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エコドライブの定量的評価法に関する研究

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エコドライブの定量的評価法に関する研究
-3-
エコドライブの定量的評価法に関する研究
― 仮想車両モデルを用いた車両の標準化 ―
岡村
整
小泉 大城*
小谷野眞司
横田 久司
(*非常勤研究員)
要 旨
東京都における温室効果ガス排出量のうち、約2割が自動車から排出されており、その排出削減が喫
緊の課題となっている。この削減対策の一つとして、近年、国・自治体・業界団体等においてエコドラ
イブの普及促進の取り組みが進められている。しかし、一般ドライバーや小規模運送事業者におけるエ
コドライブに対する取り組みは、まだ不十分な状況にある。エコドライブを推進するためには、エコド
ライブのレベル等を定量的に評価し、ドライバーへフィードバックすることが効果的である。しかし、
一般的に用いられている燃費による評価では、車両自体の性能や大きさなどによっても異なるため、異
なる車両間では互いのレベルを比較、評価することが困難である。このため、東京都環境科学研究所で
は、異なる車両間でも共通の尺度でエコドライブのレベルなどを比較・評価出来る仮想車両モデルを開
発した。実走行試験による検証を行ったところ、本評価法によるエコドライブ評価指数と実測燃費は非
常に良く対応しており(相関係数は 0.93 以上)、その有効性が確認された。
キーワード:温暖化対策、自動車、 エコドライブ、 トリップセグメント、 評価法、推計モデル
A Numerical Evaluation Method of Eco-Drive:
Standardization of Automobiles by Virtual Vehicle Model
OKAMURA Hitoshi, KOIZUMI Daiki*, KOYANO Shinji, YOKOTA Hisashi
(*Associate Researcher)
Summary
In 2004, the emission amount of greenhouse effect gas from automobiles in Tokyo has been
estimated at 21.7% overall. Recently, Japanese government, local public bodies, and industry
groups have been recommending eco-drive to automobile users for the reduction of such emission as
mitigation of global warming. However, active effort for eco-drive among automobile users in
families and small carriers is still insufficient. In order to spread eco-drive, sufficient information
feedback based on numerical evaluation technology is required. The fuel economy, however, can not
be used as a measure of eco-drive among various automobiles since it strongly depends on each
automobile’s performance as well as size etc. This report introduces our new evaluation method of
eco-drive based on virtual vehicle model. Our method calculates Eco-drive Evaluation Index (EEI)
which enables users to compare the effect of eco-drive numerically among various automobiles. Our
simulation result showed that the correlation coefficient between real fuel consumption value and
EEI is more than 0.93.
Keywords: mitigation of global warming, automobile, eco-drive, trip segment, numerical evaluation
method, estimation model
東京都環境科学研究所年報 2008
-4-
1 はじめに
り組みが積極的に行われている。しかし、一般ドラ
(1) 自動車からの二酸化炭素排出量
イバーや小規模運送事業者等においては、取り組み
2007 年に発表された「気候変動に関する政府間パ
が十分ではないのが現状である。行政等においても
ネル(IPCC)」の第4次報告では、「地球規模の気候
普及促進の取り組みが進められているが、現状にお
変動が確かに生じつつあり、それが人間活動に起因
いてはステッカーやパンフレットの配布など、広
している可能性が高く、今後の影響は極めて深刻な
報・啓発活動が中心であり、より積極的、効果的な
ものである」
と指摘している。
このような状況の下、
推進策が求められている。
地球温暖化対策として、二酸化炭素(以下、CO2)を主
とする温室効果ガスの削減は、まさに喫緊の課題と
なっている。
(3) 研究目的
一般ドライバー等へのエコドライブの普及を推進
温室効果ガスインベントリオフィスの発表資料に
するためには、
エコドライブのレベルなどを定量的、
基づき、我が国における部門別の CO2 排出量(2004
客観的に評価し、ドライバーへフィードバックする
年度)を見ると、自動車からの排出が全体の約 17.9%
ことが効果的と考えられる。
を占めていることが分かる。東京都においては、更
に比率が高く全体の約 21.7%
1)を占めている。
エコドライブを定量的、客観的に評価する手法と
しては、走行中の燃費を実測し、その値によって評
また、運輸部門(全国)の内訳について詳しく見
価することが一般的に行われている。しかし、燃費
ると、自家用乗用車からの排出が全体の 49.5%と、
は車両自体の性能や大きさなどによっても異なるた
約半分を占めており、
温暖化対策を推進するうえで、
め、
実測燃費を用いた場合、
異なる車両間では比較、
これら自家用乗用車を対象とした CO2 排出削減対策
評価することが困難であるといった課題がある。
をより一層推進することが重要であると言える。
そこで、本研究では異なる車両に乗っているドラ
イバー間でも、共通の尺度でエコドライブのレベル
(2) 自動車からの CO2 排出削減対策
などを比較・評価できる手法を開発することを目的
現在行われている自動車からの CO2 排出削減対策
としている。
について、その代表的なものを分類すると、
ア 自動車単体
2 仮想車両モデルの開発
イ 燃料・エネルギー
今回、異なる車両間でも共通の尺度による評価を
ウ 利用方法
可能とするため、走行時の速度データからシミュレ
の3つの側面からの対策に大別される。アに分類さ
ーションモデルを用いて、燃費を推計することによ
れる代表的なものとしては、燃費基準の導入などに
りエコドライブを評価する手法を考案した。この手
よる自動車の燃費改善の推進、イにはバイオマス燃
法によれば、シミュレーションの条件を統一するこ
料や電気自動車・燃料電池自動車など、化石燃料(ガ
とによって、共通の尺度、条件による評価を行うこ
ソリン、軽油等)に代わる代替エネルギーの開発な
とが可能であること、また、燃費(推計値)を指標
どがある。3番目のウに分類される対策として代表
とした客観性のある評価が可能であることなど、今
的なものとしては、
交通需要マネジメント(TDM)やエ
回の目的に適した評価を行うことができる。
コドライブの推進などが挙げられる。TDM について
なお、今回開発したエコドライブ評価用のシミュ
は、各自治体を中心に様々な取り組みが行われ、一
レーションモデルを、ここでは以後「仮想車両モデ
定の効果が挙がっているものの、時間やコストがか
ル」と呼ぶこととする。
かる対策も多い。一方で、エコドライブは、コスト
をかけずに誰でもすぐに実践可能という点で非常に
優れた対策であると言える。
(1) トリップセグメントモデル
今回、仮想車両モデルを新たに開発するに当たっ
エコドライブは、自動車の運用コストの削減、安
ては、東京都環境科学研究所(以下、当研究所)に
全運転の両面から効果が期待されることから、大・
て開発したトリップセグメントモデル 2)3)4)(以下、
中規模運送事業者においては、その普及に向けた取
TSM)をベースに改良を加えることとした。
東京都環境科学研究所年報 2008
-5-
この TSM を、以下に簡単に説明する。当研究所で
検討を行った。今回対象とした車両の諸元を表1に
は、大型ディーゼル車等からの環境負荷量を推計す
示す。なお、今回用いた走行データは各車両とも、
るために、TSM を 2005 年に開発した。この TSM は、
都内の標準的な走行パターンとして作成した東京都
時系列速度データを入力とし、
NOxや燃料消費量
(≒
実走行パターン No1~No12(平均車速 4.6km/h~
CO2 排出量)などの環境負荷量を推計するためのシミ
53.3km/h)を走行した時のデータであり、実車速
ュレーションモデルである。
[km/h]、加速度[km/h/s]、燃料消費量[g] などのデ
このモデルでは、走行時の時系列速度データをト
ータ(1秒単位)から構成される。これらの走行デ
リップセグメント 2)(時間的移動としてのアイドリ
ータを用い、走行モードの詳細定義を変えながら、
ングおよび空間的移動としての発進から停止までの
燃料消費量との相関係数によって評価を行った。
一つの走行区間の一対の組)という走行単位毎に、
今回の検討結果に基づき、最終的に走行モードを
アイドリング・加速・定速・減速の4つの走行モー
表2のように定義した。同表に示すように、加速モ
ドに分類し、各々の走行モードごとに燃料消費量等
ードを 20km/h を境に2つのモードに、
同じく定速モ
を推計するものである。
ードを 5、30、50、70km/h を境に定速0から定速5
具体的な推定式は、(1)-(4)式に示すとおりであ
までの6つのモードに細分化し、
合計 10 モードに詳
り、それぞれの走行モードを英文表記の頭文字を取
細定義した。
った下付きインデックス:i,a,c,d で区別し、左辺
に被説明変数として燃料消費量 F [g ] 、右辺に説明
(3) エコドライブ評価指数
変数として平均加速度 A[ km / h / s ] 、平均速度
前述したように、多種多様な車両間でエコドライ
V [ km / h ] 、および累計時間T [s ] にて表される。
ブのレベルを比較したい場合、燃費そのものは車両
の性能や大きさ等によっても異なるため、単純にそ
の大小だけでエコドライブの比較・評価を行うこと
Fi   i Ti
Fa   a AaVa Ta
Fc   cVc Tc
Fd   dVd Td
(1)
は出来ない。
(2)
そこで、仮想車両モデルの出力値(以後、この出
(3)
力値をエコドライブ評価指数 E と呼ぶ。)は、車両
(4)
がトリップ全体を 40km/h で定速走行した時の燃費
を 100 として標準化した値として定義した 5)6)。すな
ただし、αは各走行モードに固有の定数。
わち、エコドライブ評価指数は、以下の(5)式で定義
される:
(2) 仮想車両モデルの開発(TSM の改良)
仮想車両モデルの開発にあたり、まず走行モード
エコドライブ評価指数 E 
=
実走行時の燃費の推計値
× 100
(5)
40km/h 定速で走行時の燃費
の定義の見直しを行った。前述の TSM においては、
走行モードをアイドリング・加速・定速・減速の4
つに分けている。今回は、個々の走り方(エコドラ
イブのレベル)を評価することが目的であることか

L
 iTi   m 1  am Aa m Va m Tam   n  0  c n Vc n Tc n   dVd Td
2
5
 100
ら、推計精度の一層の向上等を目的として、走行モ
に細分化した。本報では以後、この検討項目のこと
ここで、L は走行距離[km],βは各走行モードに
固有の定数、m  1,2, n  0,1,  ,5 は、それぞれ詳
を「走行モードの詳細定義」と呼ぶこととする。
細定義する加速・定速モードのインデックスである。
ードの定義を見直し、加速・定速モードをいくつか
当研究所で所有しているシャシダイナモメータを
用いて、2000~2007 年に測定した、計 32 台のガソ
リン車の走行データ
(データ番号1~32)
を用いて、
東京都環境科学研究所年報 2008
-6-
なお、同式中の  (各走行モードに固有の定数)
コドライブ評価指数、横軸に実測燃費を取り、トリ
については、前項(2)と同様の 32 台の車両による走
ップセグメント毎にデータをプロットしたものであ
行データを用いて、最小二乗法により各定数を決定
る。両者の相関係数は 0.97(決定係数:0.94)であ
した。図1に、同式から求めたエコドライブ評価指
り、エコドライブ評価指数が実測燃費と高い相関を
数と実測燃費との関係の一例を示す(表1中のデー
持っていることがわかる。
タ番号9の車両データ)。このグラフは、縦軸にエ
表 1 対象車両諸元
試験年度 データ番号
2007
2007
2007
2007
2006
2006
2006
2006
2006
2006
2006
2005
2005
2005
2005
2005
2005
2005
2004
2004
2004
2004
2004
2004
2004
2002
2002
2002
2002
2002
2002
2000
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
車輛形式
CBA-BL5
DBA-KSP90
DBA-L550S
DBA-JB5
CBF-TRH200V
UA-E51
DBA-GRX120
DBA-NZE121G
DBA-BZ11
DBA-GD1
DBA-KGC10
DBA-ZC11S
DBA-QG10
UA-ES1
UA-UCF31
UA-RF3
GF-AE110
CBF-VW11
TA-MNH10W
TC-TRH112V
UB-NCP50V
CBA-TC24
GH-203042
CBA-GRS180
UA-DY3W
GG-EE103V
TA-RA1
GC-KR42V
GD-S200V
LA-GD1
GH-CS2A
E-FB13
原動機形式
EJ20
1KR
EF
P07A
1TR
VQ35
4GR
1NZ
CR14
L13A
1KR
M13A
QG18
D15B
3UZ
K20A
5A-FE
QG18
1MZ
1TR
2NZ
QR20(E)
271
4GR
ZJ
5E
EN07
7K
EF
L13A
4G15
GA15
排気量
[cc]
1,994
996
659
658
1,998
3,498
2,499
1,496
1,386
1,339
996
1,328
1,769
1,493
4,292
1,998
1,498
1,760
2,994
1,998
1,298
1,998
1,790
2,491
1,340
1,496
658
1,781
659
1,339
1,468
1,497
東京都環境科学研究所年報 2008
等価慣性
重量[kg]
1,500
1,000
875
1,000
1,750
2,000
1,500
1,220
1,250
1,000
1,000
1,250
1,250
1,250
2,000
1,750
1,250
1,500
2,000
2,250
1,250
1,750
1,500
1,750
1,250
1,250
1,000
1,750
1,000
1,000
1,250
1,000
車輛総重量
[kg]
1,615
1,255
1,040
1,080
3,035
2,430
1,775
1,385
1,345
1,275
1,175
1,295
1,435
1,355
2,105
1,970
1,335
1,810
2,320
2,975
1,550
2,000
1,755
1,835
1,355
1,490
1,080
2,165
1,320
1,265
1,405
1,255
-7-
表 2 走行モードの詳細定義
走行モード名
アイドリングモ-ド
加速1モード
ゲーションシステムおよびエコドライブ評価指数と
速度
加速度
の比較、検証用として燃費を実測するための瞬時燃
Vi  0.0

費計を取り付け、実走行時における各種データを記
 5.0  Va1  20.0 +1.0  Aa1
加速2モード
 20.0  Va2
+1.0  Aa2
定速0モード
0 .0  V c 0   5 .0

定速1モード
 5.0  Vc1  30.0
AC1 | 1.0
定速2モード
 30.0  Vc2  50.0 AC2 | 1.0
定速3モード
 50.0  Vc3  70.0 AC3 | 1.0
定速4モード
 70.0  Vc4  90.0 AC4 | 1.0
定速5モード
減速モード
 90.0  Vc5
AC5 | 1.0
 5.0  Vd
Ad  1.0
速度単位:[km/h], 加速度単位:[km/h/s]
録媒体(SD カード)に記録した。今回の試験に用い
た車両諸元を表3に、測定機器、収集データ項目等
を表4に示す。
表 3 試験車両諸元(2台とも同一車種)
項目
車輛形式
原動機形式
排気量 [cc]
車輛重量 [kg]
車輛総重量 [kg]
摘要
TA-RM12
QR20
1,998
1,480
1,865
表 4 測定機器および収集データ
項目
カーナビシステム
瞬時燃費計
収集データ [測定単位]
摘要
AVIC-HRV026ZZ
EC15WWF-40
時刻 [年月日時分秒]
速度 [km/h]
緯度経度 [度]
標高 [m]
道路種別 (一般道/高速道)
燃料消費量 [cc/秒]
冷却水温度 [℃]
(2) 検証方法
各種データを記録した SD カードを毎月回収し、
速
度データ、燃料消費量データ等を1秒単位で処理、
整理した。これらの走行データに基づき、今回開発
した仮想車両モデルを用いてエコドライブ評価指数
図 1 検討結果の一例(データ番号9)
を計算するとともに、
燃料消費量から燃費を算出し、
両者の比較を行った。
今回の試験車両2台(以下、1号車、2号車と呼
4 実走行試験による検証
今回開発した仮想車両モデルの有効性等を検証す
るため、実際に使用中の車両を用いた実走行試験を
行った。
ぶ。)の月別走行距離、日数等(データ収集開始月
から 2008 年 3 月まで)を、それぞれ表5、6に示
す。
(1) 実走行データの収集
川崎市公害研究所の協力を得て、実際に業務に使
用中のガソリン乗用車2台(共に同一車種)に、速
度等のデータを取得するための装置としてカーナビ
東京都環境科学研究所年報 2008
-8-
表 5 月別実走行データ(1号車)
車人数は一定とするなど、試験条件を統一すること
が望ましいが、今回は通常業務に使用中の車両であ
年
月
2007 11
2007 12
2008 1
2008 2
2008 3
合計
走行距離
日数
(キロ)
641.0
18
359.3
18
281.3
12
467.3
18
562.4
18
2311.3
84
トリップ
セグメント数
1,409
859
601
1,257
1,316
5,442
るため、これらの条件統一は行っていない。このた
め、今回のエコドライブ評価指数と実測燃費の比
較・検証においては、これらの影響に起因する誤差
もあるものと推察される。
なお、今回評価対象としていない道路勾配の影響
については、今後、これを反映できるように仮想車
両モデルに道路勾配のファクターを追加する予定で
ある。
年
月
2007 12
2008 1
2008 2
2008 3
合計
走行距離
日数
(キロ)
624.3
18
470.0
12
403.4
12
774.5
17
2272.2
59
トリップ
セグメント数
1,349
967
1,068
1,813
5,197
エ
コ
ド
ラ
イ
ブ
評
価
指
数
(3)検証結果及び考察
80
14
70
12
60
10
50
8
40
6
30
4
20
エコドライブ評価指数
10
実 測 燃 費 [k m / L ]
表 6 月別実走行データ(2号車)
2
実測燃費
0
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
図2、図3に、今回の実走行試験による検証結果
の一例を示す。図2、図3は、それぞれ1号車、2
日 数
号車の結果(2007 年 12 月)であり、どちらも縦軸第
図 2 実走行試験による検証結果(1号車)
一軸(左軸)にエコドライブ評価指数、縦軸第二軸
(右軸)に実測燃費[km/L]を、横軸に経過日数を取
り、1 日毎のデータをプロットしたものである。な
の結果である。
これらの図から分かるように、エコドライブ評価
指数(実線)と実測燃費(破線)は良く対応してお
り(相関係数:1号車 0.93、2号車 0.97)、今回の
評価法の有効性を確認することができた。
なお、実走行においては、今回の評価法で評価対
象としている走り方以外にも、燃費に影響を与える
要因が様々ある。この代表的なものとしては、エア
コン使用による影響、積載重量(乗車人数等)によ
エ
コ
ド
ラ
イ
ブ
評
価
指
数
80
14
70
12
60
10
50
8
40
6
30
4
20
エコドライブ評価指数
10
2
実測燃費
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
る影響、道路勾配による影響などが挙げられる。し
日 数
かし、前述したとおり、今回の評価法はあくまで走
図 3 実走行試験による検証結果(2号車)
り方を評価対象としているため、エアコンや積載重
量等の影響については考慮していない。
したがって、
実走行試験においては、エアコンは使用しない、乗
東京都環境科学研究所年報 2008
実 測 燃 費 [km /L]
お、これらの図は、アイドリングを考慮しない場合
-9-
5 まとめおよび今後の課題
参考文献
本報では、エコドライブを定量的、客観的に評価
する手法を提案した。
1) 東京都環境局:「都における温室効果ガス排出
今回の評価法は、異なる車両間でも共通の尺度に
量総合調査」(2006).
よる評価を可能とするため、走行時の時系列速度デ
2) 横田久司ら:「走行動態記録に基づく自動車か
ータからシミュレーションモデルを用いて求めた推
らの環境負荷量推計モデルの開発」, 2004 年東
計燃費によってエコドライブを評価するものである。
京都環境科学研究所年報, pp.40-48 (2004).
このエコドライブ評価用のシミュレーションモデル
3) 横田久司ら:「走行動態記録に基づく自動車か
として、仮想車両モデルを開発し、それを用いたエ
らの環境負荷量推計モデルの開発(トリップセ
コドライブ評価指数と実測燃費とを、実走行試験に
グメントモデルの汎用化)」, 大気環境学会誌,
より比較・検証した。その結果、実測燃費との相関
第 40 巻, 第 2 号, pp.67-83 (2005).
係数は 0.93 以上と、良好な結果が得られ、本評価法
の有効性を確認することができた。
4) 鹿島茂ら:「自動車の走行モードを明示的に考
慮した NOx 排出量推計モデルの開発」, 大気環
今回開発した仮想車両モデルによるエコドライブ
評価指数は、基本的には燃費を指標とした評価であ
る。しかし、燃費は渋滞路や高速道など、その走行
境学会誌, 第 40 巻, 第 4 号, pp.137-147
(2005).
5) 岡村整ら:「エコドライブの評価手法に関する
条件などによっても大きく異なってくる。
このため、
研究」, 第 47 回 大気環境学会年会講演要旨集
走行ルート等に捉われずに、走り方(運転技術)を
(2006).
公平に評価するためには、今回の仮想車両モデルで
6) 岡村整ら:「自動車の走行方法改善による温暖
行った「車両の標準化」に加えて、「走行ルートの
化対策の推進」, 第 48 回 大気環境学会年会講
標準化」も必要であると考えており、この標準化手
演要旨集 (2007).
法について、現在検討を進めているところである。
エコドライブの推進策としては、これまでパンフ
レット等による広報、啓発活動が中心であったが、
今回のエコドライブの定量的、客観的な評価法を確
立することにより、エコドライブコンテスト、エコ
ドライブ認証制度等への活用など、行政等において
もエコドライブの支援、推進策の選択肢が大きく広
がるものと期待している。
本研究は、環境省の「平成 19 年度 地域の産学官
連携による環境技術開発基盤整備モデル事業」(自
動車の走行方法改善による温暖化対策の推進[研究
代表者:東京都環境科学研究所 岡村整])により実
施したものである。
謝 辞
本評価法の開発に当たり、御助言、御協力頂きま
した、中央大学鹿島茂教授、川崎市公害研究所小倉
氏、鶴見氏、パイオニアナビコム㈱森氏、吉田氏、
及び三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングの方々に
深く感謝致します。
東京都環境科学研究所年報 2008
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