塔 と な る 役 場 庁 舎
はこの影響を受けない位置に設置することが必要である。
旧 只 見 中 学 校 の 再 利 用 を す る 声 も あ る が 、床 上 浸 水 は し な か っ た も の
の 、今 回 の 豪 雨 時 の 屋 外 の 状 況 、ア ク セ ス の 状 況 を 考 え る と 、設 置 に 適
さない位置であることが分かった。
41
写 真 4-4
旧只見中学校水害の状況 1
写 真 4-5
旧只見中学校水害の状況 2
42
D-2
D-2-1
地震に対する安全性
必要な安全レベル
只 見 町 の 災 害 で 歴 史 的 に は 水 害 が 多 い 。し か し 、最 も 危 険 と さ れ て い
る の は 、 図 4-7に 示 す 、 会 津 盆 地 西 縁 断 層 帯 に よ る 地 震 災 害 で あ る 。
会津盆地西縁断層帯
図 4-7
会津盆地西縁断層帯位置
地 震 の 予 想 は 表 4-5の 通 り 福 島 県 は 防 災 計 画 で 示 し て い る が 。 表 中 の
④ の 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震( 以 下 : 東 日 本 大 震 災 )に お い て は 実 際 M9.0
で あ っ た 。マ グ ニ チ ュ ー ド は 、そ の 値 が 1 異 な る と 、エ ル ギ ー が 32倍 大
き く な る と い う 関 係 が あ る 。今 回 の 東 日 本 大 震 災 で も マ グ ニ チ ュ ー ド が
1.3上 回 っ て お り 、 予 想 を は る か に 超 え た エ ネ ル ギ ー が 襲 っ た と い っ て
よい。
マグニチュードとエネルギーの関係
地 震 が 発 す る エ ネ ル ギ ー の 大 き さ を E( 単 位 : ジ ュ ー
ル )、 マ グ ニ チ ュ ー ド を M と す る と l o g 1 0 E = 4 . 8 + 1 . 5
Mと い う 関 係 が あ る 。 こ れ は 地 震 の エ ネ ル ギ ー が 1000
倍 に な る と マ グ ニ チ ュ ー ド が 2増 え る こ と を 意 味 す る 。
逆 に 、 マ グ ニ チ ュ ー ド が 1大 き い と エ ネ ル ギ ー は 約 32
倍 大 き い ( 1 0 1 . 5 = √ 1 0 0 0 ≒ 3 1 . 6 2 )。 ま た 、 マ グ ニ
チ ュ ー ド で 0.2 の 差 は エ ネ ル ギ ー で は 約 2 倍 の 差 と な
る ( 101.5×0.2 = 100.3 ≒
43
1 . 9 9 5 )。
福 島 県 の 防 災 計 画 で も 、図 4-8只 見 町 役 場 付 近 の 最 大 震 度 は M5-と し て
い る が 、今 後 は 想 定 外 の こ と と せ ず 、大 き な 震 度 で も 耐 え ら れ る 必 要 性
がある。
表 4-5
福 島 県 に よ る 地 震 の 予 想 ( 福 島 県 防 災 計 画 書 H21よ り )
地震名
マグニチュード
① 福島盆地西縁断層帯
(台山断層・土湯断層)を震源とする地震
内陸部
②会津盆地西縁断層帯をを震源とする地震
M7.0
震源深さ等
震源深さ
10km
長さ
20km
幅
M7.0
震源深さ
10km
長さ
20km
幅
③双葉断層北部(塩手山断層)を震源とす
る地震
海洋部
④福島県沖を震源とする地震
M7.0
10km
長さ
20km
5km
震源深さ
20km
長さ
60km
幅
図4-8
5km
震源深さ
幅
M7.7
5km
100km
会津盆地西縁断層帯を震源とした震度分布図(福島県防災計画書H21より)
44
現在立て替えが検討されている庁舎と只見地区センターの耐
震 診 断 は 表 4-6 の と お り で あ り 、地 区 セ ン タ ー に 関 し て は 現 在
封鎖されている状況である。
表 4-6
役場立て替えに関連する施設の耐震診断ランク
耐震診断
構造型式
構造型式
C
RC 造
耐震
審査対象外
RC 造
耐震
D
RC 造
耐震
施設名
判定ランク
現只見町役場
現只見町役場(増築棟)
只見地区センター
※役場増築部分に関しては、新耐震基準のため、耐震診断の必要がない。
耐震ランクの評価内容を、表4-7に示す。
表4-7
ランク
判定
耐震診断ランク
建築物の構造耐震指標値
Is
構造耐力上重要な部分の自身に対する安全性(耐震
性能)
A
Is≧Iso
大地震に震動及び衝動に対して倒壊し、又は崩壊す
る危険性が低い。
B
Iso >Is≧0.6※1
大地震に震動及び衝動に対して倒壊し、又は崩壊す
る危険性が低いが、施設性能が確保できない恐れが
ある。
C
0.6※1>Is≧0.3※1
大地震に震動及び衝動に対して倒壊し、又は崩壊す
る危険性がある。
D
0.3※1>Is
大地震に震動及び衝動に対して倒壊し、又は崩壊す
る危険性が高い。
(注)※1 財団法人日本建築防災協会「既存鉄筋コンクリート像建築物の耐震診断基準」の第一診断法による場合は0.6を0.8と、
0.3を0.4と読み替えて適用する。
※2 大地震とは、建築物の耐用年月中に一度は遭遇するかもしれない地震であり、震度6強から震度7を想定。
※3 施設性能とは、大地震後、当該建築物が大きな補修することなく防災活動、避難、救護活動、医
療活動等の拠点として使用できることをいいます。
※ 【 I s 値 】 :I s 値 と は 、 「 構 造 耐 震 指 標 」 と い い 、 耐 震 診 断 で 判 断 の 基 準 と な る 値 で す 。 昭 和 5 6
年 ( 1981 年 ) 6 月 1 日 に 改 正 さ れ た 現 在 の 耐 震 設 計 基 準 ( 新 耐 震 基 準 ) で は 、 大 地 震 時 に 必 要 な 「 保
有 水 平 耐 力 」( 建 築 物 が 地 震 に よ る 水 平 方 向 の 力 に 対 応 す る 強 さ ) を 建 築 物 が 保 有 し て い る か ど う か を
検 討 す る よ う に 規 定 し て い ま す 。 一 方 、 昭 和 5 6 年 (1981 年 )5 月 3 1 日 以 前 の 旧 耐 震 設 計 基 準 ( 旧 耐
震 基 準 )の 建 築 物 は 、設 計 方 法 が 現 在 と 異 な る た め 、現 在 と 同 様 な「 保 有 水 平 耐 力 」に 基 づ く 方 法 で 耐
震 性 の 検 討 を 行 う こ と が で き ま せ ん 。こ の た め 。耐 震 診 断 で は 見 地 器 物 の 強 度 や 粘 り に 加 え 、建 築 物 の
形状や経年状況を考慮した耐震指標=Is 値を計算します。
新 庁 舎 に お い て は 、 表 4-8 の 国 土 交 通 省 が 示 す よ う に 、 構 造 体 、 非 構
45
造 部 材 、設 備 の す べ て の 部 分 に お い て 最 も 安 全 性 の 高 い 構 造 型 式 と す る 。
構造体=Ⅰ類
建築非構造部=A 類
表 4-8
建築設備=甲類
官庁施設の総合耐震計画基準
耐震安全性の目標
施
設
用
の
対
途
象
施
設
②建築非
①構 造 体
(表 3-2)
構造部材
(表 3-5)
③建築設備
(表 3-6)
指定行政機関入居施設
指定地方行政ブロック機関入居
施設
災害対策の指揮、情報
伝達のための施設
I
類
東京圏、名古屋圏、大阪圏及び
地震防災対策強化地域にある指
A
類
甲 類
A
類
甲 類
A
類
乙 類
A
類
甲 類
定地方行政機関入居施設
指定地方行政機関のうち上記以
外のもの及びこれに準ずる機能
II
類
I
類
を有する機関入居施設
病院関係機関のうち、災害時に
被災者の救助、緊急医
療活動等のための施設
避難所として位置づけ
られた施設
拠点として機能すべき施設
上記以外の病院関係施設
II
類
II
類
I
類
学校、研修施設等のうち、地域
防災計画で、避難所として指定
された施設
放射性物質又は病原菌を取り扱
う施設、これらに関する試験研
危険物を貯蔵又は使用
する施設
究施設
石油類、高圧ガス、毒物等を取
り扱う施設、これらに関する試
II
類
II
類
B
類
乙 類
III
類
B
類
乙 類
験研究施設
多数のものが利用する
施設
学校施設、社会教育施設、社会
福祉施設等
一般官庁施設
その他
(上記以外のすべての官庁施
設)
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修
46
①構造体=Ⅰ類
建 物 の 構 造 体 に 関 し て は 指 針 で 表 4-9 の よ う に な っ て お り 、 通 常 の
1.5 倍 の 地 震 力 を 想 定 し て 構 造 計 算 を お こ な い ま す 。こ の こ と に よ っ て 、
大地震の際にも防災拠点としての機能を損なうことなくその機能が発
揮できる。また、災害後も補修金額が膨大になる恐れが無い。
表 4-9
耐震安全性
の分類
耐震安全性の分類
耐震安全性の目標
保有すべき性能
重要度
係数(I)
大地震
時の変
形制限
RC 造
Ⅰ類
特に構造体の耐
震性能の向上を
図るべき施設
Ⅱ類
構造体の耐震性
能の向上を図る
べ施設
大地震動後、構造体の補修を
することなく建築物を使用で
きることを目標とし、人命の
安全確保に加えて十分な機能
確保が図られている。
SRC 造
大地震に対して無被害あるい
は軽微な損傷にとどまり、直
ちに補修を必要とするような
1.5
1/200
S造
体力低下を招くことが無い。
1/100
大地震動後、構造体の大きな
補修をすることなく建築物を
使用できることを目標とし、
人命の安全確保に加えて機能
確保が図られている。
大地震に対して、比較的小さ
な損傷にとどまり、直ちに大
きな補修を必要とする追うな
1.25
体力低下を招くことがない。
Ⅲ類
大地震動により構造体の部分
大地震に対しての部分的な損
建築基準法に基
的な損傷は生じるが、建築物
傷は生じるものの、倒壊・部
く構造体の耐震
全体の耐力の低下は著しくな
分崩壊などの大きな損傷は発
性能を確保する
いことを目標とし、人命の安
生せず、著しい体力低下を招
施設
全確保が図られてい る。
くことがない。
1.0
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修
※重要度係数
重 要 度 係 数 は ( I ) は 、「 建 物 に 要 求 さ
れ る 機 能 及 び そ れ が 位 置 す る 地 域 的 条 件 に 応 じ て 、大 地
震 に よ り 建 築 物 に 生 ず る 変 形 を 制 御 す る と と も に 、強 度
を向上させるための係数」として設定されたものです。
こ れ は 、Ⅰ 類 及 び Ⅱ 類 の 建 物 に 対 し て は 機 能 性 確 保 の 観
点からさらに強度を向上させるための基準となってお
り 、建 築 物 に 入 力 さ れ る 地 震 の 力 を 割 り 増 し し て 想 定 し 、
通常よりも高い耐震性をもたせるものです。
47
..
..
..
免振構造、制振構造、耐震構造の検討
D-2-2
構 造 計 画 に 関 し て は 大 き く 、以 下 の 6 つ の ポ イ ン ト に 注 意 を 払 い 設 計
を行うこととする。
1
建物の機能に応じた体力の確保
2
地震時に生じる変形量の制限
3
柱や壁などの耐震要素のバランスのよい、かつ十分な配慮
4
地盤の十分な把握とそれに基いた基礎の選定
5
天井の落下(議場など大空間の吊天井)
6
免振構造、制振構造、耐震構造の検討
7
積雪時の地震
特に重要で大きな問題「6
免振構造、制振構造、耐震構造の検討」
である。
そ れ ぞ れ は 、地 盤 の 状 況( 硬 い 、軟 ら か い な ど )、建 物 構 造 の 種 類( 木
造 、 鉄 骨 造 、 コ ン ク リ ー ト 造 な ど )、 建 物 の 形 ( 正 方 形 、 細 長 、 L 型 な
どなど)によって効果が異なってくるが、一般的には地震に対しては、
免震構造
>
制震構造
>
耐震構造
の順に望ましい。
特 に 、防 災 の 拠 点 で あ る 、庁 舎 に 関 し て は 、多 く の 自 治 体 が 、既 存 の
建物でも免震化を進めている。
そ の 大 き な 特 徴 は 写 真 4-6 に 示 す よ う な 、 分 厚 い ゴムの 上 に 建 物 を 載
せ る こ と で 、 地 震 の エ ネ ル ギ ー を こ の ゴムが 吸 収 し 、 建 物 は ゆ っ く り と
左 右 に 揺 れ る 程 度 で 、激 し い 揺 れ は 無 く 、安 全 で あ る と 同 時 に 家 具 の 散
乱なども無く、地震特後でも損傷無く機能を果たすことができる。
一 方 で 、こ の 装 置 を 施 工 す る コ ス ト と 定 期 的 な メ ン テ ナ ン ス が 必 要 で
ある。
図 4-9 に 示 す よ う に 、耐 震 構 造 は 、壊 れ な が ら エ ネ ル ギ ー を 吸 収 し て
い く た め 、地 震 の 最 中 も 什 器 や 窓 ガ ラ ス 、扉 等 の 崩 壊 や 変 形 が 考 え ら れ 、
大 地 震 の 場 合 、地 震 が お さ ま っ た あ と に 、事 務 所 空 間 の 使 用 が 不 可 能 に
48
なる可能性が高い。
一方で、免震構造は建物にエネルギーがわずかしかはいらないので、
ゆっくり揺れるだけでおさまる。
制 振 構 造 は 、こ の 間 の 構 造 で 、エ ネ ル ギ ー を 一 部 に 集 中 さ せ 、崩 壊 す
る 部 分 を は じ め か ら 想 定 し て お き 、崩 壊 後 そ の 部 材 を 交 換 す る と い う 考
え方である。
写 真 4-6
図 4-9
免震構造
耐震と免震の揺れの差
建 物 の 形 状 と 地 盤 条 件 等 の 条 件 が 整 え ば 、免 震 構 造 が 最 も 好 ま し い が 、
コスト面で費用がかかる問題がある。
49
以下に、それぞれの構造の特徴とメリットデメリットをまとめる。
表 4-10
.
免振構造、制振構造、耐震構造のメリットでデメリット
耐震構造
地震に対
する方針
地震時の
揺れかた
メリット
デメリット
制振構造
免振構造
建物に入り込んだ地震 地盤と建物を絶縁するこ
構造体を強固にするこ
エネルギーを吸収する とによって、地震エネルギ
とで、地震に耐える。
機構によって制御する。 ーを建物に入れない。
上階ほど揺れは激しく
上階、下階共に小刻み
なるが地震エネルギー 建物全体が大きくゆっく
に激しく揺れる。揺れ
を制御機構が吸収する り揺れるので揺れの激し
の激しさは上階ほど大
ため、揺れの大きさは耐 さは小さい。
きい。
震建物よりも小さい。
構造体の破損が軽減さ
れるため繰り返しの地
維持管理が容易で費用
震に有効。維持管理費は
がかからない。
免振に比べてかからな
い。
建物がゆっくり揺れるの
でひび割れなどの損傷が
少なく、家具などの転倒も
少ない。
施工時には、最下階に免振
建物の壁がひび割れた
装置の階の施工が必要で
り、屋内の家具が倒れ
大地震等の震災後に点 あり、定期的な点検が必要
たりすることがある。
なため、維持管理費がかか
検が必要。
また、大地震後の補修
る。大地震等災害後に点検
費が多額となる。
が必要。
構造
概念図
50
表 4-11 に 、 構 造 型 式 別 の の ポ イ ン ト を ま と め る 。
表 4-11
構造型式のポイント
耐震
制震
免震
備
考
×
△
◎
散乱しない方を◎とする
初期投資
◎
○
△
初期投資が少ない方を◎とする
維持管理
◎
○
△
震災直後の室内
の散乱
維持費がかからない方を◎とす
る
復 旧 コストが か か ら な い 方 を ◎ と
震災後の復旧費
×
△
◎
する
防 災 拠 点 と す る た め に は 、免 震 構 造 か 制 震 構 造 を 検 討 す る も の と す る 。
免 震 構 造 と 制 振 構 造 及 び 耐 震 構 造 の 違 の 一 つ に は 、地 震 直 後 揺 れ の 少
な い 免 震 構 造 の 方 が 、建 物 内 部 の 家 具 等 々 が 耐 震 構 造 に 比 べ て 崩 れ 難 い
こ と か ら 、直 後 の 役 場 の 防 災 機 能 が 発 揮 し や す い 点 が あ る 。ま た 、震 災
後 の 修 繕 費 を 考 え る と 免 震 構 造 が 好 ま し い と 思 わ れ る 。一 方 で 、初 期 投
資 が 高 く な る な ど の 問 題 点 や 地 盤 や 建 物 の 形 状 や 階 数 、に よ っ て 適 さ な
い 場 合 も あ る の で 、建 物 の 形 状 な ど が 決 ま っ た 段 階 で 検 証 す る 必 要 が あ
る。
建 物 形 状 や 地 盤 の 状 況 に よ っ て は 、構 造 設 計 者 に よ っ て 意 見 が 分 か れ
る 場 合 が あ る の で 、明 確 な 判 断 が 難 し い 場 合 に は 、セ カ ン ド オ ピ ニ オ ン
的な構造設計者に意見を求め決定をすることも検討する。
51
※免震構造のコストのポイント
現 在 、庁 舎 の 立 て 替 え の 場 合 免 震 化 が 進 め ら れ て い る 。新 築 で な く と
も メ ー ン の 建 物 を 改 修 し て 免 震 化 す る な ど の 措 置 が と ら れ て い る 。免 震
構 造 は( 写 真 4-6、図 4-9
p49)の よ う な 型 式 の 基 礎 を 取 り 、半 地 下 を
掘 っ て 施 工 す る 方 式 と な る た め 一 般 的 に は 5% 程 度 コ ス ト ア ッ プ す る
と い わ れ て い る 。一 方 で 免 震 構 造 に す る こ と で コ ス ト ダ ウ ン さ れ る 部 分
もある。
○コストアップ要因
・免震部材が必要になる
・免震ピット層が増える(掘削・躯体費)
・設備の可撓配管費用が増える
○コストダウン要因
・ SRC 造 か ら RC 造 へ と 容 易 に 変 更 で き 、 鉄 骨 が 不 要 に 通 常 の 耐 震 建
物より躯体のスリム化、断面・配筋の低減が可能
・杭径や杭筋が小さくなる
D-2-3
....
建築非構造部の耐震設計
阪 神 大 震 災 、東 日 本 大 震 災 で も 大 き な 問 題 に な っ た 非 構 造 部 材 に 関 し
て は 表 4-12 の と お り 目 標 を 設 定 す る 。
表 4-12
分類
.
官庁施設の総合耐震計画基準(非構造部)
耐震安全性の目標
大地震動後、災害応急対策活動や被災者の受け入れの円滑な実施、又は危険
A
類
物の管理のうえで、支障となる建築非構造部材の損傷、移動等 が発生しない
ことを目標とし、人命の安全確保と二次災害の防止が図られている。
大地震動により建築非構造部材の損傷、移動等が発生する場合でも、人命の
B
類
安全確保と二次災害の防止が図られている。
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修
52
建築非構造部に関しては以下の 2 点を留意して設計をおこなうものと
する。
1
機器、家具などが移動、転倒しない設計
2
外壁、天井、ガラスなどが破損、落下しない設計
特 に 、吊 天 井 な ど の 崩 壊 ・ 落 下 に よ る 死 亡 事 故 な ど も 多 数 起 こ っ て お
り、設計においては十分留意するものとする。
D-2-4
..
建築設備の耐震設計
表 4-8 の 設 備 性 能 の 安 全 性 の 目 標 は 表 4-13 の 通 り と す る 。
..
表 4-13 官 庁 施 設 の 総 合 耐 震 計 画 基 準 ( 設 備 性 能 )
分類
耐震安全性の目標
運転時間
大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防
甲類
止 が 図 ら れ て い る と 共 に 、大 き な 補 修 を す る こ と
72 時 間 程 度
なく、必要な設備機能を相当期間継続できる。
大地震動後の人命の安全確保及び二次災害の防
乙類
10 時 間 程 度
止が図られている。
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修
※ 発 電 設 備 運 転 時 間 に つ い て は 、建 築 設 備 設 計 基 準
設備性能に関しては以下の 3 点を特に留意して設計をおこなうものと
する。
1
水道やガスなどの配管が破損しない設計
2
電話やファックスなどの連絡機能が確保される設計
3
震災後の活動に必要な水や電気が確保される設計
3 の 震 災 な ど の 対 応 に 関 し て は 、特 に 以 下 の 3 点 に つ い て 留 意 す る も の
とする。
53
・非常時汚水貯留槽
下水が使用できない場合には配管等を切り替えて一時的に汚水
を保留できる、非常時汚水貯留層を確保する。またこの非常時汚
水保留層に結んで非常用トイレを設置できるマンホールを用意す
る。
・非常用発電
非常時における館内停電は極めて影響力が大きい。万一落雷な
どが落ちて停電した場合には直ちに非常用発電を起動させるもの
とする。この非常用発電機の設置場所も安全性の高い場所を選定
する。
・非常用設備
共用の空間であるロビーなどはコンセントや暖房設備を十分用
意し、災害時の一時避難場所にもつかえるような配慮もしておく
ものとする。
ま た 、 そ の 他 表 4-14 の 対 策 方 法 に 関 し て 検 討 す る も の と す る 。
表 4-14
電
力
ライフラインの冗長化
情報通信
給排水・衛生
飲 料 水・雑 用 水 の 確 保
重要変圧回路の二重
化
引き込みの二重化・
2ルート
光ファイバーとメタ
ル回線の引き込み多
重化
多通信事業者引き込
み対応
発電機の72時間以
上の運転対応
重要機器電源の二重
化
排水バックアップ水
槽
直流電源設備の設置
無停電バッテリーの
設置
仮設屋外便所の汚物
層の設置
重要機器幹線の二重
化
電 話 ・ 放 送 ・ TV な ど
の情報伝達機能の確
保
発電機電源で機能を
確保
引 き 込 み の 二 重 化・2
ルート
変電設備の不燃化
照明と必要電源の確
保
上 水・井 戸 水・雨 水 水
源の多様化によるバ
ックアップ
受水槽の緊急遮断弁
設置
重要室に新ガス消化
設備の設置
多目的スペースなど
に医療用酸素の供給
54
空
調
熱源エネルギーの
二次元化
重要室の空調機の
二次元化
発電機電源で必要
な空調・換気設備
の機能確保
熱源エネルギーの
72 時 間 以 上 の 備 蓄
D-3
豪雪に対する安全性
豪雪に対する安全対策は、主に豪雪時における、別の災害が起こっ
た場合と考えられる。特に豪雪時期の震災時である。
この場合、以下の2点に関して設計で考慮するものとする。
①豪雪時、除雪機能が麻痺しても、役場庁舎からの出入りができるよ
う、2階から外部へのアクセスが容易にできる出入口を設置してお
く。
②敷地の形状や豪雪時の状況から考えて、建物は耐雪構造となると考
えられる。災害時にも容易に屋根の雪を落とせるような形状及び屋上
への出入口の工夫を施すものとする。
D-4
D-4-1
防災指示拠点、避難場所としての機能
防災指示拠点
2011 年 7 月 末 の 豪 雨 に 対 し て 役 場 の 1 階 に 災 害 対 策 本 部 が 設 置 さ れ
た。しかしながらこの位置は役場全体を見渡せる位置にはなく、町長、
副 町 長 、総 務 課 長 な ど の 指 揮 系 統 は 2 階 に あ る あ る た め に 職 員 が 頻 繁 に
階段を上下する光景が見られた。
新 庁 舎 は 規 模 か ら 鑑 み て 複 数 階 構 成 と な る 。通 常 の 利 用 状 況 に よ っ て
配 置 が 決 定 さ れ る べ き で あ る こ と か ら 考 え る と 、災 害 時 に は 一 室( 議 場
及 び 控 え 室 が 望 ま し い )に 防 災 指 示 室 を 集 約 で き る よ う に 設 備 配 置 を お
こなうことが必要である。
55
写 真 4-7
写 真 4-8
福 島 県 い わ き 市 議 場 (通 常 時 )
福 島 県 い わ き 市 議 場 (災 害 対 策 本 部 時 )
写 真 は 、い わ き 市 の 災 害 対 策 本 部 設 置 の 例 で あ る が 、規 模 の 大 き い 災
害 に 関 し て は 、指 示 系 統 を 明 確 に す る 点 か ら 、一 室 に 拠 点 を 集 中 さ せ る
必 要 が あ り 、こ の よ う に 議 場 を そ の ま ま 使 用 す る こ と が 望 ま し い 。そ の
た め 、有 事 の 際 必 要 な 設 備 や ネ ッ ト ワ ー ク 体 制 を 整 備 し て お く 必 要 が あ
る。
56
議 場 の レ イ ア ウ ト は 、通 常 時 の 議 場 レ イ ア ウ ト を 優 先 と す る が 、通 路
の確保など、緊急時にも対応できるよう配慮するものとする。
ま た 建 築 の 配 置 計 画 に よ り 、積 雪 に よ る 庁 舎 低 層 部 機 能 麻 痺 の 可 能 性
が 想 定 さ れ る 場 合 は 、二 階 以 上 に 配 置 し 、か つ 二 方 向 避 難 が 可 能 な 計 画
とする。
D-4-2
非常食について(防災本部のための非常食)
役 場 庁 舎 単 独 整 備 の 場 合 に 、防 災 本 部 の た め の 非 常 食 を 確 保 す る た め
に 表 4-15 の 人 数 を 想 定 し 、 備 蓄 量 を 算 出 す る も の と す る 。
表 4-15
役職
防災本部の人数
備
人数(人)
災害対策本部員
本部長
1
町長
副本部長
2
副町長、教育長
総務企画課長
1
町民生活課長
1
産業振興課長
1
保健福祉課長
1
環境整備課長
1
会計管理者
1
只見地区センター長
1
朝日地区センター長
1
明和地区センター長
1
教育次長
1
議会事務局長
1
消防団長
1
合計(人)
考
15
そ の 他 職 員 等 を あ わ せ 、 合 計 100 人 の 想 定 と す る 。
建 築 設 計 資 料 「 役 場 庁 舎 」 52,P.14〜 17 の 備 蓄 量 算 出 フ ロ ー を 用 い て 備
蓄に必要な面積を算出する。
57
表 4-16
防災本部の非常食
①非常食(乾パン算出)
②耐寒衣布類(毛布換算)
100×3 食 ×3 日 = 900 食
100×1/10= 10 梱
900÷128 食 = 8 梱
10×0.45m×0.7m= 3.15 ㎡
8×0,26m×0,5m= 1.04 ㎡
5 段積みで
5 段積みで
0.21 ㎡
0.63 ㎡
③ 非 常 用 飲 料 水 ( ペ ッ トホ ゙ ト ル換 算 )
④簡易ベッド
100×3L×3 日 = 900L
100÷2÷2= 25 台
900L÷1.5L÷6 本 = 100 梱
25×1.05×0.22= 5.775
100×0.34 ㎡ ×0.33 ㎡ = 11.22 ㎡
4 段積みで
3 段積みで
2.81 ㎡
1.93 ㎡
⑤作業スペース
①+②+③+④
5.59 ㎡
備蓄面積
① +② +③ +④ +⑤ = 11.17 ㎡
し た が っ て 、 12 ㎡ 程 度 の 倉 庫 を 設 置 す る も の と す る 。
D-4-3
避難場所
避難場所は、町全体で総合的に調整する必要がある。現状の公共施
設 の 耐 震 性 能 か ら 考 え る と 、新 庁 舎 に は 多 く の 人 が 避 難 で き る ス ペ ー ス
の 設 置 が 望 ま し い が 、地 区 セ ン タ ー と の 合 築 や 併 設 の 関 係 か ら も 面 積 を
鑑みる必要がある。
平 成 17 年 度 に お い て は 只 見 地 区 セ ン タ ー 、短 期 収 容 人 数 558 人 を 想
定 。長 期 で は 350 人 を 想 定 し て い る 。新 庁 舎 に お い て は 、議 会 と 多 目 的
ホ ー ル の 兼 用 も 考 え ら れ る こ と 、他 の 公 共 施 設 の 耐 震 レ ベ ル 、及 び 今 後
の防災計画を見直した上で決定するものとする。
現 在 の 只 見 地 区 セ ン タ ー に 関 し て は 、表 4-17 の よ う に 不 足 を し て い
58
る。只見地区センターの計画と共に設定する必要がある。
表 4-17
現在の避難面積
多目的ホール
265 ㎡
音楽ホール
82 ㎡
和室
86 ㎡
会議室合計
253 ㎡
面積合計
686 ㎡
686 ㎡ ÷550 人
1.24 ㎡
短 期 : 1.65 ㎡ ※
686 ㎡ ÷350 人
1.96 ㎡
長 期 : 3.5 ㎡ /3 ㎡ ※
※ UNHCR(国 際 難 民 高 等 弁 務 官 事 務 所 、 市 町 村 地 域 防 災 計 画 )
ま た 、人 口 は 減 少 傾 向 だ が 、合 築 及 び 併 設 の 場 合 、庁 舎 の 認 識 が 増 え
避難の人数も多くなると想定する。
D-5
防災備蓄機能
通 常 、都 市 に お け る 、備 蓄 量 は 、全 住 民 の 7 日 分 の 量 を 目 標 と し て い
るが、地方自治体においては、3日分を目標としているところが多く、
財 政 の 問 題 か ら 、県 = 1 日 、自 治 体 = 1 日 、住 民 = 1 日 と し て い る と こ
ろ も あ る 。 今 後 、 只 見 町 は 町 と し て 1日 分 の 食 料 を 確 保 す る 方 針 。
備 蓄 は 、リ ス ク 回 避 の た め 分 散 備 蓄 す る こ と が 望 ま し い が 、避 難 同 様
新 庁 舎 は 、地 震 に 強 い こ と か ら 、避 難 者 の 数 も 多 く な る こ と が 想 定 さ れ
るため、新庁舎での多目の備蓄が好ましいと考える。
59
E
コンパクトな庁舎
2 回 行 な っ た 住 民 説 明 会 で は 、併 設 も し く は 合 築 に 前 向 き な 意 見 が 多
か っ た 。特 に 、建 設 コ ス ト の 削 減 と 無 駄 な も の は 建 設 し な い と い っ た 観
点からの意見が出された。
現 に 、各 地 の 庁 舎 で は 自 治 体 の 規 模 が 縮 小 し た り 財 政 難 か ら 多 く の 市
町村が、共有できる空間は共有する動きが盛んである。
無 駄 を 省 く と 同 時 に 、共 有 で き る も の を で き る だ け 共 有 し 、建 設 コ ス
トと維持管理費を下げることを検討する。
こ こ で は 、地 区 セ ン タ ー と 合 築 も し く は 併 設 す る 場 合 に お い て 、共 有
で き る 空 間 を 検 討 す る 。ま た 地 区 セ ン タ ー に 関 し て は 、現 在 そ の 中 身 に
関 し て は 論 議 が お こ な わ れ て い な い た め 、各 室 面 積 は 人 口 規 模 か ら み て
相応なものを仮定するものとする。
E-1
役場庁舎と地区センターの共有
E-1-1
議場と多目的ホール
議 会 は 通 年 議 会 と な っ た も の の 、表 4-16 の よ う に 年 間 に 多 く て も 通
算1ヶ月程度しか開催されていない。
表 4-18
近年の議会開催日数
年度(平成)
開催日数(日) 備 考
20年度
19日
21年度
21日
22年度
21日
23年度
23日
2月・3月の見込み含む
............
近年の小さな町村では、議会の威厳を損なわないデザインを行い、
レ イ ア ウ ト 自 由 に で き る 空 間 を 作 り 、多 目 的 ホ ー ル と し て 利 用 可 能 と
しているところもある。
以 下 に 示 す 事 例 ( 写 真 4-8∼ 13) は 、 千 葉 県 東 庄 町 の 事 例 で あ る 。
議 場 を 待 ち の 多 目 的 と し て 利 用 で き る よ う 設 計 し て い る と 同 時 に 、議
会の権威を損なわないようなデザインとしている。
また、ホールと兼用することで、天井高も高く確保できている。
60
写 真 4-8
写 真 4-9
写 真 4-10
61
写 真 4-11
写 真 4-12
写 真 4-13
62
100 人 程 度 の 集 会 が 予 想 さ れ る( 町 で は 300 人 程 度 の 行 事 が ま れ に 発
生 す る こ と も あ る が 、そ れ ら は 、
「 湯 ら 里 」で 対 処 で き る と 考 え ら れ る )
が 、 1 人 当 た り 2 ㎡ で 換 算 す る と 、 200 ㎡ で あ る 。 現 状 の 議 場 は 200 ㎡
で あ り 、 こ れ に 50 ㎡ 程 度 の 舞 台 を 設 置 す る と 250 ㎡ と な り 、 議 場 と 多
目的ホールの兼用ができる面積となる。
別 々 に 建 設 す る と 、 200( 議 場 ) +250( 多 目 的 ホ ー ル ) = 450 ㎡ で あ
る が 、 共 有 す る と 200 ㎡ 程 度 減 面 積 で き る 。
E-1-2
会議室・議場控室と多目的室
役場の会議室も定時を過ぎると利用する機会は少ない。
ま た 、各 課 に 簡 易 な 打 ち 合 わ せ コ ー ナ ー を 作 っ た り 、相 談 室 を 利 用 す
る な ど す る こ と で 、現 在 で も 行 わ れ て い る 大 き な 会 議 室 を 数 人 で 利 用 す
ることも少なくなる。
総務省起債対象事業算定基準に よ る 役 場 面 積 の 算 定 に よ る と 、議 場 関 係( 議
場 、委 員 会 室 、議 員 控 室 等 )の 面 積 は 約 420 ㎡ で あ り 、そ の う ち 議 場 を
現 状 の 200 ㎡ と 仮 定 す る と 、 420-200= 220 ㎡ 。 こ れ を 委 員 会 室 、 議 員
控 え 室 ×2 室 、 合 計 3 室 で 割 る と 1 室 約 70 ㎡ 程 度 で あ る 。 こ の ほ か 、
職 員 の 会 議 室 を 50 ㎡ と す る 。
一 方 、地区 セ ン ター は 、調理 室 、和室 、書 庫の 共 用 は難 し い が、議会
の 開 催 が 1 ヶ 月 程 度 と 利 用 頻 度 が 低 い こ と か ら 、議 員 控 え 室 ×2 室 は 共
用できる。また、職員の会議室も定時以降の利用頻度は低いことから、
こ の 3 室 が あ れ ば 、地 区 セ ン タ ー の 多 目 的 室 と 視 聴 覚 室 は 十 分 に 共 有 が
可 能 で あ る 。 つ ま り 、 50×3 室 = 1 5 0 ㎡ は 共 有 が 可 能 と 考 え ら れ る 。
表 4-19
役場庁舎と地区センターの共有
役場庁舎
室名
地区センター
面積
室名
面積
議員控え室1
70 ㎡
←共有
多目的室 1
50 ㎡
議員控え室2
70 ㎡
←共有
多目的室 2
50 ㎡
会議室
50 ㎡
←共有
視聴覚室
50 ㎡
調理室
70 ㎡
和室
60 ㎡
書庫
50 ㎡
63
E-1-3
合築による更なる共有
合築することによって、併設よりさらに共有が可能となる。各階の
トイレや役場・地区センターそれぞれのエレベーターを共有すること
ができるほか、廊下等も共有可能となる。
現 時 点 で は 概 算 と な る が 、 表 4-18の よ う に 、 1 0 0 ㎡ 程 度 の 共 有 が 可 能
と考えられる。
表 4-20
役場庁舎と地区センターの共有
役場庁舎
室名
地区センター
面積
室名
面積
ト イ レ 1F
30 ㎡
←共有
ト イ レ 1F
30 ㎡
ト イ レ 2F
30 ㎡
←共有
ト イ レ 2F
30 ㎡
ト イ レ 3F
30 ㎡
←共有
ト イ レ 3F
30 ㎡
5㎡
←共有
EV
EV
ロ ー ビ ー・廊 下
ロ ー ビ ー・廊 下
5 ㎡
-
※ロービーや廊下は、通常共有可能であるが、どのの程度共有できるか困難の
ため共有を想定しないものとする。
E-2
共有による、併設、合築の場合の減面効果
..
..
E-1 よ り 、 役 場 庁 舎 と 地 区 セ ン タ ー を 併 設 し た 場 合 と 合 築 し た 場 合 そ
れ ぞ れ 、単 独 の 場 合 に 比 べ て 350 ㎡ 、 450 ㎡ 程 度 の 面 積 を 少 な く 整 備 可
能である。
表 4-21
減面効果
整備面積
単独
-
併設
単 独 -350 ㎡
合築
単 独 -450 ㎡
64
第5章
求められる機能と各整備方針
65
5-1
ア
町民利用機能
案内機能
小規模のため、案内機能は、町民生活課+保健福祉課の窓口機能と兼ねる程度
で十分である。町民生活課+保健福祉課以外に関しては、分かりやすくサインを
計画するものとする。
イ
窓口機能
○町民生活課+保健福祉課
町民が利用する頻度が多いので、入り口付近に設け、役場の案内機能を兼ね
るために、職員の一人は、カウンターで作業を行うことができかつ容易に、カ
ウンター外へ出て対応ができるデザインとする。
町民生活課の規模から考えて、現時点で町民が利用する点でワンストップの
状態になっていると思われる。案内機能を兼ねるため、住民課の一人はカウン
ターでの業務ができるように整備する。
植栽などを使って、町民が気兼ねなく訪れることができ、気兼ねなく座るこ
とのできる、雰囲気で計画する。
また、小さな子供がいる方々でも安心して利用できるベビーベッドやベビー
チェアを設置する。
○総務企画課+産業振興課+環境整備課
一般町民が訪問する頻度が低いため、案内板程度で、適切に誘導する。
現在、エレベーターが整備されていないので、上階の場合は整備が必要。
ウ
相談機能
他人にあまり聞いて欲しくない事などの相談を行うため、町民生活課+保健福
祉課で1室、総務企画課+産業振興課+環境整備課で2室整備する。
66
各室、4人程度で相談ができる程度のスペースを整備するものとする。3室す
べて、プライバシーに注意するが、時に町民生活課に関しては注意すること。
また、車椅子で入室できるように、配慮すること。
写真5-1
相談室例-1
写真5-2
相談室例-2
また、職員の簡単な打ち合わせも可能とし、各部署から利用しやすい位置に配
置する。
エ
銀行等テナント機能
銀行機能は協議の上設置を検討するものとする。
朝市などが行えるスペースを確保すると同時に、将来的にはテナントなどが
設置できるように、レイアウト変更ができるようなシステムとする
67
5-2
ア
町民協働関係
町民の利活用スペース
町民が様々な形でできる空間をとる。地区センターとの合築・併設の場合は
3章で記述のとおり、無雪広場や町民ロビーなど町民が積極的に利用できる空
間の設置を行うものとする。
エントランスは、町民が気軽にリビングのように使用できる空間として温か
みのある空間とする。コンピューターを使ったりや学校帰りに宿題をしたり、
新聞の閲覧や井戸端会議ができるような空間を目指すものとする。
また、NPOやボランティア活動などの活動もしやすいようにロビーなどにそ
れらに対応できるコーナーや水洗、台所などの設備を用意する。
イ
情報提供機能
来庁者の出入りや通行が多い部分に情報スペースを設ける。福祉やまちづ
くりなどの情報のパンフレットや掲示や閲覧できるようにする。
また、コンピューターで、行政資料、書籍の閲覧、ホームページを閲覧で
きるようにする。また、他の施設(たとえば図書館など)の情報の閲覧可能な
システムを設置する。
68
5-3
ア
行政機能関係
執務機能
職員の一体感を高め、全体の雰囲気を把握しやすい見通しのいい空間をつ
くるものとする。
職員の増減などや時代の変化とともにレイアウト変更が可能なように、執
務室は町長などの特別職にを除き、
各課を間仕切りやキャビネットで仕切るこ
となく自由に行き来できるレイアウトにするものとする。このことにより、見
通しがよくなり空間が固定的とならないことから、空間の不均衡にならなく、
スペースの有効活用が可能となる。
業務上のつながりに配慮するため、日常的に関係のある課は、隣接配置と
し、スムーズに移動できる広めの廊下などを確保し、業務上の効率化を図るも
のとする。
・将来対応
組織変更や町民ニーズに対応できるように、ユニーバーサルフロアとする。
このことにより空間が固定的にならず、フロアーが有効活用可能となる。さら
に什器を統一することから移動を最低限に抑えて移動コストなどの削減につ
ながる。
ユニバーサルフロア
あらかじめ同じサイズの机や銃器でレイアウトすることによ
って、組織の改変や異動、席の移動があっても、配線やネッ
トワークラインを変更することなく対応できるので、PC及び
書類の移動だけですむ。
イ
ICT機能
・フリーアクセスフロアー
情報化にあわせて、フリーフロアアクセス床を採用し快適でトラブルの
ない空間を確保する。
69
フリーアクセスフロアー構造
各種配線を床下に配線することで家具類の配置に影響されず
に配線できることや後からの変更を容易にできる。
・個別システムのサーバーの集約化
管理面の効率性および安全の向上を図るため、情報をシステムサーバー
を情報管理室に集約化するものとする。サーバー室は、今後の増大及びメ
ンテナンスのため十分なスペースを検討する。
オープン化
システムの構築や保守メンテナンスなどに必要な情報の公開
および標準化により、従来のメーカー1社の製品のみで構成
されたシステムから、様々なメーカーの組み合わせで構築さ
れるシステム(オープンシステム)に移行すること。
クラウド化
クラウドコンピューティング(サービス提供業者がデータセ
ンターに設置したシステムと利用者のコンピューターをイン
ターネット回線などで接続し、サービスだけを利用する情報
システムの形態)に移行すること。このシステムによって情
報システムが経済的かつ効率的に利用できる環境が整うとさ
れている。
・将来の情報化の動向を見据えた対応の検討
各自治体でも電子化が進んでいる。システムのオープン化やクラウド化
の検討を行います。同時にファイルサーバーの拡大等の情報インフラ整備
や工事関連業務等における電子納品等を推進する。
ウ
会議、打ち合わせスペース
・各課小打ち合わせコーナー
会議室への移動を減らすために各課に小さな立ち打ち合わせカウンター
を設置し、効率化を図る。また相談室などを利用するものとし、時間の短
縮と効率化を図る。
70
写真5-3
立ち打ち合わせ風景
・自由度の高い会議室
会議室は、研修やイベントなどの準備、大量発送業務から、小さな会議
などまで対応できる室を各階に専用で準備するものとする。同時に、地区
センターとの併設合築の場合には共用できるように、倉庫を設置し、役場
のものを片付けられるようにするものとする。
同時に、音響設備、映像設備も整備し、地区センター活動にも利用でき
るものとする。
エ
書庫、倉庫機能
・文書のスリム化と容量削減
ファイリングシステムを導入し、文章の性質に応じた保管方法とそれに
対応した書庫システムを導入するものとする。
さらに総合文書管理システム、電子決済システムを導入し、ICTを活
用した文書管理を進め文書保管量の軽減を図るものとする。
ファイリングシステム:必要な文書=情報を、いつでも、誰で
もが、迅速に、探し出して活用できる
ように管理するシステム。
・執務室の書庫
各課などの書庫は、壁面を利用し、視認性や開放性をに配慮して配置す
る。壁面収納は可動収納などを利用しできるだけ壁面収納とし、省スペー
ス化を図る。そのほかは、開放性を重視しカウンター一体型の収納を利用
し、対応や作業台として兼用できるものとする。
71
・永久保存文章の保管
永久保存文書や歴史的資料などの重要書類は、その劣化を防ぐ必要があ
る。そのため採光の遮断、空調による適切な温度と湿度管理を行う。
また、書庫室を耐火構造とするなどの対策を行う。
オ
福利厚生機能
一定の区画で温度の調整が可能な空調システムとし、冬や夏の室内温度を
局所的に調整できるものとする。
また、町民や職員の受動喫煙に配慮して、喫煙室を設置します。
・喫煙スペース
受動喫煙に配慮し各階に喫煙室を設ける。
カ セキュリティ関係
①防犯機能
執務室および重要情報や保管庫など、職員以外が入ってはならないスペー
スとその他の入って可能なスペースを明確に分け、設計を行うものとする。
地区センターとの合築などの場合には、夜間や休日の利用時間が異なるた
め、IC カード認証システムの導入を検討するものとし、用途や空間のセキ
ュリティレベルに合わせたセキュリティーを検討するものとする。
また、重要書類室や目の届きにくい空間には防犯カメラを設置し、不審者
の侵入を防ぐなどの検討を行うものとする。
②情報管理
ペーパーレスが進む一方で情報漏えいの可能性も高くなっている。電子情
報には個人情報や機密情報が含まれており、これらの電子情報の漏洩及びア
クセスの防止を図るためのシステムを導入しする。
また重要情報の滅失防止のため、二重のバックアップシステムを導入し、
非常時のサーバーの確保のための防火や非常時の電源確保をおこなうもの
とする。
72
第6章
73
庁舎の規模
6-1
建築床面積・建築面積及び階数の算定
6-1-1
床面積の算定
床面積規模の算定は、以下の3つの方式がある。
①総務省起債対象事業算定基準による算定
②国土交通省新営一般庁舎面積算定基準による算定
③他の都市の事例による算定
※③に関しては、近年同規模の庁舎の事例が少ないため割愛する。
①総務省起債対象事業算定基準による算定
①事務室
区分
人数
換算係数
特別職
2
部長・次長級
課長級
7
換算人数
単位面積
基準面積
20
40
240
9
0
0
5
35
210
6.0
課長補佐・係長級
10
2
20
120
0
2
0
0
一般職
60
1
60
360
計
79 (ア)
製図職員
155
930 (A)
②倉庫
(A)×13%
120.9 (B)
③会議室等(会議室、電話交換機室、便所、洗面所、その他)
(ア)×7
553 (C)
④玄関等(玄関、広間、廊下、階段、その他の通路部分)
<(A)+(B)+(C)>×40%
641.56 (D)
⑤議事堂等(議場、委員会室、議員控室等)※議員数11名
議員定数×35㎡
385 (E)
仮定
200 (F)
⑥その他銀行テナント、防災諸室
A+B+C+D+E+F
74
2,830 ㎡
②国土交通省新営一般庁舎面積算定基準による算定
施設区分
①
②
面積
執務面積
620
・ 事務室
620
付属面積
212.78
・ 会議室
40
・ 電話交換室
0
・ 倉庫
80.6
・ 宿直室
20
・ 庁務員室
0
・ 湯沸室
30
・ 受付
8.5
・ 便所洗面所
23.68
・ 医務室
10
・ 売店(喫茶室)
③
④
0
設備関係面積
195
・ 機械室
121
・ 電気室
45
・ 自家発電装置
29
算定基準外諸室
1075
・ 業務支援機能
10
・ 議会機能
385
・ 多目的スペース
400
・ 電算機能
⑤
・ 防災機能
100
・ 保管機能
120
・ 福利厚生機能
30
・ その他
30
小計
2102.78
交通部分
735.973
2838.753
※職員数は「集中改革プラン」(平成 18 年 3 月)より目標となる数値を採用するものとする。
以上より、
面積はおおよそ 2850 ㎡程度であるが、町民のロビー充実などを勘案し、
2,900 ㎡程度とする。
75
既存の分庁舎は平成元年建設であることからそのまま利用するものとする。
その延べ床面積が、681 ㎡
2900-681=2219 ㎡
また、新庁舎と分庁舎等の接続部分を 30 ㎡程度考慮すると、
2219+30=2249 ㎡
したがって、新しく建設する庁舎の延床面積は
2,250 ㎡
6-1-2
程度とする。
建築面積及び階数の算定(単独の場合)
新しく建てる庁舎の述べ床面積 2100 ㎡から階数を設定し、建築面積を算定する。
表 6-1
単独の階数と建築面積
階数(階) 床面積(㎡)
1
建築面積(約㎡) 建蔽率(約%)
2250
50%
1125
25.5%
3
750
17%
4
560
12%
2
2250
※建蔽率は 7 章の各図面の整備想定面積(約 4400 ㎡)を敷地面積とし場合の%であ
る。4400 ㎡以外は通常雪祭りで使われている敷地などである。
1 階建てに関しては、整備面積に対する建蔽率が高く、建物周辺の駐車場などにゆとりが
もてない可能性と、経済性を考えると好ましくない。また、4階建ても可能であるが、
景観や周辺の建物の高さから考えると好ましくない。
単独の場合には敷地面積の関係から2階及び現状の3階建てが望ましい。
76
6-1-3
建築面積及び階数の算定(合築及び併設の場合)
併設および合築の場合は、4章で示したように、議場と多目的ホール、会議室と
多目的室、トイレやエレベーター等の共有がそれぞれ 350 ㎡、450 ㎡可能であるの
で、下表のようになる。
表 6-2
床面積(㎡)
階数
(階)
併設の場合の階数と建築面積
建築面積 建蔽率
(約㎡)
(約%)
3000
68%
1500
34%
3
1000
23%
4
750
17%
庁舎 地区センター 合計 共有 合計
1
2
2250
1100
表 6-3
合築の場合の階数と建築面積
床面積(㎡)
階数
(階)
3350 -350 3000
建築面積 建蔽率
(約㎡)
(約%)
2900
65%
1450
33%
3
970
22%
4
725
16%
庁舎 地区センター 合計 共有 合計
1
2
2250
1100
3350 -450 2900
単独の場合と同じ理由及び次項目の 6-2 駐車場面積の算定を考慮すると、建物と
駐車場以外の面積が狭くなることから 3 階建てが望ましい。
合築もしくは併設の場合は、地区センター考え方や大きさを考慮して決定するも
のとする。
敷地面積の関係から考えると2階建でも3階建てでも大きく異ならないことか
ら、ゾーニングに関しては、既存と同じ3階建てを用いて行うものとする。
77
6-2 外構面積の算定
現在の駐車場で問題なく、運営できているため、台数を現在の 42 台+障害者など
用を 3 台とし 45 台とする。
したがって、
45 台×30 ㎡=1350 ㎡とする。
※内 12 台は、現状と同じように室内用とする。
78
第7章
敷地利用およびゾーニング
79
まず庁舎建築については庁舎を単独で建設するか、只見地区センターと一体的に
計画するかによって大きく考え方がわかれることになる。
次に旧庁舎を先に解体してその後に新庁舎を建設するか、新庁舎が出来上がった
後で旧庁舎を解体するかの時間差によって配置案が変わってくることになる。
まず旧庁舎を解体してその後に新庁舎を建設するというプロセスになれば計画で
きる敷地が増えることになって配置の自由度は増すことになるが、解体工事に先立
って役場機能の一時移転が必要となる。
旧庁舎を残しながら新庁舎の建設を行い、完成後旧庁舎を解体するケースでは役
場機能の一時移転などの必要はなくなるが新庁舎の計画地は現庁舎の北側にほぼ限
定される。
庁舎の単独案、併設案、合築案について現庁舎の解体時期による違いを考えると、
全体では以下の 6 ケースの可能性が考えられることになる。
ここではそれぞれのケースについて配置計画と敷地全体のゾーニング計画につい
て検討してみたい。
旧庁舎解体→新庁舎建設案
ケース 1
..
庁舎単独案
新庁舎建設→旧庁舎解体案
旧庁舎解体→新庁舎建設案
ケース 2
..
庁舎併設案
新庁舎建設→旧庁舎解体案
旧庁舎解体→新庁舎建設案
ケース 3
..
庁舎合築案
新庁舎建設→旧庁舎解体案
80
7-1
ケース1
庁舎単独案
只見町庁舎の機能だけを新たに建設する。
(1部旧庁舎は存置活用をする。これはす
べてのケースに共通)
このケース 1 は庁舎機能のみを検討すればよいのでケース2、ケース3よりは単純
になるが、庁舎のあるべき姿を的確に把握し、社会情勢の経年変化に対応できるフ
レキシビリティが求められる。
このケース1においては旧庁舎の解体を新庁舎建設の前に行うか(ケース 1-1)
、あ
とで行うか(ケース 1-2)によって配置計画の考え方が変わってくる。
81
7-1-1
旧庁舎解体後、新庁舎建設(図ケース 1-1)
このケースでは役場の機能を一時的に移転させて旧庁舎を解体する。このため一
部残る旧庁舎部分を除いて敷地全体を対象として計画を進めることができるので計
画の自由度は拡がる。但し、既存施設を一時的に役場に流用場合は、2度の移転費
用が必要であり、仮設庁舎を建設する場合は、さらに仮庁舎のリース費用が発生す
る。またこの期間、存置活用する旧庁舎と仮庁舎のスムーズな連携により立法、行
政に支障が生じないようにすることが求められる。
初めに旧庁舎を解体するので残存する旧庁舎の建物を除き敷地内は自由に使える。
例えば新庁舎を敷地西側に南北に長く配置して東南の角地のオープンスペースを駐
車場とブナ庭園としてランドスケープデザインをする。
新庁舎と旧庁舎の間は回廊で結ぶ。この回廊空間は屋内または半屋外の空間とする。
この空間は冬季でも雪に影響を受けない空間であり、年間を通して町民が自由に
活用できる町のリビング空間のような正確を持ったコミュニティ空間である。
この空間は6ケースの配置計画の中で共通するものとしたい。
いかなるケースで庁舎が実現されるにせよこの町民のためのロビー回廊空間は人々
の出会いや、さまざまなコミュニティ活動に対応できる重要な空間となる。
82
図 7-1
ケース 1-1
83
7-1-2
新庁舎完成後、旧庁舎解体
このケースでは新庁舎が完成するまで現在の庁舎で役場の業務は継続される。こ
のため現在の庁舎を除いたエリアに新庁舎の計画をすることになる。このケースで
は既存の役場機能の移転などは発生しないが耐震性能の低い建物を利用し続けると
いう安全性の問題が残る。配置計画は必然的に既存建物の北側に残される旧館と並
ぶように新庁舎を計画することになるが、窮屈な感じは否めない。
また旧館の西側は新しく出来る新館と近接するのでお互いの視野が制限される。
また町民の回廊ロビーは旧庁舎の解体が終了してから建設することになり他のケ
ースに比較して工期延長が生じる恐れがある。
84
配置図 7-2
ケース 1-2
85
7-2
ケース2
庁舎・地区センター併設案
只見町庁舎と只見地区センターを近くに併設する。このケース 2 も旧庁舎の解体を新
庁舎建設の前に行うか(ケース 2-1)、あとで行うか(ケース 2-2)によって配置計画の
考え方が変わってくる。このケース2はケース1で検討した庁舎のあるべき姿に地区セ
ンターをどのようにつなげて、近接する効果をどうに生み出すかがポイントになる。会
議室や集会室などの両者に共通する機能をある程度共同利用できれば、両者が単独で建
設されるより規模を押えられる効果がある。その相乗効果によって生じた経済的メリッ
トによって庁舎と地区センターを結びつける町民ロビー空間を生み出すようにしたい。
この連結空間は町民のさまざまな交流の場であり、特に冬季間は無雪広場として町民が
軽いスポーツやジョギングなどで体を動かしたりさまざまなイベントがおこなわれる多
目的空間になる。
86
7-2-1 旧庁舎解体後、新庁舎、地区センター建設
このケースではケース 7-1-1 と同様に、役場の機能を一時的に移転させて旧庁舎を
解体する。このため一部残る旧庁舎部分を除いて敷地全体を対象として計画を進め
ることができる。地区センターは新庁舎に近接して有機的な連携を保つように計画
される。残る既存庁舎と新庁舎そして新地区センターを有機的に連結する新しい空
間をどう魅力的にデザインするかがきわめて重要になる。
この計画例では敷地西側に地区センターと新庁舎を南北に直線的に配置して、残
す旧庁舎と町民ロビー空間でつないでいる。東南の角には駐車場とブナ庭園を配置
する。
87
図 7-3
ケース 2-1
88
7-2-2 新庁舎、地区センター完成後、旧庁舎解体
このケースでは 7-1-2 のように新庁舎が完成するまで現在の庁舎で役場の業務は
継続される。このため現在の庁舎を除いたエリアに新庁舎と地区センターの計画を
することになる。必然的に現在の庁舎の北側が対象エリアになり、ここに新庁舎と
存置活用される旧庁舎とそして地区センターが有機的な連携を保つように計画され
る。新庁舎が完成して役場機能が移転したあとに旧庁舎は解体され、駐車場や造園
などのランドスケープ工事が行われることになる。
この計画例では計画できるエリアが既存の庁舎の北側に限定されるために地区セ
ンターは雪祭り広場に食い込むような位置になっている。
89
図 7-4
ケース 2-2
90
7-3
ケース3
庁舎・地区センター合築案
この案は只見町庁舎と只見地区センタを積極的に一体化図る案である。
併設案よりも更に両者の一体化が図られる。
これにも旧庁舎の解体を新庁舎建設の前に行うか(ケース 3-1)
、あとで行うか(ケ
ース 3-2)によって配置計画の考え方が変わってくる。
このケース3では、両者の機能を積極的に一体化を図るので機械室、エレーベータ
室、階段室、会議室、集会室などの面積の集約化が図れる効果がある。
一方で異なる組織が入居し、運営時間や使われ方などに差異があるので、どのよう
な運営上のルール作りを図るかという課題が残る。
91
7-3-1 旧庁舎解体後、新庁舎、地区センター合築
このケースではケース 7-1-1、7-2-1 と同様に、役場の機能を一時的に移転させ
て旧庁舎を解体する。このため一部残る旧庁舎部分を除いて敷地全体を対象として
計画を進めることができる。地区センターは新庁舎とは敷地区分をせずに一体的に
計画される。6 つのケースの中でこのケースがもっとも革新的な複合施設を生み出す
可能性が高いと言える。
92
図 7-5
ケース 3-1
93
7-3-2 新庁舎、地区センター合築後、旧庁舎解体
このケースでは新庁舎の工事中も既存庁舎での業務が継続される。そして新庁舎
の完成後に旧庁舎を解体することになる。
このために新庁舎の建設場所は現在の庁舎の北側に限定される。新庁舎と地区セ
ンターは平面的にも立体的にも完全に一体化される。残される分庁舎との間は 1 階
は町民ロビーとして開放される。ここには町民はいつでも気軽に立ち寄り職員に相
談したり、町民相互で語り合ったりお茶を飲んだり軽食を楽しめる明るいアトリウ
ム空間をイメージしている。
この町民ロビーは雪に閉ざされる冬季間も貴重な無雪空間として、朝市、ジョッ
ギングなどの軽いスポーツ、音楽演奏などのさまざまなイベントなどが行われる。
旧庁舎が解体された後は南面はブナを生かした庭園や
駐車場としてランドスケ
ープデザインされる。
最終的にはブナの庭園と庁舎が一体的にデザインされエコ庁舎として「自然首
都・只見」にふさわしい環境が作られる。
94
図 7-6
ケース 3-2
95
6案の比較検討を通しての評価は、初めに既存庁舎の解体があったほうが計画の
自由度が拡がり、伸び伸びとした計画が可能になる点が明らかになった。
既存建物を残しながらその北側に計画をすることは可能ではあるが、全体として
せせこましい感じの計画になる。今後半世紀以上にわたり只見町の核になり続ける
庁舎の重要性を考えると、計画地の自由度が高い敷地条件で計画を進めるべきであ
る。
最初に既存庁舎を解体することに関しては、仮設庁舎の建設や引越し、既存建築
を再利用するにしても引越しなどの手間や費用が発生するがそのマイナス点を考慮
しても、初めに既存庁舎を解体することを優先的に検討すべきであると考えられる。
7-4
外部空間の構成
外部空間のデザインも庁舎計画の重要な要素である。特に新庁舎を防災庁舎とし
て位置づけるとすれば町民の安全性を確保するために外部空間も一体的に計画する
視点が求められる。
特に庁舎と地区センターの併設案や合築案においては、災害時に庁舎内に防災セ
ンターの機能が、そして地区センター内には一時避難場所の機能が求められる。そ
れに伴って救援用のヘリポート、自衛隊の宿営機能用広場、物資の一時保管機能、
臨時駐車場など外部空間の活用を平常時から計画しておかなければならない。幸い
只見町役場北側には雪祭り広場があり災害時にはこのような機能に対応がしやすい。
更に冬季積雪時のことも考えておく必要がある。庁舎と地区センターの併設案や
合築案においては、それぞれを結びつけるロビー的な空間が必要である。この空間
を屋根のある広場として冬季でも有効に活用できる空間にしたい。春から秋にかけ
ては開放感の高い半屋外的空間として外部と一体感のある使われ方をしたい。
そのためにはこの連結空間と屋外を一体的に繋げるイメージのランドスケープデ
ザインを作り出す。この連結空間に隣接した庭園計画が建築計画と総合的に検討さ
れるべきである。できればこの空間は内部空間として回遊性を確保できるようにし
たい。町民がいつでも町のリビング空間のように使える空間である。
庭園計画は自然首都庁舎
只見をイメージさせるようなランドスケープデザイン
でありたい。自然首都只見のイメージを具現化するランドスケープを作り出すとす
れば、ブナによる造園計画を考えたい。
96
自然首都只見のキャッチフレーズは緑、水、空気の素晴らしさを表わしているが
その源にブナ林が存在している。そのブナを庁舎の庭に自然な雑木林のように再現
して、落葉樹が緑のダムを作り、池や流れに注ぐようなビオトープを作り出し、身
近にブナの大切さ、素晴らしさを伝えたい。特にこの町を訪れる外部の人たち、そ
して只見の子供たちに只見の自然のショウケースとして見せたい。
本来、雄大な自然林を作り出すブナを造園樹として使用することは本来ブナの持
っているさまざまな生態的な連鎖のひろがりを部分的に断ち切ってしまうことにな
るという問題点を指摘されるかもしれない。しかし東北地方ではブナを造園樹に使
うことは広く行われて来ている。広葉樹の持つ新芽、若葉、青葉、そして紅葉の変
化を楽しめ、樹皮や樹形も美しく愛好者も多い。東北地方では苗圃でブナ育て出荷
に備えている造園業者も多い。
人工的に形を作りすぎることなく自然の雑木林のようなイメージのランドスケー
プを生み出し、建物の中からも季節ごとのブナの美しさを鑑賞できるようにする。
またブナは山のダムといわれるように落葉が堆積して高い保水能力をつくりだす。
この土壌から流れ出る水を貯える池をつくり、実のなる樹木を植え、ホタル、トン
ボ、セミ、チョウなどの昆虫や小鳥たちが集まるビオトープ空間をつくりだしたい。
但しいずれのケースも駐車場も計画しなければならず、庭園と駐車場の調和が求め
られる。
97
第8章
98
具現化に向けて
8-1具体化のイメージ
前項において単独案と併設案、および合築案について、説明を加えた。
併設案や合築案は当然のことながら規模の増加に伴って工事費の負担が増大す
る。ただし単独で建設するケースに比較して、建築の基礎、エネルギー設備機器、
エレベータ台数などの削減が図れ、初期の建設コストだけでなく出来上がった後の
管理、運営にかかわるメンテナンスコストも削減が図れる。またさらに庁舎、議場、
地区センターに共通する会議室、打ち合わせ室などの機能を共用化することができ
れば初期コストと維持管理コストをさらに軽減することができる。
今後、基本設計に入る前に単独案、併設案、および合築案の方向性を絞り込むこ
とが求められる。
今後、町民が減少し、町の歳入も減収になると予想される中で子孫への負担を軽
くすることを考えると積極的な併設案や合築案の方向に向かうべきと考える。でき
ればこの削減できた分を活用して町民がいつでも誰でも利用できるロビーの充実
を図れれば利便性、快適性は大きく向上させることができる。ぜひこのような方向
性をもって具体化を図っていきたい。
共用空間を充実させた併設案や合築案は単に経済的メリットだけではなく、町の
活力を生み出す触媒のような役割を果たす可能性がある。
言い換えれば「町の中に都市をつくる」コンセプトである。小さなさまざまな単
位空間が集まって都市的なイメージの賑わい空間をつくりだす。
コンビニ、カフェ、本屋、CDレンタル、図書館のサテライト、アスレッチック
ジム、診療所、キッズコーナー、産地直売の道の駅、ブナ観光案内センターなどが
中央の連結空間に顔を出す、そんな共用空間の可能性を考えたい。
地区センターを訪れた人々、町役場に来た人々、学校帰りの高校生、自分が育て
た野菜を運んできた人々、朝日地区の診療所と結びついた遠隔診断を受けに来たお
年寄りなど、さまざまな町民が出会い、語らい、くつろいで一時を過ごすそんな空
間が屋内化された広場空間に組み込まれているイメージである。
冬の積雪期にはここは快適な無雪広場となり運動不足になりがちな高齢者が身
体を動かして一日を過ごすことができる空間になる。こんなアトリウム空間に地区
センターと庁舎、そして商業施設やその他の公共施設の機能が組み込まれているイ
メージの空間ができれば町の中の都市としての顔になることができる。
99
つまり複合案では庁舎〔議場を含む〕と地区センターそして商業施設や教育施設
などがエントランスの連結空間(町民ロビー)によって結ばれる。
この複合案の建築設計においては、この連結空間をどのようにデザインするかが
重要なポイントになる。この連結空間のデザインは以下のようなイメージになる。
①町民が誰でも気楽に入りやすい空間である。
②入ると庁舎や地区センター、その他の施設の構成が一目で分かる。
100
③特に庁舎や地区センターに用事がなくてもいつまでもくつろいでいられる雰囲
気がある。
④お茶を飲んだり、食事をすることもできる。
⑤吹抜けのように立体的な見通しがよく、2,3 階の様子を見ることができる。
また 2,3 階からも 1 階の様子を見渡すことができる。
101
⑥2,3 階へのアクセスはバリアフリー動線としてエレベータを設ける。
⑦エレベータは庁舎や地区センターの職員、議員、町長、そして一般町民の共用で
あり、さまざまな交流を誘発する。同じようなことはカフェなどでも言える。
⑧庁舎は執務空間はコンパクトな機能的な空間としてまとめる。また会議や打ち合
わせなどの機能は一箇所にまとめて使用効率を高める。
102
⑨この場合、特別な会議室を除き、原則すべての会議室を、職員、議員、町民の共
用とする。その予約はICTシステムを活用して行う。この執務空間から会議
室への移動は必ず連結空間を経由することになるので、職員、議員、町民が相
互の認識や執務状況などを感じ取れることになる
⑩同様に町民が職員に様々な相談をするコーナーも執務空間から離れた会議・打ち
合わせコーナーの中に設けて、プライバシーと落ち着いた雰囲気を確保する。
⑪町長室は連結空間(町民ロビー)を見渡せるような位置とし、町民からも身近な
存在であることを感じられるように心がける
103
⑫連結空間からはデッキを介して庭園にも出られるようにする。この庭園は「自然
首都・只見」のイメージを具現化してブナの雑木林のようなランドスケープをつ
くりだす。池とさまざまな植生を再現し「自然首都」の豊かさをイメージさせる
ビオトープのようなデザインとする。池の循環や浄化、また庭園の遊歩道の照明
などは太陽光や風力などの自然エネルギーを活用して、小学生などの環境教育の
モデルになるようにする
104
第9章
建設費・スケジュール
105
9-1
建設費の算定
■3ケース
建設費の概算は以下の 3 ケースとする。
①役場庁舎単独(P86)
②役場庁舎+地区センターの併設(p91)
③役場庁舎+地区センターの合築造(p96)
※ただし、現役場庁舎を残したまま建設し、完成後移転、その後現庁舎解体とする。
■建物床面積
各建物の面積は、平成 22 年 12 月に町で決定した地域計画の面積とする。
役場庁舎:新築部分 2264 ㎡
地区センター:1100 ㎡
■共有面積
併設及び合築に関しては、3章で示した、共有できる面積を勘案する。
共有面積:併設
=
350 ㎡
合築
=
450 ㎡
■外構面積
外構の施工範囲は、以下の各案
単独案=P86
併設案=P91
合築案=P96
の各図面に示す、仮定施工範囲の建物以外の部分を整備するものとする。また、
建物は 3 階建と仮定する。
■建設単価
建物の㎡単価を一般的な事務所ビル(耐火構造)の単価に豪雪地域であるこ
とを考慮する。また、外構積雪地域での一般的な単価を採用するものとする
106
表 9-1
建設費の概算算定
107
9-2
スケジュール
建設スケジュールは以下のように想定される。
豪雪地帯であるため、建物の躯体や屋根外構工事などは、冬期工事が不可能な期間
があるため、完成までの期間が長くかかる場合がある。
表 9-2
予定スケジュール表
108
9-3
具体化に向けて(設計者選定、事業方式等)
9-3-1
併設案、合築案採用に関する町民総意の合意形成
基本計画においては、今後の只見町を取り巻く厳しい社会経済状況を踏まえると、
庁舎単独案よりもより多くの機能を一つのまとまった空間で実現でき、かつそこ
で町民が町の活性化に向けて様々な創意工夫による活動が可能と考えられる、庁舎
と地区センターとの併設案や合築案を具体化すべき方向性としたい。
これは、高度成長期の様々な分野における機能分化や空間的分散化の方向から、
現代は人口減少、少子高齢化、過疎化に伴い、機能の統合化や空間的集中化へ転換
すべきであるとの認識の反映である。
もし、この時代潮流を否定するのであれば、今後、多大な初期投資とその後の維
持メンテナンスコストの様々な負担増を覚悟しなくてはならないことは明白であ
る。
事実、基本計画の概要を提示した住民説明会においても、庁舎単独案よりも地区
センターとの併設案や合築案が多くの参加者から賛同を得た。
この方向性が今後正式に町の総意と位置づけられることが重要である。
9-3-2
基本設計に必須となる町の将来像やその実現のための方策の検討
また、上記合意形成のプロセスと併せて、基本設計開始までの間に、町の将来像
やそれらを実現するための具体的な方策について検討しておく必要がある。たとえ
ば、町の行政事務や住民サービスをどのような形で行っていくのか、地域活性化に
資する機能配置やその維持管理、運営、他の施設等との関係をどのようにしていく
のかなどである。これらの十分な検討を行い、それを新庁舎の機能や空間構成に反
映させていくことが重要である。この期間の十分な議論がそれに続く基本設計や後
の実施設計をスムーズに進行させ、結果的に、町民にとって真に求められる望まし
い新庁舎を生み出すことになる。
9-3-3
基本設計実施のための環境整備
加えて、基本計画に引き続き、基本計画で検討された諸事項を的確に反映し、さ
らに発展させていく基本設計実施のための環境整備を行う必要がある。
具体的には今後に続く基本設計、実施設計、および工事監理の進め方の方針を固
めることである。その考え方については、以下に示す3ケースが考えられる。
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ケースA
基本計画を担当したコンサルタント・設計事務所が引き続いて基本設
計、実施設計、監理まで担当する。この方式の場合は設計者の選定理由に適切な説
明がなされる必要があるが、基本計画から係わり町の様々な情報や事情を熟知して
いることから、基本計画から基本設計にスムーズに展開可能であり、かつ、様々な
変化にも対応が容易である。
ケースAではなく、今後、新しい設計者が参加する方式は以下の 2 通りのケース
が想定される。
ケースB
基本設計までは基本計画担当者が担当し、実施設計、監理の段階で新
しい設計者を決定する。この方式では前者がこの庁舎の基本的な計画・設計の概要
を固め、それ以後は地元の地理、気候風土などに詳しい県内の設計者が実施設計、
工事監理を引継ぎ技術面、コスト面での十分な検討を加える。この段階で基本設計
担当者は必要に応じて、基本的な考え方の説明やアドバイスなどをおこなう。
ケースC
基本設計から新しい設計者が引き継ぎ実施設計、管理までを担当する。
このケースでは基本設計者を決めるためにプロポーザルコンペなどの方法が考
えられる。それまで基本計画を担当したものはクライアントの只見町のアドバイザ
ー(オーナーズコンサルタント)としてスムーズな設計・監理が達成できるよう
に 協力する。
9-3-4
町民の総意・合意形成のための組織体制の整備
これらの検討に際しては、専門家や第三者の参加も得ながら、町民の総意が的確
に反映される組織体制を構築することが必要である。併せて、検討のプロセス、ス
ケジュール、意思決定の方法とその効力等についても十分検討し、定めておく必要
がある。
このような今後の具体化の方針、プロセスについて、今後早急に固めることが求
められている。
110
用語解説
バリアフリー
対象者としては障害者を含む高齢者等の社会生活弱者、狭義の対象者としては障
害者が社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や精神的な障壁を
取り除くための施策、若しくは具体的に障害を取り除いた状態をいう。一般的には
障害者が利用する上での障壁が取り除かれた状態として広く使われている。
ユニバーサルデザイン
文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに
利用することができる施設・製品・情報の設計デザインのこと。
オストメイト
直腸がんや膀胱がんなどにより、臓器に機能障害を負い、腹部に人工的に排泄のた
めの孔(ラテン語でストーマ)を造設した人のことです。日常の排泄行為には様々
な苦労があります。
オープンフロア型式
執務室空間を壁等で区画せず、フロアー全体の見通しを確保した事務所の配置型
式のこと。
フリーアクセスフロアー
床下に配線用の空間を設け、電源やパソコン・通信用の配線、空調設備機器など
を配置することができ、床上に露出させない床の型式のこと。
ローキャビネット
高さ 1m 程度の収納棚のこと。
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